- ローソン、無人レジ化も見据えた「スマホレジ」全国導入へ
- ローソン社長は、「2019年度は、本当の意味でオペレーション改革元年が始まる」と宣言、消費増税に関する国のキャッシュレス促進施策や東京五輪などの需要を背景に、無人レジ化も見据えた「スマホレジ」全国導入する。
ローソン、無人レジ化も見据えた「スマホレジ」全国導入へ
ひと昔前と比較して、コンビニエンスストアでは競争率が激化した上、人手不足から店員の外国人比率が高まり、時給も高騰する一方だ。不人気エリアの経営を逼迫させている現状も取り沙汰されている。
そんな中、ビジネスインサイダーのインタビューで、2016年3月から巨大フランチャイズチェーンのトップに就いたローソンの竹増貞信社長が、仮想通貨基盤の技術を含む”来るべきキャッシュレス社会”に対して、以下のように見解を示した。
2018年度は、レジまわりなど次世代に向けたインフラ整備を完了させた。
新年度は、本当の意味で“オペレーション改革元年”が始まると考えている。店側がかける手間や時間を減らすと同時に、お客さまにはより多くのメリットを感じてもらうという、一見矛盾したこの改革を実現するには、やはりデジタルの力が必要だ。
オフィス街の店舗をはじめ、昼時はレジに長蛇の列ができるところが多いことで、買うのをあきらめて帰ってしまう客も少なくないという。
2019年10月に消費税税が10%に増税されることを念頭に、日本政府は増税後のキャッシュレス決済で5%還元を打ち出している。ローソンではこれを活用し、スマホ決済(ローソンスマホレジ)を全国で大々的に導入することで、混雑緩和と同時に店員の負担軽減を実現したい考えだ。
昨年10月には幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2018」では、ローソンの展示ブースにある「無人レジ」に報道陣の高い関心が集まった。
キャッシュレス推進は国策の一つ
背景あるのは、国をあげたキャッシュレス社会の促進がある。
海外主要国のキャッシュレス比率の推移と比較すると、その差は歴然であり、欧米は2016年時点で軒並み50%越え、不現金決済時の還付制度や小規模店への手数料規制などを設けた韓国では、96.4%と脅威のキャッシュレス決済比率を示している。
日本での少子高齢化社会が加速する中、ローソンでの決済はいまも83%が現金払いであり、年金支給日である「偶数月の15日」は、ATM事業利用者が増えるという。
そんな中、ローソンでは、客自身が紙幣や硬貨を投入して精算することができる「セルフレジ」の導入を決めた。既存レジの延長線上にある「自動釣り銭機能」を備えながら、カウンターの内外をひっくり返すと(客自身が紙幣や硬貨を投入して精算する)セルフレジになる仕組みを導入した。
国内アパレル最大手のユニクロやGUを擁するファーストリテイリング社では、2017年末からICタグ(RFID:radio frequency identifier)を活用したセルフレジの導入を都内で始めている。
GUのセルフレジは、ハンガーごと専用のボックスに放り込んで蓋を閉めるだけで、わずか数秒で購入金額が表示されるなど、一連のプロセスは直感的な操作で簡単だ。現金だけでなくクレジットカード決済も可能で、数年前までレジ前に長蛇の列ができていたことを考えると、混雑が大幅に解消され時間短縮(通常のレジの1/3ほど)になるなど利用客の評判も上々である。
レジの担当者を減らして店内での接客などサービス拡充に回すことができたとする一方、全国的にセルフレジが普及した場合、サービス業全般で雇用が失われるという大きなデメリットも指摘されている。
現金需要がなくなるわけではない
ただし、「人と一緒にやる仕事だからこそ、安易な発想でデジタル技術をそこに組み込むことはできない」と語り、対面販売や心の交流を前面に押し出す竹増社長は、国内における現金需要の高さも痛感している。
キャッシュレス化推進の必要性は、重々承知。我々自身も楽になるので、政府が推進する『2025年にキャッシュレス決済の比率40%』の目標達成に向けて努力する。
ただ、ローソンが抱える現金需要には大きなものがあるし、5、6年後に政府目標を達成できてもなお6割の現金払いが残る。そう考えると、自動釣り銭機能付きレジの導入はベストの選択だったと思っている。
金融業界もキャッシュレス関連事業に注力
みずほ銀行が、2018年1月に公開した資料では、「日本は現金決済率が高く、社会的コストは大きい」点を指摘。各国の経済発展の度合いと現金決済の関係について図解。小売/外食業界を中心に、約10兆円の経済効果を見込めると試算した。
「Jコイン」構想は、みずほ銀行やゆうちょ銀行が主導で進めており、ビットコインのように相場に連動して価格変動する通貨ではなく、日本円の価値と連動・等価交換できる、電子マネーのように使用可能なデジタル通貨の仕組みだ。
また、SBIホールディングスが手掛ける「マネータップ」は、[(SBIが出資する)米Ripple社の分散台帳技術である「xCurrent」を利用したオープンな決済ネットワークとなっており、大阪万博(2025年国際博覧会)の外国人観光客によるインバウンド需要に向けた普及を目指している。
2016年時点で、キャッシュレス決済比率が20%に留まる日本(韓国96.4%)だが、東京五輪や大阪万博の決定を受け、キャッシュレス化への動きが加速しつつある。国内最大手企業が仮想通貨業界への追い風となり得るか、注目されている。
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