FATF基準を受けマネロン対策強化
韓国の暗号資産(仮想通貨)取引所に、新たなAML(資金洗浄対策)要件などを課すことを定める草案を、同国の金融委員会(FSC)が発表した。
国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)の推奨基準、特にトラベル・ルールに合わせて「特定の金融取引情報の報告・使用に関する法」に追加事項を加えるものである。
トラベル・ルールとは、マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、VASPには取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。
対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
具体的な追加要件
具体的な義務としては、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)が顧客との金融取引で実名口座を使用すること、顧客資産を取引所資産とは切り離して預金しておくこと、韓国インターネット振興院(KISA)から情報セキュリティ管理システムについての証明書を取得すること、顧客の取引記録を個別管理することを規定に求めている。
その他にも、VASPには5年以内に罰金や罰則を適用された記録がないこと、当局によりマネーロンダリングリスクの評価を受けることが必要としている。
尚、「仮想資産」は「デジタルで取引あるいは転送可能な、経済的価値のあるデジタルトークン」として定義され、法定通貨や商品と交換できず使用目的が限定されるトークン、プリペイド電子決済、モバイルギフトカードなどは除外されるという。
今回の追加要件は、2021年3月25日に発効予定だ。2020年11月3日から12月14日までの間、パブリックコメントを受け付けている。
プライバシー通貨の取り扱いも禁止予定
韓国ではまた、プライバシー通貨も禁止されることになる方針だ。
当局は「取引履歴の把握が困難で資金洗浄リスクが大きい仮想資産については、事業者の取り扱いを禁止する予定」と述べた。
2021年3月から法律が施行された後には、ダッシュ(DASH)、Zcash(ZEC)、モネロ(XMR)などの銘柄が禁止される可能性がある。
FATFの推奨基準を受けて、すでに韓国の仮想通貨取引所はプライバシー通貨の取扱いを廃止しているところだ。2019年9月時点で、仮想通貨取引所OKEx(韓国)やUpbitは、ZEC、XMR、DASHやその他の銘柄を上場廃止している。
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