投資リターンについて不適切な説明
米証券取引委員会(SEC)は21日、米国のフィンテック投資会社タイタン・グローバルキャピタルマネジメントを、虚偽の広告や暗号資産(仮想通貨)サービスなどにおける法的遵守違反で告発した。
タイタンはSECの指摘事項を認めることも否定することもなく、業務停止命令などに同意した形だ。
不正利益の放棄として約2,800万円(19万2,454ドル)、民事罰金として約1.2億円(85万ドル)を支払う。罰金は、被害を被った顧客の間で分配されることになる。
SECの命令によると、タイタンは個人投資家に、モバイル取引アプリを通じて投資戦略を提供していたが、2021年8月から2022年10月にかけて、誤解を招くような仮説上のパフォーマンスを宣伝していた。
具体的には、同社の仮想通貨戦略により2,700%ものリターンが得られるとしていた。これは、最初の3週間のパフォーマンスが1年間続くと仮定した数字だったが、タイタンはこの点を開示していなかった形だ。
また、SECの設定するマーケティング規則などで必要な措置を講じていなかったとも指摘されている。
SECは、その他にも、仮想通貨の保管方法についての説明が不適切だったこと、タイタンは同社従業員が仮想通貨の個人取引を行う際のポリシーを発表していたが、これを実行していなかったことなども挙げた。
SEC執行部のオスマン・ナワズ責任者は、次のように説明している。
複雑な投資戦略を宣伝する場合、投資顧問会社は投資家に対する情報開示の正確性を確実にする必要がある。
SECは2020年にマーケティング規則を改正し、アドバイザーが不正行為を防止するために設計された要件に従う場合に限り、仮説上のパフォーマンス指標の使用を許可している。
また、誤解を招くような宣伝や情報開示を行っていたタイタンに対する今回の措置は、「すべての投資顧問会社へ法的遵守を促す警告」でもあると続けている。
SECとは
1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。
▶️仮想通貨用語集
各国の広告規制
仮想通貨関連製品の広告に関しては、英国の金融行動監視機構(FCA)が7月に、10月8日までに、既存の金融製品プロモーションに関するルールを遵守する必要があると発表したところだ。
既存ルールでは、対象となるプロモーションが公平、明確、誤解を招くものではないという要件や、リスク開示、クーリングオフ制度の設置などが求められている。
また、シンガポールは2022年1月、仮想通貨企業は自社の公式プラットフォームのみで広告を行うとするガイドラインを発表した。ソーシャルメディアなどでインフルエンサーを起用して行う宣伝や、公のメディアや場所での宣伝を禁止している。