はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米連邦地方裁判所が米国証券先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨の管轄権を認める判決

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米連邦地方裁判所が米国証券先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨の管轄権を認める判決
My Big Coinを巡る詐欺的投資勧誘事件を米国証券先物取引委員会(CFTC)が訴えていた裁判で、連邦地方裁が提訴を受理、CFTCに仮想通貨の管轄権を認めた。未だ書面答弁段階で最終判決ではないが、今後の推移が注目される。一方、専門家からは今回の判決には論理的飛躍があるとして疑問視する見方も出ている。

マイ・ビッグ・コイン・ペイInc.(MBCPI)の詐欺的投資勧誘事件を巡る裁判の中で、連邦裁判所判事が現地時間26日、仮想通貨が商品の定義に合致すること、従って米国デリバティブ規制当局の管轄となることを認め、米国証券先物取引委員会(CFTC)の提訴を受理しました。

今回の判決により、CFTCには引き続き、仮想通貨関連の詐欺事件に関する規制権限が認められることになります。規制権限を巡っては、これまで複数の異なる当局機関に落とし込まれてきた経緯があります。

裁判の経緯

CFTCは今年1月、仮想通貨を称するMy Big Coinを詐欺的手法で顧客に販売し600万ドル(約6.8億円)を得たとして、MBCPIと同社の創始者ランデール・クレーター氏を提訴していました。

提訴の中でCFTCは、MBCPIとクレーター被告を、ビットコインのような響きを持つMy Big Coinという商品名を持たせ、さらに金との交換を保証するかのような説明を行うことで、28人の顧客から600万ドルを不正に集めたと訴えました。

これに対し、クレーター被告の弁護士はCFTCの提訴の棄却を求めてきました。すなわち、CFTCにはMy Big Coinを規制する権限がないとの主張です。

その理由として、My Big Coinは先物取引の対象となるような有形財でもサービスでもないことを挙げています。先物取引はCFTCの代表的な管轄対象です。

今回の判決

ボストン連邦地方裁判所のRya Zobel裁判官は26日、My Big Coinは商品取引所法(CEA: Commodity Exchange Act)の定める商品の定義に該当すると述べました。

理由として、同法が特定の商品種類やブランドではなく、より広いカテゴリーで商品定義を行っていることを挙げます。

Zobel裁判官は、My Big Coinもビットコインも、仮想通貨というカテゴリーに大別することが可能であり、かつ、ビットコイン先物取引は米国の複数の取引所で行われているとします。

この延長上で見た場合、CFTCにはMy Big Coinを含む仮想通貨全般の監督権限があるというのが同裁判官の主旨です。

Zobel裁判官は、提訴を受理する判決の中で、

「My Big Coinが商品取引所法の『商品』に該当するという原告の主張は、現在が書面答弁段階にあることを考えれば、十分に要件を満たすものといえる」

と述べました。

今回の提訴は法曹界の注目を集めていました。提訴の棄却を求めるMBCPI/クレーター被告側を支持する立場からは、仮想通貨に対するCFTCの管轄権が凍結される可能性も考えられたからです。

しかし、Zobel裁判官はCFTCの提訴を受理しました。

実際にCFTCが管轄権を持つかどうかが裁判で確定するのはまだ先の話ですが、確定に向けて前進したとは言えるでしょう。

疑問視する専門家の声も

クレーターの弁護人を務めるキャサリン・クーパー弁護士は、

「今回の結果は残念だ。但し今回、提訴棄却を求める段階を過ぎたからには、今後は事実に基づく議論を訴状や裁判で展開していきたい。中でもCFTCの権限、特にビットコインとMy Big Coinとの関連性、およびそれに伴うCFTCの管轄権については、正面から争うつもりだ」

と述べました。

論理に飛躍?

一方、今回の判決を疑問視する専門家もいます。

その1人が仮想通貨に詳しいワシントンDCのジェイク・ケビンスキー弁護士です。

同弁護士は今回の判決について、「総論」および1~9の各論に整理して、ツイッターで意見を表明しています。

CoinPost編集部では、このうち、総論と、連邦最高裁判所の論理の飛躍を指摘する各論1~4を整理しました。

  • 《総論》連邦地方裁判所は、「全ての」仮想通貨は商品であり、CFTCには仮想通貨に関する詐欺的行為と市場操作を訴追する権限がある、とする。 私見では、今回の判決には不備が目立つように思う。
  • 《各論1》まず事件の要点として、被告は実際には金兌換性のないMy Big Coinなる自称仮想通貨を顧客に販売した。その際に、恣意的な価格設定を行い、巨額の利益を不当に得た。
  • 《各論2》これに対しCFTCは、被告が商品取引所法(CEA)に定める反詐欺的行為および反市場操作の条項に反したとして提訴した。一方、被告は、My Big Coinは商品ではないため、CFTCの管轄は及ばないとして、提訴の棄却を求めた。
  • 《各論3》連邦地方裁判所は、My Big Coinが商品であるか否かを判断する必要がある。判決によれば、CEAの定める商品とは、先物契約の対象となる農作物(小麦、大豆、家畜など)およびその他の商品とサービスである。
  • 《各論4》今回の判決は、各論3を踏まえて、ビットコインを先物契約の対象となる「その他の商品」に含まれるとした。また、これによりCFTCの管轄権が及ぶとする。
  • 以上の整理を行った上で、ケビンスキー弁護士は、

    「My Big Coinとビットコインには、仮想通貨として共通する特徴が多々見られ」「ビットコインが商品である以上My Big Coinも商品であり」「よってCFTCの管轄が及ぶ」

