はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムの取引手数料高騰、フロントランボットの関与が浮き彫りに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サンドウィッチ攻撃の機会増加

フロントランを試みる取引ボットが暗号資産(仮想通貨)の取引を操作して巨額の利益を得る一方で、イーサリアム(ETH)の取引手数料(ガス料)高騰の要因ともなっているとの報告が出ている。

このボットはEthereum Name Service(ENS)ドメイン「jaredfromsubway.eth」に紐づけられており、主に注目を集める新興ミームコイン、PEPE Memecoin(PEPE)を対象にした取引が目立つという。

Jaredボットの活動が目立つようになったのは、ミームコインブームが起こった時期と重なる。2023年4月17日から一週間で、Jaredボットは3.6億円(270万ドル)もの利益を生み出した。同時期には、イーサリアムのブロックの60%以上が同ボット由来の取引で占められる事態となった。

DeFiデータプラットフォームEigenPhiによると、2023年2月27日の稼働開始から5月8日までの間に、Jaredボットは46億円(3435万ドル)をガス代として支払う代わりに54億円(4065万ドル)の収益を上げ、差し引きで8.4億円(630万ドル)の利益を得た。この間に、ボットは254,000件の取引を行い、そのうち98.31%がサンドウィッチ攻撃として特定されている。

「サンドイッチ攻撃」は、分散型取引所(DEX)における一種のフロントランニング手法で、他のユーザーの注文の前に自身の大規模な買い注文を入れ、売り注文で挟むことで利益を得る。

具体的には、攻撃者はメンプール:mempool(未確認トランザクションのプール)で保留されている状態を利用する。ターゲットとなる取引の前に、より高いガス代を支払った自身の取引を発行し、優先して処理されるようにする。その結果、攻撃者はより低い価格でトークンを購入し、続けて高い価格で売却することで利益を得る。

この影響で、23年5月初旬にイーサリアムのガス代は、2022年5月以来の高水準にまで上昇した。平均取引コストは10月の最低値9.07gweiから5月5日の最高値155.8gweiまで上昇し、現在は平均55gweiである。このボットが支払ったガス代は、ブロックチェーンで使用される総ガス量の一定割合を占める状況にある。

出典:Eigenphi

関連:OpenSea ProがPEPE Memecoinに対応、ミームコインのエコシステム拡大へ

MEV対策

また、サンドウィッチ攻撃の機会を最大限に活用するため、Jaredボットは競合する他のMEVボットと比較して、多種かつ大量のトークンを保有していることがわかっている。Jaredボットは、最も保有量が多い時には800種類以上のトークンを抱えていたとされる。

出典:Eigenphi

サンドウィッチ攻撃のような、ブロックチェーン上で取引順序を操作することで得られる収益は、「最大抽出価値」(Maximum Extractable Value, MEV)と呼ばれる。

サンドイッチ攻撃の対策ソリューションMEV Blockerによると、イーサリアム上でMEV関連ボットはこれまでに約1860億円(138億ドル)以上の収益を得たとされる。

MEV Blockerは、分散型取引プロトコルであるCoW Swapがバリデーター向けの分散型リレーを提供するAgnostic Relayerと協力して開発したプロダクト。ユーザーをサンドウィッチ攻撃から保護する目的で設計されており、サーチャーというMEVの機会を探し出すユーザーのネットワークを通じてトランザクションを処理するという。

