
提携内容と両社の狙い
AltX Research株式会社は7月23日、同社が開発を進める国内発レイヤー1ブロックチェーン「Japan Smart Chain(JSC)」において、KDDI株式会社とビジョンパートナー契約を締結したことを発表した。
今回の提携は、JSCが国内の最新規制動向に柔軟に対応可能であることが期待されていること、またKDDIがバリデータ事業の拡大を視野に入れていることが背景にある。両社は連携によるシナジー創出を見込んでいる。
Japan Smart Chainは、日本国内の企業によってバリデートされる基盤的ブロックチェーンインフラストラクチャーである。ブラックリスト適用やトランザクションの優先制御を組み込んだコンプライアンス重視の設計により、規制に準拠したデジタル資産サービスの提供を可能にする。
両社は今後、以下の取り組みを進めていく予定である。
- KDDIによるJSCバリデータ事業の具体的検討
- JSCリソースを活用した国内向け新規サービスの実証実験に向けた準備
JSCの基盤上には、検証済みアイデンティティ、規制遵守、リスク管理をオンチェーンで直接担保する機能を備えたモジュール形式のスイート「Mizuhiki(ミズヒキ)」が構築される。企業は分散したオフチェーンのプロセスに頼ることなく、規制に対応したデジタルサービスの立ち上げと運用が可能となる。
国内ブロックチェーン市場への影響と今後の展望
大手通信事業者の参画により、ブロックチェーン技術の社会実装が加速する可能性がある。
KDDIがバリデータとして参画することで、JSCの信頼性とセキュリティがさらに向上することが期待される。また、KDDIの通信インフラとJSCのブロックチェーン技術を組み合わせた新たなサービスの創出も視野に入れている。
特に、規制対応を重視した設計により、金融機関や企業が安心してブロックチェーン技術を活用できる環境が整備される。これにより、日本におけるWeb3サービスの普及が促進されることが見込まれる。
JSCの主な特徴
Japan Smart Chainは、イーサリアムとの完全な互換性を備えながら、日本の規制環境に特化した独自機能を実装している。ユーザーの利便性を維持しながら、規制に準拠したデジタル資産サービスを提供するための基盤として機能することが特徴である。
今後、両社の連携により具体的なサービスや実証実験の詳細が明らかになることで、日本のブロックチェーン産業の発展に向けた動きがさらに加速すると見られる。
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