- NEM移行対策グループ、新通貨「Catapultトークン」の入手法など新提案
- NEM財団やテックビューロ社などで構成されたCatapultマイグレーショングループは、Catapultローンチの告知を発表した。ローンチ方法は新チェーンへのオプトインとなり、新通貨「Catapultトークン」が作成される。
NEM移行対策グループ、新通貨「Catapultトークン」の入手法など新提案
NEM財団、ネムスタジオ、ネムベンチャーズ、テックビューロ株式会社により構成された「Catapultマイグレーション(移行対策)グループ」からのコミュニティに向けた合同メッセージとして、「Catapultローンチの告知」が発表された。
各事業体の代表は、2019年7月以来、豊富な経験と多様な能力を持つチームで構成された運営委員会にて、Catapultに関する様々なオプションや課題、影響、機会についての分析や議論を共同で行ってきたという。
仮想通貨NEM(XEM)は、仮想通貨情報サイト「coinmarketcap」のデータで時価総額25位(9/16時点)に位置し、日本国内でも国内大手仮想通貨交換業者のコインチェックに上場しているメジャーアルトの一つ。
「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称を持つ仮想通貨のプロジェクトであり、「NEM v.2」と位置づけられる「Catapult(カタパルト)」とは、市場の注目を集めている次世代NEMフル機能コアエンジンのことだ。
今回新たに発表された資料の中で、「Catapultマイグレーショングループ」は多くの議論と検討の結果、全会一致で一つのアプローチに達し、NEMコアチームへの提案とレビューがなされたことを報告した。決定事項は以下の内容になる。
ネットワーク/チェーン | 2チェーン |
トークン名 | 2種類 |
ローンチ方法 | 新チェーンへのオプトイン(承諾制) |
マイグレートされる物 | XEMバランス、マルチシグアカウント、ルートネームスペース |
マイグレートされない物 | その他全て(サブネームスペース、モザイク、モザイクバランス、Txデータ 等) |
NIS1とCatapultの「テクノロジースタック」には互換性がない。
これはCatapultの取り掛かかる際に決定されたものとなるが、そのため、既存の分散化された(非中央集権)ノードでのアップグレードは、リスク面に加え膨大な時間を要するなど極めて困難となる。
Catapultトークン
1チェーンアプローチをとった場合、実際にその場でアップグレードすることはほぼ不可能であり、分散型チェーンをシャットダウンするという中央集権的な決定が適切でないことから、2チェーンアプローチが有力だとした。Catapultマイグレーショングループの計画では、NIS1と並行する形でのCatapultの導入を行う。
また、「2チェーン法」では2つのトークンを持つことになる。チェーンのトランザクション手数料を支払うためにそれぞれがネイティブ通貨を持つことになるため、XEMは継続し、Catapultのために新たなトークン(名称検討中)が作成されることになる。
2チェーンシナリオにおいて、NIS1からCatapultへのXEM保有移行方法を考案した場合、トークンの受取方法には以下の3つの案が候補にあった。
1. スナップショット
通常はコミュニティの分裂に起因したチェーン分裂となる「ハードフォーク」や、バグ修正の場合に利用される。
スナップショット撮影時点のXEM保有量をコピーし、全アカウントを現在の「NIS1(NEM v.1)」からCatapultに取り入れるモデルだが、このアプローチでは、トランザクションの署名に複数の秘密鍵を必要とする技術「マルチシグ」のセキュリティ面が課題となるという。
▶︎デメリット
中央集権的な決定で税金面、法律面、思想的な課題が残るほか、膨大な数の「NIS1(NEM v.1)」マルチシグアカウントが、Catapultの影響でシングルシグネチャ(公開鍵と秘密鍵を一対で照会する仕組み)となり、より高いセキュリティを持つマルチシグを選択したホルダーや取引所をリスクに曝すことになることが懸念されている。
2. トークンスワップ
このモデルでは、ホルダーはローンチ前後に自由にオプトイン(NIS1からcatapultへの移行の許諾)することができる。 ホルダーは許諾後、(NIS1の)XEMを放棄することで、「Catapultトークン」を与えられる。
▶︎メリット
アカウントレベルでの2つのトークン価値の分裂回避がある
▶︎デメリット
NIS1のXEM放棄が必要になるため、2つのチェーンを運用する場合、グループによっては高いリスクと考えられるいくつかの課題が発生。オプトイン後、(NIS1上の)トークンがバーン(焼却)されるとNIS1オーナーシップがより中央集権化するほか、速やかに承諾しないNIS1の安定性が弱体化する。
また、法的な観点からリーガルチームは、NEM関連法人やコアチームに対して、「トークンスワップ」での解決は非推奨と進言している。
3. トークンアロケーション
3つ目の案としては、トークンアロケーション(仮想通貨トークン配分)が挙げられる。 ホルダーはローンチ前後に自由にオプトインを行うことができる。
この方法であれば、XEMトークンをバーン(焼却)する必要はなく、Catapultのローンチ前にNEM Walletから(またはプログラムから)トランザクションを送り、承諾の意志を示すことで「Catapultトークン」が付与されるという。具体的には、Catapultにおける、チェーン内の一番初めの「ネメシスブロック」は、承諾済みアカウントにCatapultトークンを配布する。
公式資料によれば、NEMのマイグレーションチームが熟考の末、最も良いアプローチであると投票を行ったのは、3つ目の選択肢である「トークンアロケーションオプトイン」だという。これはイーサリアムが、Eth2.0のために利用するワンウェイブリッジオプトインのメカニズムと同じであり、恐らく同様の理由によるものだとの見解を示した。
パブリックコメント募集
なお、NEMの「Catapultマイグレーショングループ」は、Catapult製品ローンチに関してコミュニティの意見を収集する準備が整ったとして、ユーザー側のフィードバックを得るため、専用のGoogleフォーム上で、多くのパブリックコメントを求めている。
集まった意見は、移行範囲に関する情報提供や「ローンチ日」の設定の参考にするという。