XDC Networkの概要
XDC Networkは、「XinFin Delegated Proof of Stake (XDPoS)」コンセンサスメカニズムを採用した、堅牢でエンタープライズグレードのLayer 1パブリックブロックチェーンです。様々なトークン化された資産に対して高い拡張性、効率性を持ち、高速かつ低コストで利用可能な決済プラットフォームを提供するために設計されています。
- 平均手数料:0.00001米ドル
- 1秒当たりの処理数:2,000トランザクション
- トランザクション処理時間:2秒以下
◆XDC Networkの主な性能
XDC Networkは、企業間の銀行決済と貿易金融の流れを効率化し、企業の資金調達の流動化を促進するためのプラットフォームを構築しています。また、多様な貿易金融商品や現実世界の資産(Real World Assets, RWA)のトークン化をサポートするアプリケーションの基盤を形成しています。
XDC Networkの運営体制
XDC Networkのチームは、ブロックチェーン技術が貿易金融業界に革命をもたらす可能性を信じ、情熱を共有する経験豊かなプロフェッショナルで構成されています。
XDC Networkのエコシステムは、ドバイ、アメリカ、シンガポールを含む世界各国にコミュニティを展開しており、コミュニティ主体で貿易金融、サプライチェーン管理、クロスボーダーペイメントなどの経済活動を促進しています。日本では、SBIグループとの合弁会社「SBI XDC Network APACC株式会社」を2023年12月に設立し、SBIグループを通じたビジネスパートナーとの交流を強化しています。
XDC Networkの特徴
XDC Networkでは、「XinFin Delegated Proof of Stake (XDPoS)」と呼ばれるプロトコルが採用されています。これは、厳格な基準を満たしたマスターノードがブロックの生成と承認を行うことで、堅牢なセキュリティを維持しています。
また、ISO 20022準拠のAPIソリューションにより、企業はデジタル資産を活用した即時決済の導入が可能。国際的な金融取引においても効率的でスムーズな取引の実現を目指しています。
スマートコントラクト機能を活用して、船荷証券などの現実資産(RWA)をデジタルアセットに変換。それにより、業務効率、サプライチェーンの自動化、リスク管理を強化し、透明性とトレーサビリティを向上させています。また、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換チェーンとして、他のEVM互換ブロックチェーンとのクロスチェーンブリッジが可能です。
同ネットワークのネイティブ・トークンであるXDCは、バリデータのインセンティブ付与や、スマート・コントラクト、クロスボーダー取引、エコシステム内の分散型アプリケーション(dApps)を含む様々な機能のサポートに使用されています。
貿易金融市場の課題
貿易金融分野では、特に中小企業や零細企業が直面する資本ニーズに対し、そのニーズを満たす制度の欠如が大きな問題です。この問題は、発展途上国の中小・零細企業において特に顕著です。
中小企業は、担保要件の厳しさ、信用力の不足、貿易金融に関する知識の欠如などの理由で、銀行からの資金調達が困難な場面が見られます。結果として、銀行は中小企業の貿易金融の申し込みの40%以上を拒否しており、この需要は2022年に1兆7,000億ドル、2023年には5兆ドルに拡大しています。
ブロックチェーン技術の導入により、インターネット上で直接行われる貿易が可能になり、これが貿易金融のギャップを埋める手段となり得ます。この技術によって、透明性が向上し、信用評価や資金調達のプロセスが改善され、より多くの企業が貿易金融の恩恵を受けることが期待されます。
日本でのXDC Networkの取り組み
XDC Networkは、国際貿易金融協会(ITFA)やその関連組織であるDNI Initiative、貿易金融流通イニシアティブ(TFDi)など、世界的な貿易団体と独自の提携関係を結んでいます。これらの団体は貿易文書のデジタル化や貿易金融の流動化を目的とし、XDC Networkはそれを支援するブロックチェーン構造と相互運用性を提供しています。
2023年にはSBI VCトレードとの協力関係が確立され、同社が国内でXDCトークンの取扱いを開始しました。また、SBIホールディングスはUAEのTradeFinex Tech Ltd.と共に合弁会社「SBI XDC Network APAC株式会社」を設立し、SBI R3 Japanが提供する「Corda」との接続を含む実証実験を発表しました。
これら近年のSBIグループとの取り組みに加え、XDC Networkと日本との関わりは2018年に遡ります。現SBI XDC Network APAC株式会社の最高執行責任者、XDC Networkの上級主席顧問兼日本代表の吉田匡が、XDC Networkの前身であるXinfinに2018年より参画しています。
現在では、SBI XDC Network APAC株式会社の最高戦略責任者、XDC NetworkのAPAC地域代表に加藤千裕を加え、日本およびAPAC地域での業容拡大を目指しています。
XDC Networkの分散化
XDC Networkは2017年の設立以来、しばらく中心的なグループによって開発が進められてきました。しかし、2021年半ばには、コミュニティに焦点を当てた独立組織であるXDC Foundationも設立され、非中央集権的な運営体制への移行が始まりました。
さらに、2023年2月には、「DaoFin」というハイブリッド型DAOが導入されました。このDAOの目的は、XDCネットワークのさらなる分散化を推進し、コミュニティの多様な利害関係者が公平に参加できるシステムを構築することです。
このプロセスは段階的に進められ、トークン(投票権)の広範囲にわたる分散化を経て、民主的なガバナンスへの移行が進んでいます。