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バイナンス幹部が語る10億人ユーザー獲得のための戦略とは【独自取材 後編】 バイナンス・ブロックチェーンウィーク2024 AIソリューション編

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

AWSと提携

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)が10月30日と31日の2日間にわたり、ドバイで開催した年次イベント「バイナンス・ブロックチェーンウィーク2024」(以下、BBW2024と表記)において、同社のRohit Wad最高技術責任者が、CoinPostの取材に応じた。

Rohit Wad氏

バイナンスはBBW2024で、アマゾンウェブサービス(AWS)との提携を発表。AWSのクラウドサービスと生成AI技術を活用してユーザー体験の向上を目指すことを明らかにした。

Amazon BedrockやAmazon ECSなどのAWSサービスを利用することで、バイナンスは業務を合理化し、ブロックチェーン業界における効率性と信頼性の新しい基準を確立することを目指している。

具体的には、顧客のオンボーディング・プロセスの簡素化、チャットボットによるカスタマーサポートの強化、業務タスクの自動化が促進される。

発表によると、生成AIを利用した顧客確認(KYC)プロセスの初期導入では、ユーザー情報の認識、文書処理、審査時間において、すでに大幅な改善が見られたという。バイナンスは今後、様々な領域で生成AIの利用を拡大していく予定だ。

安全対策について

Wad氏は、安全対策において、認証情報の漏洩がユーザーにとって最大の脅威であると強調。ユーザーに対する教育、2要素認証、疑わしい活動の監視、不正アクセス防止のための口座凍結、本人確認における積極的保証が重要であると述べた。

同氏のチームは、ブロックチェーンと仮想通貨の教育プラットフォームであるバイナンス・アカデミーと密接に関わっており、ユーザーに対し以下のような支援を行っている。

  • 同プログラムへのアクセス提供
  • 適切なタイミングで警告を表示
  • 疑わしい行動がユーザーによるものかを確認するポップアップウィンドウの表示
  • 電話番号の提供
  • カスタマーサービス担当者へと繋ぐ

バイナンスのAIソリューション

Wad氏によると、バイナンスはAIソリューションを主に自社で開発しているという。

自社開発によるAIツールの初期事例には、開発負荷予測ソフトがあるが、これは同社のサービス拡大のための前提条件であり、長年にわたり活用されている。

また、バイナンスではリスク管理にもAIを活用しており、フィッシングや個人情報盗難についてアカウントの分析を行っている。

このような最近の開発は、大規模言語モデル(LLM/GPT)の台頭と密接に関連しているとWad氏は指摘。バイナンスはこれらのモデルの採用を開始しているが、複数の大手企業が提供するLLMを微調整し、プロンプトエンジニアリングを行っているという。

さらにバイナンスは、外部企業にはアクセス不可能な独自のデータ(特にユーザー行動に関するもの)を使用して、オープンソースのLLMを完全に独自にチューニングする実験も行っている。

プロンプトエンジニアリング(Prompt engineering)とは

プロンプトとは、AIへの指示や入力のこと。プロンプトエンジニアリングとは、生成AIから望ましい解答を引き出すために、AIに対して効果的な指示(プロンプト)を設計・最適化する方法や技術を指す。

▶️仮想通貨用語集

日本市場の課題

Wad氏は、日本語では複数の表記体系が使われていることから、バイナンスは日本市場で大きな課題に直面していると述べた。

例えば、日本人の名前を正確に処理することは難易度が高いと同氏は指摘。特に若い世代の名前のカタカナ表記で問題が生じやすい。この課題に対処するため、バイナンスは複数のカタカナ表記のオプションを提示するモデルに切り替え、ユーザー自身が正しい綴りを選択できるようにしたという。

この例は特定の市場における微妙な差異に合わせて、AIソリューションを調整する重要性を浮き彫りにしている。

グローバル基準と地域市場

バイナンスのようにグローバルに事業を展開する企業にとって、法域ごとに異なる規制に対処することは大きな課題となっており、その全てを把握することは極めて困難だ。

特に先物のような複雑な金融商品の場合、様々な規制をシステムに組み込むプロセスを自動化する方法が必要となってくる。

バイナンスは、イノベーションが全地域で均一に展開されるようにするため、法域ごとに個別の製品を開発するのではなく、市場ごとのカスタマイズ機能を備えた、世界中で一貫性のある単一製品を維持することを目指している。

バイナンスは、グローバルなソリューションについては、マイクロソフトやGoogleなどの大手企業と連携する一方で、日本のKYC規制など、特定の地域に関する要件を満たすためには、各地域に根付いた小規模な専門企業と提携している。

その意味で、提携先企業がデータのプライバシーや安全性、信頼性に関して厳格な基準を満たすことが、最も重要になってくる。

ユーザー10億人を目指して

Wad氏は、バイナンスをユーザー10億人のプラットフォームへと成長させるための戦略について、従来の取引にとどまらず、定期預金や定期預金証書など、幅広いユーザー層に対応した製品を提供することが重要になると指摘した。

また、富裕層だけではなく、誰もが利用しやすい金融商品の提供を目指すことを強調し、次のように述べた。

現在、ヘッジファンドは超富裕層にしか利用できない。富裕層しかできないヘッジを、どれだけの人が行えるのだろうか。私たちは、これをすべての人に提供できるようにしたいと考えている。だからこそ、次の10億人のために役立つのだ。

関連:BNBの買い方や取引所、過去最高値更新の理由を解説

取材スタッフ: Una Softic

プロフィール

AIとフィンテックを専門とするプロフェッショナル・サービス会社Intertangibleのマネージング・ディレクターで、CoinPostのパートナーシップ責任者を務める。

元日経新聞グローバル・テクノロジー・プログラム・リーダー。技術系スタートアップ企業の役員・戦略アドバイザーでもある。

左:CoinPost取材者Una Softic氏 右:Rohit Wad氏

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