- 大手クレジットカード提供会社であるマスターカードが支払い処理システムにブロックチェーン技術を導入決定
- 最大の特徴は、既存の多くのブロックチェーンとは違い、仮想通貨を使用せず、国家の通貨を使用します。
- マスターカードは指定の銀行と加盟店での支払取引において、独自のブロックチェーンを適用
- 一つの取引処理にかかる電力消費がビットコイン200kWh、イーサリアム37kWhに比べ、0.01kWhと違いが大きいです。
現在多くの企業がブロックチェーン技術に大きな関心を持っており、大手クレジットカード提供会社であるマスターカードも例外ではありません。
マスターカードは、この数年を独自のブロックチェーン開発に費やし、商品やサービスを購入する際の代替支払い方法を構築することに成功しました。
マスターカード独自のブロックチェーンの最大の特徴は、仮想通貨を使用せず、既存の法定通貨を使用する所にあります。
マスターカード・ブロックチェーンの事業適用例
10月21日時点で、マスターカード・ブロックチェーンは特定の銀行及び、小売業者に対する支払い処理システムとしてのみ公開されており、このブロックチェーンを使用するには招待される以外に道はありません。
10月の第3週は、IBMも、週の初めに、独自のブロックチェーンを公開するなど、フォーチュン500の企業及び、ブロックチェーン技術において非常に慌ただしい週となりました。
そして、このマスターカード・ブロックチェーンで特筆すべきなのは、IBMでさえ独自の仮想通貨を使用しているのにも関わらず、独自の仮想通貨を使用していない所にあります。
マスターカードでシニア副社長を務める Justin Pinkham氏は、
「私たちは、既存の仮想通貨も、独自の仮想通貨も使用していません。なぜなら、仮想通貨を使用すると、それに対する規制や法律など、考慮しなければならないものが増えてしまうからです。あなたが支払いをしたとして、私たちにできるのは、今日でもそうしているように法定通貨を使用して資金を移動させることだけなのです」
と語りました。
マスターカード・ブロックチェーンは将来有望か?
まだマスターカード・ブロックチェーンを懐疑的に捉えている人もいるかも知れませんが、これが有望だと言われているのには、いくつか理由があります。
まず一つ目の理由が、マスターカードが巨大な金融帝国の君主であり、世界中の22,000もの銀行及び、金融機関と既に提携していることです。これほどの世界規模の企業は、非常に少数なのです。
二つ目の理由としては、マスターカード・ブロックチェーンは既存の法定通貨のみを使用することで、法定通貨を仮想通貨に変えて、それを現金に変える(法定通貨→仮想通貨→現金)という無駄な過程を踏む必要がなく、コスト・手数料を抑えられるということが挙げられます。
このコスト削減は、国際間送金の際の手数料削減にも見て取れます。
一般的に、国際送金をする際は、各国の機関を経由しなければならず、その経由ごとに手数料が加算されます。
しかし、マスターカード・ブロックチェーンはこの仲介者を全く使用しないことで、コストを削減させ、そして、送金の速度も速めることができます。
そして最終的には、マスターカード・ブロックチェーンは、高級商品の”正規品保証”などの特殊な用途にも使用される可能性があるのです。
このように、この発展は非常に興味深いものなのです。この仮想通貨を使用しない取り組みは、他のブロックチェーンにどのような影響を与えるのでしょうか?
さらに、先日オランダの銀行が、ビットコインの一つの取引に対する消費電力は200kWhで、イーサリアムの一つの取引に対する消費電力は37kWhであると公表しました。
しかし、クレジットカードの一つの取引に対する消費電力は0.01kWhなのです。
よって、ある人は、マスターカード・ブロックチェーンが現在のクレジットカードやビットコインに比べて、一つの取引毎の電力消費に違いがあるのかについても注目視しています。
Mastercard blockchain now open for payment processing
Oct 21, 2017 by Jeff Francis
参考記事はこちらから
CoinPostの考察
ブロックチェーン技術はコスト削減や従来のシステムの効率をあげることが特徴であり、この利点を世界中で利用されているマスターカードが独自のブロックチェーンを用いて、仮想通貨を使用せず、現在同様に法定通貨を使用することはとても興味深いです。
ビザカードもブロックチェーンを用いたプラットフォームの計画を発表しています。決済プラットフォームにブロックチェーンが活用されることが当たり前になる日も近いでしょう。