- 分散型取引所(DEX)の必要性
- 仮想通貨取引所バイナンスなどが出資する、世界初の分散型銀行”Founders Bank”をマルタで設立する計画などが話題になる中、ジョンマカフィーら業界著名人が考える、分散型取引所(DEX)の必要性とは。
- DEXとは
- 分散型暗号通貨取引所(Decentralized EXchange)のこと。 ブロックチェーン上の非中央集権型取引所であることで、高い安全性がメリットになる反面、割高な手数料や法定通貨が使用できない点、流動性及び利便性の低さがデメリット。
分散型取引所(DEX)の必要性
2018年7月にスイスで行われたTechCrunch主催のTechCrunch Session: Blockchain 2018にて、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブリテン氏は、中央集権的取引所を厳しく批判するような発言を行い、話題になりました。
彼は、仮想通貨と法定通貨を取引する場合には、中央集権的サービスを通さなければならないため、完全に分散化させることは困難であると踏まえた上で、以下のようにコメントしました。
中央集権的取引所が持つ、バカげた強権を取り上げるべきだ。
彼らはどのトークンを上場させ、価値を上昇させるかを選択する権限を持っており、さらに上場の際に、1,000万ドル(約11億円)〜1,500万ドル(約16億円)の手数料を取る場合もある。
分散化に向かって進んでいくことで、オープン性および、透明性というブロックチェーンの価値を高めていくことができる。
同氏は、法定通貨から仮想通貨への変換ということも含め、中央集権的取引所が無くなることはないと予想する一方で、今後も非中央集権的(分散型)取引所が増えてくるだろうと語り、仮想通貨市場の成長に良い影響を与えると言及しました。
その後、世界有数の仮想通貨取引所Binance CEOのCZ氏は、Buterin氏の過激発言に強く反発した上で、以下のように自身のTwitterで見解を述べました。
分散化は、方法であって目的ではない。目的は、あくまでも自由と選択肢を広げることで、人々が望むものを選ばせるべきだ。現時点で、人々が中央集権的取引所を好む傾向にあることは否めない。
さらに言えば、「効率性と普及性」も考慮すべきである。120億人の分散化/自由に向けた小さな一歩の方が、12人の大きな一歩よりも大きな影響を及ぼす。
誤解しないで欲しいのだが、私はブロックチェーン技術、非中央集権化、自由の実現には大きく賛同している。しかし、一方が他方よりも突出していくのでは無く、エコシステム全体を前に進めていくべきだ。」
今年3月にBinanceは、「将来的に、分散型取引所および、中央集権的取引所は共存していく」と記述。分散型取引所の設立に向け、独自のパブリックブロックチェーンである「Binance Chain」を開発していることを発表しました。
さらに今年7月、マルタ島で世界初となる分散型銀行”Founders Bank”の設立も計画されており、バイナンスも出資を行ったことが明らかになっています。
インターネットセキュリティのパイオニアのJohn McAfee氏も、8月8日に自身のTwitterにて「分散型取引所は未来であり、現実になろうとしている。」と語り、以前にも「機能的な分散型取引所が台頭するまで、取引所閉鎖のリスクに晒され続けなければならない。」と、中央集権型取引所に対する懸念を示しています。
しかし今年7月には、分散型仮想通貨取引所Bancorがセキュリティー侵害によって約20億円相当のトークン盗難を受け、同様の分散型取引所EtherDeltaも、2017年にフィッシング詐欺によって被害を受けています。
このように、完全に安全であるとは言えない分散型取引所ですが、仮想通貨業界内で先陣を切って活躍している人々がその必要性を訴求していることは、注目すべき点であると言えるでしょう。