
金融犯罪対策協会が発足
暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyer(ビットフライヤー)やセブン銀行など8社は、一般社団法人金融犯罪対策協会を立ち上げる。金融犯罪についての知見を共有し、金融犯罪対策の強化に取り組んでいく。
bitFlyerは、セブン銀行、SCSK RegTech Edge、Chainalysis Japan、Liquid、NTTデータ ルウィーブ、野村総合研究所、ジンテックの7社と協力し、新たに「金融犯罪対策協会」を設立しました。
— bitFlyer(ビットフライヤー) (@bitFlyer) March 13, 2025
金融機関や犯罪対策企業との知見共有を通じ、より一層の金融犯罪対策の強化に取り組んでまいります。 pic.twitter.com/4pXa4Qo34g
当初の参加企業は、SCSK RegTech Edge、NTTデータ ルウィーブ、ジンテック、セブン銀行、チェイナリシス・ジャパン、野村総合研究所、ビットフライヤー、Liquidとなる。協会理事長は、ビットフライヤーの法務部長である中崎隆氏だ。
協会は、金融犯罪撲滅を目指し、金融犯罪に関する情報の相互共有、最新の手口や対策方法の共有、また啓発事業や金融犯罪関連の海外法の研究などを主な活動としていく。
ビットフライヤーの加納裕三代表取締役CEOは、次のようにコメントした。
bitFlyerとして、本日の「金融犯罪対策協会」設立に深い意義を感じております。
金融犯罪の被害者を一人でも減らすため、業界全体で協力し、安全かつ透明な金融環境の実現に取り組んでまいります。
なお、ビットフライヤーは昨年6月、神奈川県警刑事部長から感謝状を受け取っている。同社の提供したブロックチェーン解析情報が、ベトナム人グループによる地下銀行の摘発・解体につながったことに対するものだ。
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金融犯罪対策協会は、以前より活動していた「金融犯罪対策(AML・CFT)研究会」の姉妹団体として設立された。
この研究会は2020年に設立され、3月時点で500名の会員が参加している。組織犯罪、マネロン、テロ資金供与、拡散金融を減らすことについて、有志で研究を行っている私的な団体だ。
これまでに研究会を2か月に1回程度開催しており、FATF(金融活動作業部会)や各国政府の動向、犯罪に関するニュースなどについての共有も行ってきた。
FATFとは
「Financial Action Task Force」の略で、金融活動作業部会と訳される。1989年設立の機関で、マネロン・テロ資金対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組みのこと。G7を含む37カ国・地域と2地域機関がFATFに加盟しており、FATF勧告は、世界190以上の国・地域に適用される。
北朝鮮関連ハッカー集団が活発
仮想通貨業界をターゲットとした金融犯罪は依然として発生している。
日本では昨年5月、DMM Bitcoinがハッキング被害を受けた。犯行を行ったのは北朝鮮政府が支援するハッカー集団「ラザルス」の下位組織だったことがわかっている。
さらにラザルスは2月、Bybitにも攻撃を行い、約2,300億円相当の資産が流出。同様の事件の中でも過去最大規模となった。
こうしたハッキングについては、侵入の手口やマネロンの手法も分析されているが、今後の再発を防ぐ取り組みが求められるところだ。
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