仮想通貨の役割を確認
米資産運用最大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは14日、米CNBCの番組で、暗号資産に対する強気な見解を再確認した。「仮想通貨は投資家のポートフォリオ多様化の役割を果たす」と述べた。
ブラックロックは約9.5兆ドルの資産を運用する世界最大級の資産運用会社で、6月15日に米国証券取引委員会(SEC)に現物型のビットコインETF(上場投資信託)「iShares Bitcoin Trust」の申請を提出したところだ。
番組”Squawk on the Street”でフィンク氏は、仮想通貨への取り組みについて語り。「投資家にとって使いやすく、費用のかからない商品を提供するという、資産運用大手ブラックロックの幅広いミッションに沿った動きだ」と語った。
フィンク氏は以前、ビットコインが「違法行為」に利用されているとして、懐疑的な意見を述べていた。だが、今では顧客からの強い関心と取引コストの高さを背景に、ブラックロックがこの新興領域への参入を真剣に検討するようになったと語った。
同氏はビットコインについては直接的に言及せず、代わりに仮想通貨全般が投資家のポートフォリオにおける分散投資の一部を形成できると主張している。
我々は投資の民主化という課題に直面している。過去5年間で、世界中の投資家から仮想通貨の役割についての問い合わせが増えている。多くの仮想通貨は、国際的な資産として捉えられるべきだと私は思っている。
また、フィンク氏はビットコインや他の仮想通貨が持つ二つの特性に注目した。それは、国境を越えて取引が可能であること、そして法定通貨の価値変動から独立した資産として機能することだ。
仮想通貨は国際的であるため、通貨評価においてあらゆる法定通貨を超越する。この”国際的な暗号商品”は、ドル安の問題を克服できる。
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現物型ビットコインETF申請
ブラックロックが現物型ビットコインETF申請をSECに提出したことは、仮想通貨市場に新たな活気をもたらした。他の資産運用会社も相次いで同様のビットコインETFの申請を行っている。
SECはこれまでに提出された同様のETF申請を全て却下してきたが、ブラックロックは過去575件のETF申請でSECの承認を得ており、却下はわずか1件だけ。ブラックロックの動向は、これまでの流れが変わる兆しを見せている。
7月初旬にブラックロックは、SECの指摘を受けて現物型ビットコインETFの申請書類を更新。監視共有協定の契約事業者として「仮想通貨取引所コインベース」を明記した。監視共有協定は、SECがこれまでのビットコインETF申請に問題点として指摘していた部分で、ブラックロックはこの制度を導入し承認の可能性を高めようとしている。
フィンクCEOはビットコインETFに関する具体的なコメントは避けたが、「規制当局と緊密に協力している。ブラックロックが関与するどんな新市場でも、その市場が安全で健全で、適切に保護されていることを確認することが我々の義務だ」と述べた。
現物型のビットコインETFは、直接ビットコインを保有し、その量に基づいて投資商品の価値を割り出す形式のETFだ。将来的にビットコインを直接裏付けとするETFが認可されれば、必要な価格アービトラージにより市場の流動性が向上し、一方で流通するビットコインの量が減少し、その希少性が高まる可能性がある。
ラリー・フィンクCEOは先月、米フォックス・ビジネスの番組で、ビットコインは「金のデジタル化」という役割を担う「国際的な資産」であると発言。インフレや通貨切り下げリスクなどのヘッジとしての金投資の代替として、どの国の通貨にも基づかない「国際的な資産」であるビットコインに投資することも考えられると主張していた。
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