はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

英名門大学が「ビットコインなど仮想通貨市場の価格操作」に関する学術論文を発表|4ヶ月で236件の相場操縦をAIが検知

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

英大学、仮想通貨市場における価格操作の実態を指摘する論文を発表
インペリアル・カレッジ・ロンドンが「仮想通貨におけるパンプアンドダンプ詐欺の全貌」と題した論文を公開した。論文内では7月から約4ヶ月で230件以上の相場操縦が行われたとしており、1日平均で約7.8億円分の出来高が価格操作から生じていると結果を明らかにした。

仮想通貨の価格操作に関する論文が公開

イギリスの名門大学であるインペリアル・カレッジ・ロンドンから仮想通貨における価格操作手法の一つである「パンプアンドダンプ」に関する学術論文が発表された。

今回、英大学のJiahua Xu氏とBenjamin Livshits氏が発表した「The Anatomy of a Cryptocurrency Pump-and-Dump Scheme」(仮想通貨におけるパンプアンドダンプ詐欺の全貌)と題された論文では、7月21日から11月18日の約4ヶ月の期間にかけて約236件の価格操作とみられる値動きがAIによって感知されており、1日平均で700万ドル(約7.8億円)分の出来高が価格操作から生じていると結論を発表した。

パンプアンドダンプとは

組織、または集団で事実とは異なる「虚偽の情報」を流すなどして、集団で価格を釣り上げ又は、暴落させることで価格操作を行い、不当に売り抜ける行為。日本では風説の流布と呼ばれている。代表例としては1998年のウルフ・オブ・ウォールストリートの元となったジョーダンベルフォート氏の経営していたストラットン・オークモント詐欺。

パンプアンドダンプの流れ|マイナーコインBVBの具体例

価格操作は一般的にテレグラムを介して行われており、大きな「パンプグループ」として12000名が参加しているグループ「Official McAfee Pump Signals」をXu氏とLivshits氏は挙げ、マイナーコインであるBVBで行われたパンプの事例を紹介した。

日本時間11月15日午前4時30分に同仕手グループで価格操作を促す通知が発信されると、わずか1秒後に最初の買いが入ったことが感知された。

出典:The Anatomy of a Cryptocurrency
Pump-and-Dump Scheme

その後事態は急変、通知発信直後に買いが殺到し、18秒後に価格はピークに到達した。

しかし中には意図的に遅く通知を送るグループもあるそうだ。

調査によると、仕手グループの運営者はインサイダー情報を駆使して、安易にグループ内のパンプを図るメンバーを裏切り追加の利益を得ることもある。

実際にCryptopiaと言う仕手グループではBVBの通知が「Official McAfee Pump Signals」のわずか20秒後に発信したが、その時には既に価格はピークに達していた為、Cryptopiaの通知に頼ったグループメンバーは「利益を得ることは不可能だった」とXu氏とLivshits氏は言及した。

価格操作に惑わされない為の防止策とは

学術論文では、過去の事例データに基づいた機械学習によって複雑なアルゴリズムで発生を探知していたが、一般の投資家にはそのようなAIは駆使できない。しかしそのような複雑な手法を駆使せずともパンプアンドダンプが行われている傾向は一般のユーザーでも以下の傾向を注視すればある程度は察知し、FOMOに釣られずに済むことができる。

  • 通貨の出来高が少ない
  • 低い時価総額の通貨である
  • 急激な値動き・上昇

実際、前述のBVBコインもこのような前兆でありふれていた。

まずBVBはあまりにも規模小さく、メジャーな仮想通貨データサイトであるCoinMarketCapにもリストされていない。ドイツのサッカークラブ、Borussia Dortmund(通称BVB)のファンによって同じファンの為に作られたとされる同通貨は2016年8月に発表されたが、最後の公式ツイートは8月31日2016年となっている。

さらに仮想通貨プロジェクトそのものの開発と普及が進んでいる事を表すGithub上のアクティビティも昨年8月を最後に触れられていなかった事実を踏まえると、上述した3つの前兆は信頼できそうだ。

実際に、Xu氏とLivshits氏が発表した論文で作成されたアルゴリズムを生の市場データに試行したところ、10月30日から11月6日にかけて6つのパンプアンドダンプとみられる動きを探知し、5つは本当に価格操縦であったことが確認された。

違法なパンプアンドダンプ

2月時点には米国の商品先物取引委員会がパンプアンドダンプ等の不正な価格操縦行為に対して発表を行い、このような詐欺を執り行う主犯格は厳しく罰する方針を示していた。その後、米CFTCは6月にコインベースやクラーケン等、4つの仮想通貨取引所にデータの開示を要求していた。

なお、CFTCはビットコインをコモディティとして捉えたり、昨年12月にCboeとCMEが開始したビットコイン先物の認可、会長であるGiancarlo氏のビットコインに対する肯定的な姿勢等、原則的には仮想通貨を新たなイノベーションとして保護、促進するアプローチを取っている。

8月時点では大手メディアのWSJが仮想通貨で「Pump and Dump」が8月までの6ヶ月間で121の通貨銘柄で計175回行われていたと報道していた。

仮想通貨の仕手グループ、相場操縦行為で約920億円を荒稼ぎか|ウォールストリートジャーナル
ウォール・ストリート・ジャーナルは、Telegramだけで74000人を擁する世界最大規模の仕手グループ「Big Pump Signal」が、26回に渡る相場操縦行為で244億円相当の取引を行ったと指摘。元メンバーの1人がその実態を暴露した。

