今週(22日〜28日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
22日〜28日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上昇し、一時は300万円を回復。28日正午時点では290万円台後半で推移している。
週明けの中国、香港株式市場の急落や、米国債利回りの上昇を受けてリスク回避の動きで始まったBTCだったが、25日のケース・シーラー住宅価格指数やリッチモンド連銀製造業指数の下振れを受けた米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速観測が台頭し、相場は上値を追う展開に転じ300万円乗せを試した。
翌26日にもこうした金融引き締めペース緩和期待が続き、米国債利回りが低下、米株は上昇しBTC相場は300万円台に乗せ、2.1万ドル水準となる308万円にワンタッチした。
一方、週央からは米テック企業を中心に決算が振るわずナスダック総合が軟化。BTC相場もこれに連れて上値を重くすると、27日のアップルとアマゾン株の急落に連れ安で300万円を割り込んだ。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が来週の3日未明に迫っているが、12月からの利上げペース減速の可能性が浮上している。3ヶ月連続の消費者物価指数(CPI)伸び鈍化に加え、住宅関連指数の低下やNY連銀とリッチモンド連銀の製造業指数の低下と、着々と景気が抑制され始めており、27日の第三・四半期GDP価格指数や四半期インフレも大幅に低下した。
これまでは、確かな手掛かりなくインフレ鈍化期待が度々浮上しては裏切られていたが、11月のFOMCでは利上げペース調整が議題となり得る根拠が出ていると言えよう。また、オーストラリア準備銀行やカナダ中銀はすでに利上げペースを緩め始めており、欧州中央銀行(ECB)も今週の会合で2度目の75ベーシスポイント(bp)利上げを決定したが、ラガルド総裁は金融引き締めのほとんどの段階を完了したと発言しており、これまで積極的な利上げを先導してきたFRBも年内に方針展開に踏み切ってもおかしくないか。
ただ、FRB内で速すぎる利上げペースについて慎重な発言もある中、依然としてインフレ抑制に成果を感じていないメンバーもおり、11月の会合では具体的に利上げペース調整を12月から行う決定はされず、あくまで年末までの経済データを加味した上で「ペース調整余地がある」程度の結果になると見ている。
FOMCの結果が想定通りならば、リスクオンムードが広がりBTC相場は上値を試すだろう。今週は3週間ぶりに終値で節目の2万ドルを回復しており、目先では9月高値の2.28万ドルが射程圏内に入る。反対に、FOMCで利上げペース調整余地が否定されればリスクオンが巻き戻すシナリオが視野に入るが、オプション市場では1.9万ドルと2万ドルストライクに建玉が積み上がっており、仮に2万ドルのサポートが陥落しても1.9万ドル周辺がサポートとなるか。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:利上げ懸念強まりビットコイン失速、来週は指標主導の値動きに注意