
今週署名するか
トランプ大統領が仮想通貨関連の新たな大統領令に今週にも署名する見通しとなった。複数の関係者が3月11日、仮想通貨メディアDecryptに明かしたところによると、この大統領令はバイデン前政権時代に仮想通貨企業の銀行サービス利用を困難にした反仮想通貨政策を標的にしている。
情報筋によれば、新たな大統領令は「オペレーション・チョークポイント2.0」と呼ばれる政策の明示的な撤回を目指すものだ。これはバイデン政権が仮想通貨企業や関係者に銀行サービスを拒否したとされる計画で、業界から強い批判を受けていた。
ホワイトハウスの仮想通貨作業部会のボー・ハインズ事務局長は、大統領令の準備が進んでいることを認めつつも詳細には言及しなかった。「業界は近いうちに何らかの動きを期待できると思う」とハインズ氏はDecryptに語った。同氏はまた、トランプ政権がオペレーション・チョークポイント2.0に関連するすべての慣行を終わらせることを約束したと改めて強調した。
オペレーション・チョークポイントとは
チョークポイントとは、流れが滞る難所などを意味し、「オペレーション・チョークポイント1.0」は、2013年に銃器販売業者など、詐欺やマネロンのリスクが高いと考えられる業界への銀行サービスを司法省が制限した動きを指し、2.0は米国政府による仮想通貨業界に対する銀行サービスからの締め出しの動きを指す。
連邦公認のすべての銀行はマスターアカウントを保有しており、これによって連邦準備制度理事会(FRB)との直接支払いやアクセスが可能となる。こうしたアカウントは銀行が全国的に顧客にサービスを提供するために不可欠だ。バイデン政権時代、FRBはCustodiaなど仮想通貨に特化した銀行へのマスターアカウント付与を一貫して拒否し、その成長を妨げてきた。
この政策を変更し、仮想通貨銀行がFRBのサービスにアクセスできるようにすることは、デジタル資産業界にとって大きな進展となる。ただし、通常、連邦準備制度理事会の政策はホワイトハウスによって指示されるものではない。中央銀行は独立した機関とみなされており、その決定は「大統領や行政・立法部門の他の誰の承認も必要としない」というのがFRB自身の方針だ。
一方、FRBのパウエル議長は先月の米上院銀行委員会の公聴会で、仮想通貨業界が銀行サービスから締め出されているという批判を受け「新たな視点で見直すべき時期に来ている」と述べ、規制当局が銀行に対し過度の規制を行わないよう協力すると約束した経緯がある。
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