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米SEC、Hexトークン及び創設者を提訴 17億円以上の投資家資金を不正流用

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

17億円以上の資金を着服

米証券取引委員会(SEC)は31日、暗号資産(仮想通貨)プロジェクトHexおよびその創設者であるリチャード・ハート被告を提訴した。未登録証券を提供・販売し、少なくとも約17億円(1,200万ドル)の投資家資金を不正流用していたと申し立てている。

ハート被告および、PulseChain、PulseX、Hexという3つの組織に対して訴訟を起こした形だ。

証券法と詐欺防止規定に違反したとしており、差止命令、不正に得た利益などの払い戻し、罰金などを求めている。

訴状によると、ハート被告は2018年にHexのマーケティングを開始。「高利回りのブロックチェーン預金証書」であり、金持ちになりたい人のためのトークンだと宣伝していた。2019年12月から2020年11月頃にかけて、未登録でICOなどを行い約1,420億円(10億ドル)以上を集めた。

また、この際にはハート被告がより多くのHexトークンの支配権を得ることを可能にする取引も隠れて行っていたとされる。

ICOとは

「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のことで、企業やプロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線にある。

▶️仮想通貨用語集

関連トークンは現在無価値に

SECは、ハート被告が2021年7月から2022年3月にかけても、PLSとPLSXという「未登録の仮想通貨証券」を通じて、それぞれ数億ドル以上に相当する仮想通貨を調達したと指摘。Hexトークンの「ステーキング」機能も提供し、38%もの高いリターンをもたらすと宣伝していたとする。

さらに、ハート被告は少なくとも約17億円(1,200万ドル)の投資家資金を不正に流用してスポーツカー、高級時計、「エニグマ」として知られる世界最大級のブラックダイヤモンドなどを購入していた。

訴状によると、ハート被告はYouTubeなどでもそのトークンを宣伝していた。例えばPLSXトークンについては「2年で10,000倍に値上がりすることは十分に可能性の範囲内である」などと述べて投資家を集めていた。

SECは、ハート被告が売り出したHex、PulseCoin、PulseXトークンの価格が現在は実質的に無価値になっているとも指摘している。

SECは、これらのトークンの有価証券性を判断する上でハウイーテストを参照。投資家が「利益に対する合理的な期待」を持っていたとみなした格好だ。

ハウイーテストとは

米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対してリーガルアクションを起こした経緯がある。

▶️仮想通貨用語集

フォートワース地域事務所のエリック・ワーナー所長は、次のようにコメントした。

被告は投資家に対し、証券登録せずにICOを行い、購入を呼びかけた。その後、彼は入手した仮想通貨の一部を法外な値段の高級品に費やしており、投資家をあざむいている。

今回の措置は、投資家を保護し、ハート被告の行為に対する責任を追及するものだ。

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