    とする連邦地方裁判所の論理展開にはさすがに無理があると述べています。

    参考記事: U.S. Judge Sides With CFTC on Virtual Currency Oversight

    CoinPostの関連記事

    CFTC主席が、CFTCの規制対象は仮想通貨現物市場ではないと明確な立場を示す
    CFTC主席を務めるGiancarlo氏:同規制局の主要権限として、仮想通貨取引や現物市場に対する規制でなく、先物市場での詐欺行為やコンプライアンスこそがミッションであると、CFTCの立場を明確にした。
    米トランプ政権、仮想通貨詐欺が対象に含まれる大統領令を発令|Bloombergが報道
    日本時間木曜日、司法省の委員会で、マネーロンダリングや年配者を狙った投資スキームのようなよく見られる犯罪手法に加え、仮想通貨も今回のタスクフォースの重点として消費者に対する犯罪行為を排除すると発表したことをBloombergが報じ、明らかになりました。
    CoinPost App DL
    厳選・注目記事
    注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
    07/05 土曜日
    13:40
    トランプ一族の「World Liberty Financial」、WLFIトークンの取引開始を提案
    World Liberty Financialが仮想通貨WLFIトークンの譲渡可能化を提案。早期支援者のトークンがアンロックされる見込み。
    13:00
    リップル社、シンガポールでXRPLの起業家育成プログラム開催へ 最大20万ドル資金提供
    リップル社がシンガポールでXRP台帳基盤の起業家育成プログラムを開始する。RWAトークン化・DeFi・AI分野などに焦点を置き、最大20万ドルの資金提供を予定している。
    10:20
    1兆円相当ビットコインが移動も、構造的売り圧力は限定的か=Bitcoin Vector分析
    14年以上動かなかった8万ビットコイン(約1.2兆円)が8個のアドレスから移動。仮想通貨取引所への売却ではなくOTC取引との見方も。
    09:45
    ロシア国営ロステック、トロンでステーブルコインRUBx発行へ 制裁回避狙いも
    ロシア国営企業ロステックがルーブル建てステーブルコインRUBxを年内に発行する予定だ。決済プラットフォームRT-Payも立ち上げる。経済制裁回避の意図もあるとみられる。
    08:20
    Mercado Bitcoin、XRPレジャーで約300億円の資産トークン化計画
    ブラジルの仮想通貨取引所Mercado BitcoinがXRPLで実世界資産トークン化を拡大。南米機関による最大規模の取り組み。
    07:10
    英上場ゴールド探査会社Hamak Gold、ビットコイン財務戦略導入で247万ポンド調達
    ロンドン上場のHamak Goldが仮想通貨戦略転換を発表。カタール王族系投資ファンドも参加し株価6%上昇。
    06:55
    14年以上動かなかったビットコイン、合計1兆円相当が移動 警戒感高まる
    14年以上動かなかった合計1兆円相当の仮想通貨ビットコインが、8個のアドレスから移動したことがわかった。当時からどのくらい価値が増えているのかも明らかになっている。
    06:30
    Ondo Finance、米SEC登録のOasis Pro社買収でトークン化証券市場に本格参入
    RWAトークン化プラットフォームOndoが規制準拠のOasis Proを買収。米国投資家向けトークン化証券サービス拡大へ。
    06:10
    スウェーデン、違法収益による仮想通貨の押収を強化
    スウェーデンのストレマー司法相が警察や税務当局に仮想通貨を含む犯罪収益の押収強化を指示。昨年11月導入の欧州最厳格な没収法により840万ドル相当を押収済み。
    05:40
    2800分の1の確率を突破 個人マイナーがビットコイン採掘に成功、5000万円獲得
    個人ビットコインマイナーが7月4日にブロック903,883を単独採掘し、3.173BTC(約5000万円)の報酬を獲得。ネットワーク全体の0.00026%のハッシュレートで成功。
    07/04 金曜日
    17:43
    マックハウス、仮想通貨事業でゼロフィールドと基本契約
    アパレル大手マックハウスが暗号資産事業に参入。国内マイニングシェア1位のゼロフィールドと基本契約を締結し、ビットコイン購入とマイニングの両輪戦略で収益多様化を目指す。
    17:11
    SMBCグループ、事業共創施設「HOOPSLINK」を丸の内に開設 Web3や生成AIの活用を目指す
    SMBCグループが事業共創施設「HOOPSLINK」を丸の内に開設。Web3などを活用し、スタートアップから大企業まで多様なパートナーと新事業を創出。
    15:08
    みんなの銀行、ソラナ基盤のステーブルコイン事業化に向け共同検討を開始
    みんなの銀行がソラナ(SOL)基盤のステーブルコインとweb3ウォレットの事業化に向け共同検討を開始。Solana Japan、Fireblocks、TISの3社と協業し、新たな金融体験の創出を目指す。
    13:50
    米上場アンバー・インターナショナル、約37億円調達で仮想通貨準備金戦略を加速
    米上場のアンバー・インターナショナルが機関投資家から2550万ドルを調達し、1億ドルの仮想通貨リザーブ戦略を強化。パンテラ・キャピタルなど著名投資家が参加。
    13:00
    米ストラテジー社に集団訴訟 ビットコイン保有リスクを軽視と主張
    米国でストラテジー社に対する集団訴訟が提起された。ビットコイン投資戦略を過大評価しリスクを軽視したと主張している。新会計規則適用後の損失計上が争点の一つになっている。

    通貨データ

    グローバル情報
    一覧
    プロジェクト
    アナウンス
    上場/ペア
    重要指標
    一覧
    新着指標
    一覧