はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米SEC、100億円調達のICOプロジェクトを未登録証券の疑いで起訴

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米SEC、Kik社未登録証券の疑いで起訴へ
海外大手メッセージアプリ「Kik」の運営会社が2017年に行なったICOが未登録証券の疑いで米SEC(証券取引委員会)から起訴された。規制明確化に向けて、規制当局と仮想通貨企業の法的な戦いが始まっていく。

米SEC、Kik社未登録証券の疑いで摘発

米SEC(証券取引委員会)が2017年にICOで独自通貨「Kin」のトークンセール(ICO)を行なった人気メッセージアプリ「Kik」社を未登録証券販売の容疑で起訴したことが発表された。先週はKik社が米規制当局を直接告訴していく方針を見せた後の規制当局からの摘発であるため、今後仮想通貨業界を大きく左右する裁判が始まることが予想される。

今回の発表で、米国の規制当局であるSECは以前Kik社がトークンセール行なった際に、以下のように十分な情報を提供しなかった点や将来的な利益を約束したなどの問題点を明記した。

  • Kik社が投資商品としてマーケティングした
  • 「需要の高まりが価値を見出す」と宣伝
  • 需要が高まる機能追加などを約束
  • 実際はまだそのようなサービス・システムが確立されていなかった
  • Kik社も需要増の恩恵を受けられる

特にKik社が「将来的な利益を保証するような行為をとったことが有価証券である最大の特徴だ」とSECのサイバー部門執行部のチーフであるRobert Cohen氏も言及した。

さらにSEC執行部の共同監督であるSteve Peikin氏は「企業側にはイノベーションと連邦証券法へのコンプライアンスのどちらかを選択することはない」と述べ、Kik社が有価証券として登録しなかったことで参加した投資家が法的に知る権利を持つ情報を取得できなかったと指摘している。

2017年初頭、人気メッセージアプリ「Kik」を提供するKik社は独自トークンのICOを実施。当時換算で総額1億ドル(およそ110億円)の資金調達に成功していた。米SEC側は上記の項目が有価証券的な特徴を持っているにも関わらず、当局に登録申請を行わなかったことを問題視。

そこでSECはICO完了後にKik社に連絡を取り、未登録証券である可能性を調査していた。その後、複数回に渡り対話を重ねていたが、規制当局は昨秋Kik社にWells Noticeを通達。当局が未登録証券と見ていることが大まかに決まっていた。

Wells Noticeとは

米SECが有価証券に関する取り締まりを発令するまえに企業や人物に提出する通知書。通知はSEC側が既に判断を下しているが、罰金などを下す前の段階で該当団体に送付される。

これに対してKik社はその後12月初頭にSEC側の通達に対する反論の義を示す「Wells Response」を提出。独自通貨のKinは有価証券ではなく「通貨」としての側面が強いユティリティー・トークンであると主張しながら、仮想通貨関連の規制整備が必要不可欠であると姿勢を示していた。

また今年1月にはKik社のCEOであるTed Livingston氏がSECとの徹底抗戦を辞さない姿勢を示し、先月末には当局との裁判に向けて資金募集を開始している。

CoinPost関連記事

米SECと戦闘態勢|仮想通貨の有価証券問題で初の告訴へ
米SECに対して独自の仮想通貨プロジェクトKinが有価証券に該当した判断を告訴する姿勢を以前表明していたKik社が裁判に向け5億円相当の資金を募るサイトを特設。仮想通貨プロジェクトと米SECとの裁判事例は業界が求めていた「規制明確化」への大きな一歩として注目が集まる。

特に政治や経済において世界的な影響力を持つ米国の仮想通貨規制はいまだにグレーゾーンが多く残っている。Kik社のLivingston氏は仮想通貨規制の明確化に対する強い意志は業界全体が現状の規制に持つ不満を表していると言えるだろう。

裁判のプロセスは長期化が大方の予想だが、今後米国での仮想通貨規制を大きく左右する事例となる可能性があるため、引き続き米SECとKik社の動向には注視していきたい。

Kik社がSEC側の起訴に対する発表を公開

なお米SEC側からの起訴・摘発に対してKik社が公式見解をプレスリリースという形で発表した。

CEOのLivingston氏はSECからの起訴を「待っていた」と発言。仮想通貨の規制明確化に向けて戦う姿勢を改めて示した。

米国における仮想通貨の将来の為に戦うことを待ち望んでいる。

証券法は何百万人のユーザー、そして無数のアプリで利用されている通貨には該当するべきでないことを証明したい。

さらにSECの摘発は2017年のトークンセールに関する出来事の流れが誤解を与える内容だったと述べ、「裁判でそれを正したい」と意気込みを語った。

またKik社の顧問弁護士であるEileen Lyon氏は米SECの判断が「欠陥がある法理論に基づいてる」と説明。以下のように米規制当局の「間違い」を指摘しながら、「ハウェイテストの定義を広げているため、(SECの起訴は)司法審査に耐えられない」と述べた。

  • 資産の価値が上がる可能性への言及は利益を保証することとは違う。
  • また同じ目的を持つことは共同事業とは異なる
  • 後援者、販売人がいることは必ずしも投資契約であることを保証しない

