ボラティリティの原因
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは3月29日、週次市場レポートを発表し、仮想通貨市場は第2四半期にプラスに転じる体制が整い、好転すると解説した。
3月の最終週は、米国の祝日や企業の月末及び四半期末の調整、また4月15日の確定申告期限を控えて、米ドルの需要が高まり「流動性の干渉」が起きたとレポートは指摘。さらに最近の価格変動は、ビットコインへ巨額の戦略的投資を行っているマイクロストラテジー社の株をショートする投資家と、ビットコインをロングする投資家の影響が関与している可能性があると述べた。
しかし、このような「逆風の多くは現在ではバックミラーの中にある」状況となっており、今後の展望は明るいとコインベースは見ている。
2024年第2四半期のセットアップは、仮想通貨のパフォーマンスにとってより有利になるように思われる
ただし、実際に後述する「ポジティブな要因」が明確に市場に反映されるのは、4月後半となる可能性が高いとレポートは予想している。
需要と供給の力学
4年に一度のビットコインの半減期は4月20日前後に発動予定で、ビットコインの供給サイドにおける主要イベントとして、注目されている。マイニング報酬が半分に減少することでBTCの発行ペースを鈍化させるため、ビットコインの希少価値が高まる。
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供給量が低下する一方で、需要面では、米国のブローカーディーラーが遵守すべき新規金融商品に対する審査期間(90日)が、早ければ4月10日に終了する可能性があると、レポートは指摘している。
大手ブローカーディーラーは、投資アドバイザーに顧客資産の割り当てを許可する前に、デューデリジェンスとして、ビットコイン現物ETFなど、新規発売された金融商品の厳格な精査を行うことが通例だという。
レポートによると、米国では、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどの大手金融企業の他にも、LPL Financialなど、多くの資産管理企業が存在しており、典型的な新規商品の審査期間は3ヶ月だが、それより短い期間を設けている企業もある。
以上を考慮すると、中期的には、米国を拠点とするビットコイン現物ETFに、「かなりの資本が流入する可能性がある」とコインベースは予想している。
資産運用企業21Sharesのレポートによると、米国の公認投資アドバイザーは114兆ドル(1京7,315兆円)を監督しており、ビットコインへ1%の配分を行った場合、巨額資金流入の引き金となると考えられている。その場合、需要が供給を圧迫し、ビットコインは現在の時価総額の2倍近くになると21Sharesは予測した。
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機関投資家の関心
レポートでは、第2四半期に市場の急騰を促進する可能性のある、もう一つの要因として、仮想通貨投資に対する機関投資家の関心を強調した。
レポートによると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物における、レバレッジを活用したショートポジションの高い水準が示すように、仮想通貨投資に対する機関投資家の需要は引き続き高まっている。
同取引所における先物取引は、2024年3月19日にCMEビットコイン先物の建玉総数33,196枚(105億ドル相当)に対して、19,917枚と過去最高を記録した。
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