- 問題の仮想通貨取引所QuadrigaCX、出資金詐欺と指摘するレポートが公開
- カナダの会社債権者整理法に基づき、債権者保護手続きを行なった仮想通貨取引所QuadrigaCXが「出資金詐欺」などを行なっていたとする調査レポートが発表された。
QuadrigaCX、「出資金詐欺」の疑いが浮上
カナダの仮想通貨取引所QuadrigaCXが、顧客資産をすべて喪失し、破産による債権者保護を裁判所に申請した事件に関して、最新のレポートが公開された。
同取引所は、資産喪失の理由として、取引を管理していた人物が一人であり(CEO)、亡くなってしまったため引き出しができないとの弁明を行なっていた。
最新のレポートでは、同取引所の保有する仮想通貨ウォレットや顧客の出金に、他のユーザーの資産を利用する状況が起きていた可能性を指摘するなど、懸念点が多い内容となっている。
今回の調査レポートはQuadrigaCXに対して、主に以下の6点を指摘した。
- QuadrigaCXは主だったコールドウォレットを所有していなかった
- 顧客のデポジットを利用して、他の顧客の出金を支払っていた可能性がある
- QuadrigaCXは説明とは違い、ビットコインウォレットへのアクセスを失っていなかった
- QuadrigaCXの保有する仮想通貨はRobertson氏が発表した額と一致しない
- QuadrigaCXの預金引き出しの遅延は資金不足が原因だったかもしれない
- 顧客に資産を支払うことができた可能性がある
背景
昨年10月には、カナダ有数の大手銀行であるCIBC(Canadian Imperial Bank of Commerce)がQuadrigaCXが保有していた5つの銀行口座で保管されていた約2800万ドル(約30億円)の資産を凍結していた。これを受け、取引所の出金を希望したユーザーは引き出しに遅れが続く状態が続いていた。
取引所側はこの件について裁判を起こし勝訴したものの、依然として出金の遅延状況は改善されない状況が続いていたという。
事態が悪化したのは2019年の年初で、QuadrigaCX創設者の夫人であるJennifer Robertson氏が創設者のGerald Cotton氏がインドで亡くなったとする書類を提出していたことが判明、仮想通貨を全額消失したとの声明を発表した。なおその後、1月には同取引所が突如、運営停止を発令してる。
レポートの公開へ
QuadrigaCXに関して、新たな調査レポートが発表されて事件の全容が見えてきた。
同レポートによるとQuadrigaCXはビットコインの保有分は一度も失っておらず、Robertson氏が提出した文書内で記載されたビットコイン保有額が間違っている可能性が浮上しているが、具体的な額は定かではない。
また調査ではQuadrigaが「部分準備制度」を採用し、顧客の預金(デポジット)を出金の支払いに利用していたと指摘している。
このように、顧客の支払いが経路を変更して他の顧客の預金から引き出されていたのはいわゆる「出資金詐欺」に相当する違法行為が行われていることを意味する。
さらにQuadrigaの顧客資産口座残高が書類上に明記されていた額を下回っていたとしている。
なお取引所側はこのような疑惑を否定している。
またQuadrigaCXはカナダ時間2月5日に債権者保護の上告をする予定で、引き続きカナダの仮想通貨取引所の動向に注目が必要となりそうだ。
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