メルカド・ビットコインがCBDC試験に参加
ブラジル中央銀行は22日、ブラジル最大の暗号資産(仮想通貨)取引所メルカド・ビットコインが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロットテストに参加することを認可した。地元メディアが報じた。
ブラジル中銀は、メルカド・ビットコインがブロックチェーン技術と仮想通貨の活用について有益な役割を果たすと考え、プロジェクトへの参加を決定したと述べている。
メルカド・ビットコインは、今年5月にブラジル中銀がCBDCプロジェクトへの参加企業を発表した際には選ばれなかった。
これは、ブラジルの金融ネットワークにアクセス可能となるライセンスを持っていなかったことに理由があったものだ。メルカド・ビットコインは6月2日に、ブラジル中銀から決済機関としてのライセンスを取得しており、今回参加できるようになった形だ。
メルカド・ビットコインのファブリシオ・トータ新規ビジネス担当ディレクターは、次のようにコメントした。
当社が参加を許可されたことは、中央銀行がすでにブロックチェーンなどの技術に取り組んでいる企業とも協働して、金融システムを革新していこうという意図を持っていることを証明するものだ。
ブラジル中銀は今回、決済大手マスターカード、フィンテック企業Sinqia、証券会社Genialやその他企業も、プロジェクト参加者として発表している。ブラジルの国営銀行Caixa Bankも選ばれた。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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実証実験の内容
ブラジル中銀は5月にも、CBDCであるデジタル・レアルの実証実験プロジェクトへの参加企業第一弾を発表していた。この際には、決済大手VISA、サンタンデール銀行、イタウ・ウニ銀行、マイクロソフトなど14の銀行や企業が選ばれている。
実証実験の最初の段階では、プライバシーとプログラマビリティ機能に焦点を当て、国債の決済がテストされる予定だ。債券の所有権と現金の同時取引について、ホールセール(銀行同士)およびエンドユーザーレベルでの即時決済を行う。
ブラジル中銀のロベルト・カンポス・ネト総裁は、金融機関と非公開の試験プログラムを実施した後、2024年中までにCBDCをローンチすることを目指していると述べている。
ネト総裁は、ブラジルのCBDCは、商業銀行の資産トークン化を促進するよう設計されているとも話した。
仮想通貨規制の整備進む
ブラジルでは仮想通貨規制の整備が進められている。
ブラジル中銀は最近、ブラジルの仮想通貨規制当局としても任命されたところだ。関連法案が6月20日より正式に発効している。
この法律によれば、ブラジルの企業は、中央銀行の承認を得なければ仮想通貨サービスを提供できない。中央銀行は、企業がマネーロンダリング対策手順を遵守しているか、テロ資金供与などの犯罪活動に関連していないかも監視することになる。
22年12月には、仮想通貨を決済手段として使用することに法的根拠を与える法律が成立した。同法では、仮想通貨取引所とそのユーザー資産の分別管理、仮想通貨を利用した詐欺に対する罰則なども定められた。