はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ハードフォークで取得した仮想通貨など「特有の事象」に関する税金計算方法を解説 | 寄稿『Cryptact(クリプタクト)』

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨特有の損益計算方法
今も成長を続ける新たなテクノロジーである仮想通貨。その成長が故に、仮想通貨にはハードフォークやトークンスワップなど他にはない特有の事象が起きています。日本において、これら特有の事象に対して、どのように確定申告へ向けた損益計算を行うべきなのか。税理士のご意見も合わせて、解説していきます。
株式会社Cryptact(クリプタクト)とは
2018年1月、Cryptact創業メンバー3人は元ゴールドマン・サックスで前職ではヘッジファンドと呼ばれる絶対収益型のファンドで運用を担当しており、そのシステム開発を行うエンジニアと共に設立しました。

▶️公式ホームページ:株式会社Cryptact

▶️Twitter:クリプタクト(@Cryptact)

目次
  1. 仮想通貨特有の事象に関する税務上の取扱い
  2. 仮想通貨特有の事象に関する損益計算方法
  3. 年内までにできる税金対策
  4. 企業紹介

仮想通貨特有の事象に関する税務上の取扱い

2018年も残すところ数週間となり、投資家の方は確定申告へ向け損益計算を考え始めている方も多いのではないでしょうか。

仮想通貨に対する確定申告に向けた損益計算方法は、国税庁からガイダンスも出ており、これにより仮想通貨特有の事象に関する計算方法も公表されています。

仮想通貨では、保有していることで他トークンが貰えたり、分裂したりと他にはない事象も多く起きているため、それぞれのケースにおいて、どのように損益計算を行うべきなのかを理解しておく必要があります。

今回は、最近も話題となったハードフォークと昨今増えているメインネット移行に伴うトークンスワップの損益計算に関して解説していきます。

ハードフォークの場合

去年のビットコインとビットコインキャッシュの分裂で話題となり、先月にもBCHがABCとSVに分裂騒動が起きたことで、再度注目されました。

ハードフォークには、いくつか種類がありますが、BCHの時を例で言うと、ブロックチェーンのアップデートによる永続的な分裂であり、大抵の場合は、分裂した片方のチェーンは支持されず、もう片方を真のチェーンとして続いていきます。

しかし、両方のチェーンに支持が分かれ、それぞれを真のチェーンとして続ける形になると、通貨価値としても分裂がおき、2種類の通貨が市場に存在する形で分裂が起きます。

ハードフォークの損益計算

ハードフォークの場合の損益計算は国税庁からのガイダンスにて公表が行われていますので、これに従って計算を行うといいでしょう。

・仮想通貨の分裂(分岐)により仮想通貨を取得した場合

仮想通貨の分裂(分岐)により新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、課税対象となる所得は生じません。

なお、その新たな仮想通貨の取得価額は0円となります。

※国税庁「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」から一部抜粋

ガイダンスにて公表されているように、ハードフォークにて取得した新たな仮想通貨は、この取得に所得は生じません。

ハードフォーク後、取得仮想通貨の売却や使用の際に、所得が生ずることになります。

先月、話題となったBCHのABCとSVのハードフォークも、これに該当するでしょう。

BTCもこれまで、BCHだけではなく、70種類近い新たなコインがハードフォークにより発生しており、BTCをご自身のウォレットで保管しアクションされた方は、これらのコインも付与されてハードフォークとしての計算対象となります。

なお余談ですが、BTCと異なりBCHはDAA(難易度調整)が存在するため、ハードフォーク後に両方のコインが存続しやすいコインになっております。

多くのPoWの仮想通貨は、処理能力を失ったチェーンは難易度が急低下しないまま価格下落と共にマイナー離れが起きますが、BCHはブロックごとにDAAが発動し、過去144ブロックの生成時間の移動平均による難易度調整が行われることで、マイナーの収益性がある程度担保されやすい仕組みとなっております。

メインネット移行に伴うトークンスワップの場合

昨今、イーサリアム上のトークン等(以下「旧仮想通貨」)によってICOを果たしたプロジェクトが、独自ブロックチェーン上の通貨(以下「新仮想通貨」)に切り替えるという事例が増えてきました。

これらメインネットへの移行に伴う、旧チェーン上で動いていたトークンが新ブロックチェーン(メインネット)上のトークンへ移行することをメインネット・トークンスワップと呼ばれています。

メインネット・トークンスワップでは、旧仮想通貨のホルダーが新ブロックチェーンのプロジェクトに対して所定の手続きを経て新仮想通貨を入手します。基本的に同名同数を引き継いで移行されますが、呼称が変更されたり、数量が増えるケースもあり、一概に括ることはできません。

主要な仮想通貨については、メインネット・トークンスワップ時に、海外取引所において、旧仮想通貨から新仮想通貨への移行が自動的に行われるケースもでてきました。

アップデートという観点から見ると、ハードフォークとも似た事象ではありますが、ブロックチェーンの分岐ではなく、独自ブロックチェーンへの移行になるため、別物になります。

