SBF:「ライセンスの取得に注力」
グローバル大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン・フリードCEO(通称:サム氏)は米CNBCの取材で、規制明確化やFTXのコンプライアンス体制について見解を披露した。
FTXは主にデリバティブを提供する取引所で、出来高はバイナンスに次ぐ規模だ。グローバル版のFTXは米国や香港など、一部の国で利用できず、米国ではFTX.USという米国版の専用取引所が設けられている。
FTXが持つライセンスについては具体的にどの国や地域でどのように登録しているかは明らかではなかったが、今回サム氏は初めてライセンスの取得について見解を明らかにした。
私は最近、毎日数時間を使って、規制とライセンス制など、我が社に必要なリーガル措置について調査している。
最近では、世界最大手仮想通貨取引所バイナンスが日本や香港、欧州諸国の当局から相次いで無登録の運営などを指摘され、厳しい目を向けられていることを背景に、サム氏はFTXがどのように業界のトップに居続けられるか考えているという。
規制コンプライアンスの一環として、FTXは7月下旬に、高レバレッジの取引(最大101倍)を廃止し、20倍までに引き下げる施策(業界初)をとったことが挙げられる。レバレッジの引き下げは、投資家・トレーダーの保護や内部証拠金維持率などに関わるものだ。
また、先日には、「Generally Accepted Auditing Standards(公正妥当と認められた監査基準)」という米国における企業会計の監査基準による監査を受けたことも発表。会社の財務状況の透明化を図り、投資家や規制当局からの信頼を得る施策を取った。
規制明確化は時間かかるか
現在、米国や香港などではより明確な仮想通貨規制は確立されていない。一方、仮想通貨というものに特化した規制がなくても、資金洗浄対策(AML)やKYC(顧客認証)の負担は仮想通貨取引所にかけられている状況だ。
サム氏はKYCとAMLの基準は地域によって異なると指摘する。仮想通貨市場の普及につれて、多くの政府は今後3〜5年の間、より明確な規制スタンスを示すと見ているという。「規制者とディスカッションができれば、もちろん喜んで参加したい」と規制に応じる意欲も見せた。
FTXを運営する企業FTX Trading Ltd.は先月、ソフトバンクグループやコインベース、ポール・チューダー・ジョーンズファミリー、著名投資家アラン・ホワード氏などを含む計60の投資家から、約1,000億円(9億ドル)を調達したことから、今後、潤沢な資金をコンプライアンス強化などに充当すると見込まれている。
リーガル面の強化例としてはFTX.USは3日、CFTCの元弁護士Ryne Miller氏を顧問弁護士に迎えた。Miller氏はSECの現委員長Gensler氏がCFTCの会長を務める時に顧問弁護士を務めていた人物となる。