熱狂する相場に警告
米メガバンクのバンク・オブ・アメリカの主任ストラテジスト、Michael Hartnett氏が1月7日付の週次レポートで、当時高騰中の仮想通貨ビットコイン相場は「すべてのバブルの母」であると、投資家に注意を促した。複数米メディアが報じた。
ビットコインは、この1ヶ月の間で120%、1週間で40%と驚異的な暴騰を見せ、過去最高値の更新が続いていた。
2019年初頭からの2年間で1,000%以上という劇的な上昇を達成した現在のビットコイン市場は、1970年代の金(ゴールド)市場、1980年代後半の日本株式市場、2000年代の中国市場、1990年代〜2000年代初頭のドットコムバブルなど、「それ以前のバブルを吹き飛ばす」ほどの規模だとHartnett氏は警告した。
他の資産にも大量に資金流入
バブルの様相を呈しているのは、ビットコインだけではない。バンカメの週次資金フローデータによると、1月6日までの1週間は昨年8月以来最大の資金フローが観測され、金市場には15億ドル(約1550億円)、米国株式市場には112億ドル(1兆1600億円相当)が流入したという。
投資銀行Saxoもテック株やグリーン株の投機熱を指摘。特にバブル状態にあるのは、大手電気自動車メーカーのテスラ株としている。株価収益率(PER)が206倍となっており、トヨタ自動車の16倍やダイムラーの10倍をはるかに超えているという。テスラの株価は、2020年3月のコロナショック以来、+1,155%上昇していた。
Hartnett氏はこのような「激しいインフレ価格」を呈している状況に対し、「ワクチンを売れ」と表現することで、強い警告を発している。新型コロナのワクチンが広く導入されれば、大規模の景気刺激策が打ち切られる可能性があるため、投資家はリスクオンからリスクオフに切り替えるといった予測だ。
「バブル的な価格、強欲なポジショニング、インフレを誘発する自暴自棄の政策立案者、弱っている中国と消費者、それはすべて最終的には2021年の有毒な混合物となる。」
なお、バンカメによる現在の「強気と弱気指標」は、「危険域」に近づいていることを示している。
ピークを迎えるのは
個人投資家が牽引した2017年の仮想通貨バブル時と比較すると、現在の価格の高騰は、企業をはじめとする大口の機関投資家が参入してきた要因も大きい。また、仮想通貨を取り巻く規制環境をとっても大きく進展していると言えるだろう。さらにマクロ経済的要素が大きく影響していることも否めない。
現在、米国の金融資産価値は国内総生産の6倍の規模に達していると言われている。
Hartnett氏は、2020年の「何でも買い」という投資トレンドは、2021年も続いているが、「政策、ポジショニングと利益」が今年第一四半期末ごろにはピークを迎えると見ており、リスク資産の動きは鈍化すると予測しているという。
なお、市場のタイミング的に、今をピークと捉えるのは時期尚早だと見ているようだ。ただし、Hartnett氏は「極端な資産バブルは、実体経済が伴わない強気市場の自然な終焉である」と指摘し、投資家に対し、ますます投機的になる市場に注意を促している。