- イーサリアム先物
- シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、イーサリアム先物の提供を年内に開始予定だとビジネスインサイダーが報じた。CMEにも「Ether Real Time Index」等の指標が設立されており、アルトコイン先物の布石と見る向きもある。
CBOEがイーサリアム先物を計画
2017年12月11日、シカゴ・オプション取引所(CBOE)は、アメリカ初となる「ビットコイン先物取引」を開始し、その一週間後の12月18日に、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)も「ビットコイン先物取引」サービスを開始しました。
2017年末にかけて爆発的な上昇を遂げていた仮想通貨市場は、実際に仮想通貨に対して金銭を投じているか否かに関わらず、世界中の投資家に注目されており、ビットコイン先物取引開始の際には、ウェブサイトが一時的にダウンするほどのアクセスを集めました。
そして本日8月31日、大手メディアであるビジネスインサイダーは、”CBOEがイーサリアムの先物取引の実現に近づいてきている”ことを報じました。
関係者によると、CBOEは、アメリカ商品先物取引委員会(CFTC)からの承認を待っている段階であり、2018年末を目処に、ウィンクルボス兄弟が運営するGemniのデータを元にした「イーサリアム先物」の提供を開始するとしています。
仮想通貨取引テクノロジー企業SFOXの戦略責任者を務めるDanny Kim氏は、イーサリアム先物取引の開始に対して、以下のようにコメントしました。
CBOEのイーサリアム先物の提供によって、仮想通貨トレーダーは、イーサリアムの売買でショート(空売り)とロング(買い)の両ポジションで利益を取ることが可能になる。これは、新規資産クラスにおける大きな前進だ。
この提供によって、新規投資チャンスが生まれ、仮想通貨市場を弱気相場から脱却させて、新たな強気相場に転じさせることができるのではないだろうか。
しかし、ブロックチェーン技術者のPreston Byrne氏は、自身のTwitterアカウント(@prestonjbyrne)にて、仮想通貨イーサリアム(ETH)が先物取引に適していないとして、以下のように主張しています。
発行量の70%を100人以下で保有されているような仮想通貨が先物契約を行うことは、私は許容できない。
Launching futures contracts on a cryptocurrency where 70% of the coins outstanding were known to be in the hands of fewer than 100 people, which may well have been borne out of an unlawful securities offering, is unacceptable. https://t.co/hTE4mAGZfB
— Preston Byrne (@prestonjbyrne) 2018年8月30日
CMEの動き
CBOEと同時期にビットコイン先物取引を開始したシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、イーサリアム先物に積極的ではなく、同社のCEOを務めるTerry Duffy氏は、以下のように見解を述べました。
私は、投資の世界に入ってもうすぐ40年になるが、その中でも、ビットコイン先物の開始は、最も賛否両論の分かれる金融商品の一つとなった。
ただ新しい商品を公開し、その行き先がどうなるのかを見るのではなく、現状のビットコイン先物をもう少し注意深く観察していきたい。このように、Duffy氏は、短・中期的に他の仮想通貨先物への意欲を見せることはありませんでしたが、今年5月にCMEは、イギリスの仮想通貨取引所Crypto Facilitiesと共に、イーサリアムの新たな指標として、「Ether Reference Rate」および「Ether Real Time Index」と呼ばれる2つのイーサリアム関連の指標を設立していることから、イーサリアム先物に向けた布石は整っていると考えられます。
さらに、ビットコイン先物市場全体としても、CMEのデータによると2018年第2四半期に入ってから、CMEビットコイン先物の日間平均取引量は第1四半期と比べ、93%上昇し、その関心も同様に58%の上昇を遂げていることが明らかになっており、仮想通貨価格が下落を続けているにも関わらず、先物への関心は高まってきていると言えるでしょう。