
分野別で進行へ
トランプ政権が先週開催した史上初のホワイトハウス仮想通貨サミットは一回限りのイベントになるのか、それとも業界リーダーとの公式対話が継続されるのか。この点について、大統領デジタル資産作業部会のボー・ハインズ事務局長は米メディアDecryptとのインタビューで、サミットのような形式は当面再現される可能性は低いとの見解を示した。
ハインズ事務局長は、今後ホワイトハウスが「分野別小規模サミット」を招集し、「特定の政策分野に関する詳細な議論」を可能にする方向性を検討していると述べ、「効率的なプロセスを確保し、最良の情報を入手できるようにして、適切な意思決定ができるようにしたい」と説明している。先週土曜日のサミットには、ストラテジー、コインベース、ジェミニ、ロビンフッド、クラーケン、クリプト・ドットコムなど30社以上の仮想通貨企業のCEO陣が参加。政府側からはトランプ大統領をはじめ、ホワイトハウスAI・仮想通貨特命官デビッド・サックス氏、スコット・ベセント財務長官、ハワード・ルトニック商務長官、CFTC(商品先物取引委員会)のキャロライン・ファム代理委員長、SECのヘスター・パース仮想通貨タスクフォース責任者など多数の要人が出席した。
ハインズ事務局長によれば、対象を絞った業界サミットへの移行により、ホワイトハウスは仮想通貨政策の方向性を決定する際の機動性を最大化できるという。具体的には、こうした小委員会は現在議会で進行中の法案関連の政策分野をカバーすることになるだろうと説明。現在、議会ではステーブルコインと仮想通貨市場構造という二つの重要分野で仮想通貨関連法案が検討されている。
また、ハインズ事務局長は、他にも少数のプレーヤーで構成されるカテゴリーにフォーカスした小規模サミットの開催も検討していると話した。具体的な候補としては、中央集権型取引所、仮想通貨マイニングとエネルギー、投資などのテーマが挙げられている。
先週のサミットでは、政府関係者や仮想通貨業界関係者がトランプ政権の就任後50日間における仮想通貨規制緩和策とビットコイン準備金設立に感謝の意を表明。バイデン前政権下での引き締め政策から、より公正で革新を促進する法的枠組みへの軌道修正が高く評価された。トランプ大統領は一般公開されたオンライン配信で「今日から、我々は『ビットコインを決して売るな』というモットーに従うことになる」と発言し、戦略的ビットコイン準備金のためにより多くのビットコインを購入する新たな方法を模索していくと言及したものの、具体的な追加購入計画や今後の仮想通貨業界改革については詳細な言及を控えた。
一方で、サミットの内容については批判の声もある。インポッシブル・クラウド・ネットワークの共同創設者、カイ・ワルジネック氏はThe Blockとのインタビューで「トランプ大統領の待望の仮想通貨サミットは広報活動にすぎなかった」と指摘。「仮想通貨に大きな変化を約束しながらも、トランプはほとんど何も提供しなかった」とし、「結局のところ、このサミットは選挙に勝つために行った約束に対するリップサービスだった」と厳しく評価している。
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ハインズ事務局長は、初の仮想通貨サミット終了後、まずデジタル資産作業部会との協議を行ってから、次に議会指導部と会談しそこから具体的な政策行動項目を策定する計画だと伝えている。トランプ政権の仮想通貨政策は大規模サミットから細分化された専門会議へとシフトする中、業界関係者からは実効性のある規制枠組みの構築に向けた具体的なアクションを望む声が高まっている。
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