自動取引サービスの損失
韓国の暗号資産(仮想通貨)投資プラットフォームUpriseが、顧客資金を使ったトレードで約27億円(267億ウォン)の損失を出したことが分かった。
Upriseのロボアドバイザーは、今年5月の「テラ(LUNA)」の暴落時に先物市場で空売りを試みたが、価格の反発時に資産が清算されたようだ。
空売り(ショート)は、証拠金を預けて資産を借り、市場に「売り」でエントリーする手法。買い戻した時点との値幅から利益を取れるが、ポジションの含み損が一定ラインを超えると証拠金が清算されるリスクがある。
6日付けのソウル経済新聞によると、約27億円の損失額はプラットフォームに預けられた顧客資産の99%に相当する。Upriseは市場の急変動により、顧客資産の損害が発生した事実を認めており、「影響を受けた顧客に対して何らかの補償を検討している」と公表。詳細のレポートを近日発表すると加えた。
UpriseはAI搭載のロボアドバイザー技術を活用して先物取引を行う自動取引サービス。ベンチャーキャピタル大手カカオ・ベンチャーズや大手銀行ハナが支援しており、21年12月にはシリーズCラウンドで約22億円を調達。運用安定性を謡い、国内の富裕層や投資法人を中心に資金を集めてきたという。同社は、仮想資産投資に対する理解が高く、投資リスクを認識している層から投資金を集めたと説明している。
Upriseがトレードで損失を出した銘柄「テラ(LUNA)」はステーブルコインTerraUSD(UST)の価値を支える姉妹通貨。22年5月13日に生じたディペッグをきっかけに取り付け騒ぎが発生し、2つの資産は数日間で99%下落した。
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テラ(LUNA)に約270億円(2億ドル)を投資していたヘッジファンド「Three Arrows Capital」は、損失を取り戻すために高いレバレッジを掛けた「リベンジ・トレーディング」に乗り出し、その過程で業界最大手の融資会社から巨額資金を借り入れた。やがて債務超過に陥ったThree Arrowsは米国で破産申請を提出している。
同様の状況に陥っている事業者は複数あると見られ、債務問題は仮想通貨業界全体に飛び火している。
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