トークンスワップの損益計算

損益計算上の本事象の扱いについて、税理士と協議の結果、以下のようなコメントをいただきました。

顧問税理士

イーサリアム上のトークンと、メインネットの仮想通貨は、仮想通貨同士の交換に該当すると考えられるため、実現損益の計算の対象となる。

交換所により自動的な交換が行われた場合は、本人の意思によらない取引ともいえるが、実質所得者課税の原則にもとづき、その交換所のユーザーがが所得認識するべきである。

トークンスワップ自体は同価値で売買が行われるため、損益への計算は複雑なものではないが、ICOや取引所で購入した価格からトークンスワップ時までに含み益が出ていた場合は、上記の解釈に従い確定申告の対象になると考えられます。

またトークンスワップ時に購入価格が変わったことで、その後に通貨売却を行なっていた場合は損益計算時の価格には注意が必要です。

税理士のコメントにもあるように、本人の意思によらない取引と言えるのではないかとも思えますが、現状では国税庁からトークンスワップに関するガイダンスは公表されていません。

トークンスワップのような仮想通貨にしかない新しい事象に対する税務上の取り扱いは、現状では今の事例や法令に当てはめて計算するしかありません。

ただハードフォークの場合も国税庁のガイダンスで対応が公表されているため、今後、トークンスワップに関する取り扱いに関するアナウンスが行われていくと思われます。

クリプタクトでは、顧問税理士の見解による処理に従うためのカスタムファイルでの処理方法についてご案内しておりますが、同時に、今後国税庁による見解が定まれば、当然その内容に従った自動処理を行うことで対応致します。

注意事項とご案内

メインネット・トークンスワップに関する損益計算方法につきましては、当社の顧問税理士の見解として受領し、一般的な取扱いについて述べたものであり、個別の状況は加味しておりません。税務上のご不明点につきましてはご自身の税理士にご確認くださいますようお願い致します。

ご自身で対象の通貨を保有しているのか、どの通貨が対象に考えられるのか等のご質問も専門家にご確認ください。

クリプタクトでは、トークンスワップの損益計算を自動処理できる機能を来年を目標に追加を予定しております。自動処理によって、トークンスワップ時に旧仮想通貨が凍結された時点で保有している残高について、同時刻の時価で全数を売却し、直後に同数の新仮想通貨を購入したものとすることを面倒な処理や計算を必要とせずに行うことが可能となる予定です。

自動処理が実装されていない本年の損益計算方法に関しましては、下記の「仮想通貨特有の事象に関する損益計算方法」の中でご説明いたします。

仮想通貨特有の事象に関する損益計算方法

ハードフォークの場合は、新たに取得した仮想通貨を0円で購入したと計算し、そこから売却を行なった場合は、その際に所得が発生することになります。

メインネット移行に伴うトークンスワップの場合は、トークンスワップが起きたタイミングで旧トークンは一度売却され、同数分の新トークンを買ったという形で損益計算を行うことになるため、旧トークン購入時からの損益は一旦実現されたという扱いになります。場合によっては確定申告の対象となりますので、対象の方は損益計算を行うことを推奨いたします。

出典:Cryptact

Cryptactが展開するtax@cryptactのサービスでは、取引所のデータをアップロードするだけで、自動的に損益計算を行うことが可能ですが、データがない場合はカスタム取引として、手入力によるデータ入力で計算することもでき、仮想通貨特有の事象に対する計算を手動で行うことが可能です。

既に30,000以上のユーザーが利用しており、個人利用向けには無料で利用出来るサービスとなっています。

公式ページはこちら

出典:Cryptact

基本的な使い方はこれまで行った過去全ての取引履歴(取引所の取引履歴や自身で作成したカスタムファイルなど)をtax@cryptactのサービスにアップロードすることで、自動的に実現損益と保有通貨毎の含み損益が算出されます。

出典:Cryptact

アップロード後にUI上で自由に取引を追加することができ、そこでハードフォークやトークンスワップのような取引所等のデータに存在してない場合の取引を手動で入力すると、その取引を反映させた結果が表示されます。

出典:Cryptact

このカスタム取引の機能を使うことで、仮想通貨特有の事象に対する損益計算を行うことが可能です。

tax@cryptact 画面において、ハードフォークの損益計算を行う手順になります。

  • ①ハードフォーク時の時刻の対象通貨の残高を確認する。

    この時刻に最も近い対象通貨のトレードを帳簿画面で探し、該当するトレードの詳細画面で対象通貨の残高を確認する。

  • ②ハードフォーク後の新たに取得した仮想通貨の買いトレードを入力する。

    時刻は ハードフォーク時の時刻 価格は、0円で入力してください。

tax@cryptact 画面において、トークンスワップの損益計算を行う手順になります。

  • ①メインネット移行時の時刻の対象通貨の残高を確認する。

    この時刻に最も近い対象通貨のトレードを帳簿画面で探し、該当するトレードの詳細画面で対象通貨の残高を確認する。

  • ②上記で確認した残高の、対象通貨JPY 売りトレードを入力する。

    時刻は メインネット移行時の時刻。 価格は、ご自身でお調べください。

  • ③同数の対象通貨JPYの買いトレードを入力する。

    時刻は、 メインネット移行時の時刻から5分後。 価格は、ご自身でお調べください。

※売りと買いに5分あけるのは、将来自動処理を入れる可能性があるためです。ご了承ください。

出典:Cryptact

含み損を実現させたい場合は、porfolio@cryptactのタブから詳細ページに飛び、そこで通貨ごとに含み損益やtax@cryptactで計算される簿価が記載されているので、含み損となっている通貨について売却を行うと含み損が実現されることになります。