関連:ステーキング提供のFigment、イーサリアムのMEV収益をユーザーに還元へ

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/28 火曜日
06:45
S&Pグローバル、ストラテジーに初の格付け「B-」付与 その理由は
S&Pグローバル・レーティングスがビットコイン保有最大手のストラテジーに発行体格付け「B-」を付与したと発表した。その理由は?
06:20
BNBチェーン、四半期バーンで1800億円相当のBNBを永久焼却
BNB財団が第33回四半期トークンバーンの完了を発表し、1800億円相当の144万BNBを永久焼却したことを明らかにした。
06:00
トム・リー率いるビットマイン、過去一週間で488億円相当のイーサリアムを追加購入
ナスダック上場のビットマインが仮想通貨イーサリアム保有が331万ETHに達し、仮想通貨と現金の総保有額が2.1兆円になったと発表した。
05:45
米上場企業が61億円相当のイーサリアム売却で自社株買い実施、株価急騰
ETHジラが61億円相当の仮想通貨イーサリアムを売却しその資金で自社株買いを実施したと発表。株価が急騰した。
05:30
米政府閉鎖中も仮想通貨ETF上場へ、ソラナやライトコインなど今週取引開始
米国政府閉鎖が続く中、ソラナやライトコインなど複数の仮想通貨ETFが今週上場する予定。
10/27 月曜日
18:42
日本初のステーブルコインJPYC始動 関連銘柄が急騰
日本初の日本円建てステーブルコインJPYCが2025年10月27日に正式発行。アステリア、電算システムホールディングス、ユナイテッドなど出資企業の株価が急騰。インタートレード、Speee、Unbankedなど関連テーマ銘柄にも買いが波及し、デジタル金融市場拡大の兆しを示した。
18:37
送金大手ウエスタンユニオン、ステーブルコイン決済の試験運用を計画
国際送金大手ウエスタン・ユニオンが2025年第3四半期決算でステーブルコイン決済システムの試験運用を発表。1億5,000万人の顧客向けにオンチェーン決済レールを活用し、コスト削減と決済時間の短縮を目指す。変革期を迎える送金業界の最新動向。
18:00
トロンの将来性は?ステーブルコイン決済に選ばれる理由
TRON(トロン)は、2017年にジャスティン・サン氏によって創設されたブロックチェーンプラットフォームだ。イーサリアムやビットコインと比べて日本での知名度は高くないが、特にア…
17:15
マウントゴックス、債権者返済を再延期 未返済残高は3.4万BTC(約6000億円)
破綻した仮想通貨取引所Mt.Goxは、債権者への弁済期限を2026年10月まで再延期。19,500人に支払い完了も、依然3.4万BTC(約6,000億円)を保有している。
14:03
キルギス共和国、自国通貨建ステーブルコイン「KGST」発行へ バイナンスCZ支援で国家仮想通貨戦略を推進
キルギス共和国が自国通貨ソム建ステーブルコイン「KGST」をBNBチェーン上で発行する。バイナンス創設者CZ氏が戦略顧問として支援し、CBDC「デジタルソム」の試験運用開始や国家仮想通貨準備金の設立を推進している。
13:58
コインベースCEO、オンチェーン資金調達で起業のあり方革新を構想 エコー買収で実現へ
仮想通貨取引所コインベースのCEOが、エコー買収を背景に、起業家が企業設立から資金調達、IPOまでをオンチェーンで可能にする構想を語った。
13:22
JPYCリリース「通貨史に残る分岐点」岡部代表
JPYC岡部代表が27日会見し、日本円ステーブルコインの正式発行を発表。「日本の通貨史に残る分岐点」と述べ、半年で10兆円の発行目標を明らかに。Coinbaseとの交渉も進行中。
11:14
ホワイトハウス、舞踏場建設の寄付リストを公表 コインベース、リップル、テザーなど業界関係者含まれる 
トランプ米大統領のホワイトハウス舞踏場建設で、コインベース、リップル、テザーなど仮想通貨企業を含む37社・個人の寄付者リストが公表された。費用は約3億ドルで、業界と政権の密接な関係が浮き彫りに。
11:03
宇宙×ブロックチェーンで挑むインターネットの格差解消──衛星駆動型DePINプロジェクト「Spacecoin」が目指す新しい通信インフラ
衛星駆動型DePINプロジェクト「Spacecoin」創業者Tae Oh氏へのインタビュー。宇宙×ブロックチェーンでインターネット接続格差の解消に挑む通信インフラと、日本への期待を語った。
09:53
新設のXRPトレジャリー企業「エバーノース」がXRP市場に与える影響は?
ナスダック上場予定のエバーノースが仮想通貨XRP市場に与える影響をリサーチャーが分析。ストラテジー社のビットコイン戦略との類似性や機関投資家需要の高まりを解説している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