さらに昨年11月に提出されたWells NoticeがKik社とKin財団の両方に宛てられていたが、返答として提出したWells Response後にはKin財団、およびプレセール・トークン配布後の取引も言及されなくなった点も指摘。

これをLyon氏は「SECがKinエコシステムで現在も行われている取引が連邦証券法に該当しないことを指している」と説明した。

通貨価格への影響

なお問題となっているKik社の独自通貨であるKinはSECの発表直後に-40%の急落が見られた。

出典:CoinMarketCap

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/08 土曜日
09:35
カザフ、最大10億ドルの仮想通貨準備基金設立へ 2026年初頭立ち上げ予定
カザフスタンが最大10億ドル規模の国家仮想通貨準備基金を2026年初頭までに設立する。押収資産と国営マイニング収益を原資としてETFや関連企業に投資する方針だ。
08:25
XRP保有企業エバーノース、約120億円の含み損に 仮想通貨財務企業に圧力
仮想通貨XRPを企業の財務資産として保有するエバーノースが約2週間半で7900万ドルの含み損を抱えている。メタプラネットなど他の仮想通貨保有企業も大幅な含み損に直面している。
07:20
片山金融相「3メガバンクのステーブルコイン共同発行を支援する」
片山さつき金融相は、3メガバンクやプログマらが行うステーブルコイン発行の実証実験を金融庁がサポートすることが決定したと話した。決済高度化プロジェクトの設置にも言及している。
07:10
米FRB理事がドルステーブルコイン市場の成長を評価、一方で合成型USDXは大幅デペグで0.6ドルに
米FRBのミラン理事がドル連動型ステーブルコインを巨大な成長分野と評価した。一方で合成型ステーブルコインUSDXが大幅デペグを起こしバランサー攻撃の影響で連鎖的な危機が広がっている。
06:20
コインベース、Asterなど上場検討
米大手仮想通貨取引所コインベースが複数の銘柄を同社の上場ロードマップに新たに追加した。
05:55
ジーキャッシュ連日高騰、時価総額100億ドル突破 1カ月で約4倍上昇
プライバシー仮想通貨Zcashが過去1カ月で3倍上昇し時価総額100億ドルを突破。アーサー・ヘイズ氏らの支持やグレースケール関連商品の人気拡大が上昇を後押ししている。
05:35
リップルのロング社長、IPOの予定なしと再度表明
リップル社のモニカ・ロング社長が株式公開の計画はないと再び明言した。同社は企業価値400億ドルで5億ドルの資金調達を完了し、十分な資本があると説明している。
11/07 金曜日
18:34
金融審議会・第5回会合、暗号資産レンディングの規制強化について議論 金商法適用案も
金融庁は7日の第5回金融審議会で、暗号資産レンディング事業を金商法の規制対象とする方針を示した。年利10%台のサービスで利用者がリスクを負う一方、事業者に管理義務がない点が問題視された。
18:16
米証券大手チャールズ・シュワブ、2026年に仮想通貨取引開始へ
米証券大手チャールズ・シュワブが2026年上半期にビットコインとイーサリアムの現物取引を開始。顧客資産約1800兆円を持つ同社の参入で仮想通貨市場の主流化が加速へ。
18:00
Polymarket(ポリマーケット)とは?仕組みや将来性をわかりやすく解説
Polymarket(ポリマーケット)とは、未来の確率をUSDCで売買する分散型予測市場。米大統領選で注目を集め、Google Financeにも統合。仕組み、特徴、課題、今後の展望をわかりやすく解説。
16:18
ロビンフッド幹部、ビットコイン財務戦略は「検討中」
米ロビンフッドがビットコイン財務戦略導入を検討。第3四半期の仮想通貨収益は300%超急増の約413億円を記録。上場企業のBTC保有トレンドが加速する可能性。
14:05
著名投資家ダリオ、FRBの量的緩和再開はバブル加速への引き金 更なるインフレリスクを警告
ブリッジウォーター創設者レイ・ダリオ氏が、FRBの量的緩和再開は従来と異なり「バブルへの刺激」になると警告している。現在の状況下でのQE拡大は、実質金利の低下や株価収益率の上昇につながり、テック/AI/グロース株や、金などの価格を押し上げる可能性がある。
13:35
ビットワイズ、ドージコインETFの20日以内上場を目指す動き=ETF専門家
ビットワイズがドージコインETFで「8(a)手続き」を採用。ブルームバーグアナリストによると、11月6日の予備目論見書提出から20日後の11月26日頃に自動承認される可能性。SECの介入がなければ上場実現へ。
13:10
サークルとコインベース、ステーブルコイン規制「ジーニアス法」施行で重要な提言
サークル社とコインベースが米財務省にジーニアス法施行に関する提言を提出した。ステーブルコインの公平な競争条件の確保や利回りをめぐる過剰規制の回避などを求めている。
13:01
日本3メガバンク共同でステーブルコイン発行へ、金融庁が「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト」を支援 
金融庁が決済分野に特化したプロジェクトを新設し、みずほ・三菱UFJ・三井住友の3メガバンクによる共同ステーブルコイン発行を初の支援案件として承認した。信託型の枠組みで100万円の送金上限が撤廃され、円建てに加え米ドル建ても視野に。片山財務相も支援を表明し、国を挙げた金融イノベーション推進が本格始動する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