仮想通貨製品の宣伝に関する規制を強化
英国の金融行動監視機構(FCA)は4日、同国の顧客に暗号資産(仮想通貨)を宣伝する企業は、2023年10月8日までに、金融製品プロモーションに関する既存のルールを遵守する必要があると発表した。
これは、英国政府が仮想通貨を金融プロモーション制度の対象とすることを法律で制定したことを受けたものである。海外に拠点を置く企業を含め、英国の消費者に仮想通貨を販売するすべての企業に適用されるものだ。
ウェブサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアの投稿、オンライン広告などについても、この制度で規制される。
制度は、製品の広告宣伝を行う上でいくつかの条件を課している。例えば、一定の権威や資格がある者が行うことや、FCAに事業登録済でマネロン・テロ資金調達・資金移動規制(MLR)を遵守する企業が行うことなどを定めている。
こうした条件に当てはまらない企業がプロモーションを行った場合、金融サービス市場法違反により、最高2年の懲役や罰金が科される形だ。
また、条件をクリアしてプロモーションを行う場合でも、別途FCAが定めるルールに準拠しなければならない。
そのルールでは、対象となるプロモーションが公平、明確、誤解を招くものではないという要件が課せられる。さらに、消費者に対するリスクの開示や、クーリングオフ制度の設置などが求められる。
金融行動監視機構(FCA)の市場監督・政策・競争担当責任者を務めるサラ・プリチャード氏は5月、宣伝に関する規制強化について、次のように述べていた。
私たちは、英国の消費者に対してマーケティングを行っている企業を監督対象とするつもりだ。規則を遵守しない企業を監視し、必要に応じて法的な強制措置を取るよう努める。
英国では、リスクの高い金融商品のプロモーションにおいては「これは高リスク投資であり、そのリスクを必ず理解してください」といった警告の文言が表示されることになっている。仮想通貨についても、今後は同様の規則が適用される。
仮想通貨やWeb3を推進する英国
仮想通貨に肯定的なリシ・スナク首相の下、英国では関連規制の整備も進んでいるところだ。
6月29日には、仮想通貨を金融商品として規制する、金融サービス・市場法案の修正案が承認された。
この法案は、仮想通貨広告の監督、企業の登録制度、さらに、ステーブルコインを英国で決済手段として規制することを可能にする内容も盛り込んでいる。
英国では、2月に「科学・イノベーション・テクノロジー省(Department for Science Innovation and Technology)」が新設されており、メタバース(仮想空間)とWeb3に関する投資機会やビジネス戦略も探っていくと伝えられているところだ。
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Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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