誤解を解く、ETH2.0と1.0
イーサリアム2.0(ETH2)は2020年1月に第一段階となる「ビーコンチェーン」のセキュリティ監査が完了し、「フェーズ0」のローンチを伺う。
ETH2は、現在導入の動きが進んでいるイーサリアムのアップデートだ。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の実装やブロックを並列化して組み合わせるシャーディングと呼ばれる技術などが実装され、より高いスケーラビリティと安全性が期待できる。
現時点では、ETH2の初期段階であるデポジットコントラクトを実行する過程にある。デポジットコントラクトはイーサリアム1.0(ETH1)上に配置され、32ETHでバリデータノードを建てることでETH保有者はバリデータ報酬を獲得できる。
以下では、ETH2に関する事実を整理し、ETH2への誤解を解消する。
誤解1:ETH2は永久にローンチされない
2015年のイーサリアムのローンチ以降、ETH2の概念が提唱され開発が進められてきたが、多くの技術的困難によってその実現が遅れている。当初は2020年1月のローンチを予定していたが、現在開発者らはイーサリアム5周年記念の2020年7月30日のローンチを目標にしている。
少なくとも、初期段階である「フェーズ0」のローンチは近い将来実行される見込みだ。
ETH2研究者ののDanny Ryan氏は、「フェーズ0が2020年中にローンチされないということは考えられない」と(確率「95%」で)自信をのぞかせている。
誤解2:ETH1の存在について
ETH2は既存のETH1ネットワークとの整合性を確保するため、段階的に新技術を実装していく必要がある。
現在はETH2をローンチさせる「フェーズ0」の段階にあり、これ以降もシャーディングなどの技術を実装していくことになる。ETH1が完全にETH2などに統合されるためには、これらの実装が完了し、さらに開発者らが移行に伴うリスクやインセンティブ設計について入念に調査を行う必要がある。
したがって、現時点ではまだETH1のETH2への移行方法を議論している段階で、完全な移行は2022年以降になる見込みだ。
誤解3:ETHからETH2が「ハードフォーク」する
2016年にイーサリアムクラシックがイーサリアムからハードフォークしたときのように、イーサリアムが2種類の異なる資産に分離される訳ではないことに留意する必要がある。
2016年のハードフォークは、運営指針に関してコミュニティ内の意見対立がきっかけとなっているが、今回のアップデートは主要な実装が合意されている。さらに、長期的に見れば、ETH1はETH2に統合されることになる。
また、ETH2はETH保有者がビーコンチェーン上に32ETHをデポジットし、チェーンを承認することによって初めて発行される。デポジットされたETHはデポジットコントラクト上でロックされ、移動させることができなくなる。
したがって、ETH2が発行されたからと言って、ETH1が無価値になる訳ではない。イーサリアム開発者のVitalik Buterin氏も、レディットで行われたAMA(Ask Me Anything)で次のように説明している。
もしあなたがETHを保有したいだけなら、必ずしも資金を移動させる必要はない。もしPoSによるバリデータ報酬を得たければ、ETHをビーコンチェーン上にデポジットする必要がある。
参考:mediumブログ