また以前にも同様にデータを観測する機械、またはアルゴリズムがパンプアンドダンプを探知した事例があった。

9月にゴールドマンサックスが「仮想通貨の取引デスク開設を延期する」と発表し価格が急落した際も、AIベースの仮想通貨シグナルプラットフォームRoninAIのアナリストチームが、価格操作と疑う余地が見られる本来は存在すべきでない人為的な動きが突然起きた事を感知していた。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者7,000名突破。

CoinPostの関連記事

仮想通貨暴落劇にインサイダー疑惑も:AIがビットコイン市場心理の『異常』を検知
上昇傾向にあったビットコイン価格が突如大暴落し、仮想通貨市場で投資家の混乱を招いている。下落を示唆する”予兆”がなかったか、データサイエンティストと市場アナリストチームの合同リサーチで浮かび上がった異常な動きとは。
CFTC、価格操作の調査のために4つの取引所に取引データの提示を要求
米国CFTCは、価格操作が仮想通貨市場を歪めてる可能性を指摘しており、CMEのビットコイン先物の価格のインデックスとなる4つの取引所Coinbase、Kraken、itBit、Bitstampの取引データを提示することを要求しました。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/24 金曜日
18:48
米金融最大手JPモルガン、ビットコイン・イーサリアム担保融資を世界展開へ
JPモルガンがビットコイン・イーサリアム担保融資を2025年末開始することがわかった。米金融最大手の参入で暗号資産(仮想通貨)が機関投資家市場で本格化。モルガン・スタンレーなど大手金融も相次ぎサービス拡充している。
17:14
モブキャストHD、仮想通貨ソラナ(SOL)の取得・保有を開始
ソラナ特化のトレジャリー戦略で財務基盤強化へ モブキャストホールディングスは10月24日、暗号資産ソラナ(SOL)の取得および保有を開始したと発表した。 同社はかつてゲーム事業…
16:46
日本初の円建てステーブルコインJPYC、正式リリースへ
JPYC株式会社が10月27日午後1時、日本初の円建てステーブルコインJPYCを正式リリース。発行・償還・送金手数料は無料。第二種資金移動業者として第1号の認可取得。
16:30
米トランプ政権、量子コンピュータ企業へ株式取得型支援検討か 関連銘柄が急騰=WSJ報道
トランプ政権が量子コンピュータ企業への出資型支援を検討していると報道され、政府と協議中とされるIonQ、Rigetti、D-Waveなどの関連銘柄は最大20%上昇した。
13:25
イーサリアム『フサカ』12月3日実装へ、次期『グラムステルダム』準備も
イーサリアム開発者は第223回ACDE会議で、フサカアップグレードの12月3日実装と、次期グラムステルダムの提案締切(10月30日)を決定。BAL技術導入やEIP 8058の追加など、スケーラビリティ強化に向けた計画が明らかに。
12:45
中東・北アフリカの仮想通貨市場が成長 トルコでアルトコイン投機が活発化=チェイナリシス
チェイナリシスが2025年時点での中東・北アフリカ地域の仮想通貨市場を分析した。トルコ、イスラエル、イラン、UAEでの成長をそれぞれ解説している。
11:42
ビットコイン11万ドル台を回復、トランプ大統領のCZ恩赦でBNBとWLFIが上昇
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは11万ドル台で軟調推移。オプション建玉増加やETF流出が重荷も、需給整理進み反発期待の声。トランプ大統領によるバイナンス創設者CZ恩赦を受け、BNBは5%高、WLFIは15%急騰した。
11:30
カルシとレッドストーン提携 予測市場データを110超のチェーンで展開
DeFiレッドストーンとカルシが提携し、CFTC規制下の予測市場データを110以上のブロックチェーンで提供開始。オラクル技術により実世界イベントデータのオンチェーン化を実現、DeFi開発者に新たな構築基盤を提供。
11:05
資産運用大手ティー・ロウ・プライス、仮想通貨ETF市場に参入へ
資産運用大手ティー・ロウ・プライスは、仮想通貨ETFの申請書を米SECに提出。投資対象にはビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど時価総額が高い銘柄が含まれる。
10:50
BTCマイニング株、ビットコイン価格と連動せずAI事業シフトで上昇=JPモルガンレポート
JPモルガンの最新レポートによると、上場ビットコインマイニング企業の株価は仮想通貨価格との相関関係が崩れ、AI事業への転換により独自の動きを見せている。
10:10
ビットコイン需要が枯渇、不安定な局面続くか=Glassnode分析
Glassnodeが仮想通貨ビットコイン市場の最新レポートを分析。需要枯渇や長期保有者の売却増加から、市場の不安定な局面が続く可能性を指摘している。
09:35
トランプ大統領、CZ氏の恩赦について発言
トランプ大統領はバイナンス創業者のCZ氏への恩赦について「彼がやったことは犯罪ですらなかった」とコメント。多くの善良な人々の要請を受けて恩赦を与えたと明かした。
08:20
ポリマーケットが最大2兆円の評価額で資金調達検討、わずか4カ月で10倍に
米賭けサイトプラットフォームのポリマーケットは120億ドルから150億ドルの評価額で資金調達を目指す。6月の評価額10億ドルからわずか4カ月で10倍以上急上昇。
07:30
ソラナDEXジュピター、予測市場のベータ版をローンチ
仮想通貨ソラナのブロックチェーン上のDEXアグリゲーターJupiterは、予測市場のベータ版をローンチ。予測市場プラットフォームKalshiの流動性を活用している。
07:10
ビットコイン懐疑派ピーター・シフが金をトークン化へ、CZは「”信じてくれ”トークンだ」と批判
金の支持者ピーター・シフ氏がブロックチェーンベースのトークン化ゴールドプラットフォームを開発。バイナンス創業者のCZ氏は真のオンチェーン資産ではないと批判した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