この含み損の実現についても、UI上で自由に取引を追加することができるため、事前にシミュレーションすることが可能です。

出典:Cryptact

充実のサポートページ及びサポート体制

詳細なヘルプページを用意。各取引所における取引履歴のダウンロード方法や、計算方法の詳細、その他データ不足に伴う計算不能状態の解消「未分類取引の解消」などを掲載しています。

メールでのトータルサポートもあり、平均3営業日以内には回答いたします。

Cryptactサポートページはこちら

年内までにできる税金対策

下落相場が続いているため、今年の税金計算を重要視していない方も多いのではないでしょうか。

2018年は、下落相場が続いたが、下落前に売却を行なって利益を実現させた方は来年3月の確定申告が必要になる場合もあります。

「年末にかけての含み損の実現による売り圧力」は、投資面では注意点になる可能性もありますが、税金面で見ると、所得を減らすことのできる有効な手段の1つと言えます。

今回解説したメインネット移行に伴うトークンスワップでも含み損がある場合は、それを認識できますので、損だしを行うことが可能です。

トークンスワップで強制的に利益が出た方も、その分購入簿価が上がることになるので、年末のこの時点ではおそらく含み損になっている方も多いかと思います。それら状況をporfolio@cryptactで確認して、一度損だしの取引を行えば、メインネットスワップで出た利益も消せる可能性高いと思われます。

どのような投資家が対象となっているのか、その確認方法を税理士の見解と合わせて詳細に解説した記事がありますので、ぜひご覧ください。

知らないと損をする 2019年の仮想通貨税金対策|情報提供『Cryptact(クリプタクト)』
実現利益を賢く調整して税金を最小限に 下落が続いた2019年の仮想通貨市場も残すとこ...

企業紹介

株式会社Cryptact

Cryptactは、bitFlyerと業務提携したことでも有名な仮想通貨の実現損益計算サービスtax@cryptact及びポートフォリオ管理ツールportfolio@cryptactをサービス提供している企業。

出典:Cryptact

創業メンバー自身が行っていた仮想通貨取引の損益計算を簡単にするために、2017年に自用目的で開発したのがtax@cryptactの始まりで、機関投資家が利用するような高度なシステムを個人でも使用できるサービスとなっています。先月には、reports@cryptactと称して、元ヘッジファンド運用担当者による仮想通貨マーケットの分析レポートの配信も開始いたしました。

公式ページはこちら
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/24 月曜日
17:50
ブラックロック、ビットコイン投資の本質は「デジタルゴールド」 機関投資家が重視する“真の価値”とは?
世界最大の資産運用会社ブラックロックのデジタル資産部門責任者が、機関投資家がビットコインに投資する理由を解説した。「デジタルゴールド」としての価値保存機能が重視される一方、決済手段としての利用は依然投機的との見方を示した。
11:47
ソラナのインフレ率を下げる改善提案 今後6年で2,230万SOLの発行量削減見込む
仮想通貨ソラナのコミュニティがインフレ減少率を引き上げる改善提案を公開した。目標インフレ率への到達が6年から3年に短縮する見込みだ。
10:25
「仮想通貨市場の弱体化、背景にマーケットメーカーの機能不全」トム・リーが指摘
ビットマイン会長が仮想通貨市場の下落が続いている要因を分析した。10月10日の清算イベントがマーケットメーカーを機能不全にしていると見解を示している。
11/23 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ヴィタリック紹介のイーサリアム新ツールやXRPのステーキング導入案など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン売られ過ぎでも反転せず、12月FOMCの据え置きが現実味を増す|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC対円相場は1400万円割れまで下落。ヌビディア好決算後も1400万円割れが続き、米雇用統計の強弱まちまちな内容が見通し悪化を助長。12月FOMCでの金利据え置き観測が強まる。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|金融庁の暗号資産規制方針に高い関心
今週は、金融庁の仮想通貨規制方針、ビットコイン採掘割合の95%到達、ビットコインとイーサリアムの市況分析に関する記事が関心を集めた。
11/22 土曜日
13:45
ANAPホールディングス、企業向けビットコイン戦略支援「ビットコイン道場」を開始
ANAPホールディングスが企業のビットコイン活用を支援する継続型プログラム「ANAPビットコイン道場」の提供を開始した。会計や税務などの実務を専門家が包括的にサポートし、参加企業がコミュニティ形式で課題解決に取り組む仕組みを提供する。
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