タイ、仮想通貨への税制緩和を発表
タイ政府は8日、暗号資産(仮想通貨)への税制を緩和することを発表した。ロイター通信が報道した。
具体的には、Arkhom Termpittayapaisith財務相が記者会見で、仮想通貨投資にかかる税金について、次の二点を発表した形だ。
- 年間損失と利益を相殺できるようにする
- 公認取引所において、仮想通貨取引にかかる付加価値税7%を免除する
税制緩和は仮想通貨業界の発展を促進することが狙いとなる。免税措置が、2022年4月から2023年12月まで有効であり、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の取引にも適用される予定だという。
タイ中銀は、リテール型CBDCの実証実験を22年後半に実施する計画だ。金融機関と約1万人の一般利用者により、入出金や資金移動などの取引が行われる予定である。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
▶️仮想通貨用語集
タイの税務当局は、仮想通貨利益に15%課税することを検討していたが、業界の意見を取り入れて、これを中止していた。
また、仮想通貨を決済に使用できるサービスが増加していることなどを受け、サイバー犯罪や価格変動、マネロンなど関連リスクを規制する手段も検討している。
仮想通貨市場が成長中
タイ財務省によると、同国では過去1年間に仮想通貨市場が急成長している。取引口座は2021年の年始には17万件だったが年末には約200万件まで増加したという。
また、シンガポールのリサーチ企業DataReportalが発表した「Digital 2022 Global Overview Report」は、タイは世界でも仮想通貨を所有するインターネットユーザーが多いとの調査結果を掲載している。
レポートによると、調査対象となったタイの16歳から64歳のインターネットユーザーの約20%が、何らかの仮想通貨を所有しており、この割合は世界一位だった。二位はナイジェリア、フィリピン、南アフリカが約19%と同列で続いた。なお、世界平均でこの割合は約10%、日本は約6%だった。
地元メディアの報道によると、タイのデジタル経済社会省は、ブロックチェーン産業を支援することも表明している。
同省のChaiwut Thanakamanusorn大臣は、タイの仮想通貨取引所Bitkubの本社を訪問した際に、「仮想通貨セクターが成長しており、タイのデジタル経済に大きく貢献することが明らかだ」として、行政が今後もブロックチェーン産業を支援していくと述べた。