- 新仮想通貨取引所「Bakkt」が期待できる理由
- BakktのCEOに就任予定のICE取締役は、「機関投資家、企業、顧客がデジタルアセット投資参入の拡張性を持つ入口として、より高い効率性・安全性・実用性を推進する、画期的な取引所が構築される」と発言した。
新仮想通貨取引所「Bakkt」が期待できる理由
8月3日、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社ICEが公表した仮想通貨取引所Bakktのニュースは、そのインパクトの大きさにも関わらずあまり認知されず、相場への影響は軽微で、Googleトレンドの検索数は15,000足らずでした。
また数カ月前には、米ニューヨーク・ウォール街の象徴でもあるウォーレンバフェット氏が、ビットコイン及び仮想通貨に対する批判を強めており、「Warren buffet bitcoin rat poison」という検索は、100万件近くに達していました。
しかし、米国経済誌ForbesのコントリビューターNorbert Michel氏は、「新取引所のBakktは、遠くない未来に”ウォール街の強豪”にのし上がる」と見ています。その根拠は、主に2点あります。
- 仮想通貨は、いずれ法定通貨に代替し、決済システムの役割を果たす可能性があるが、現時点では法定通貨のように普及していない
- 仮想通貨が主流決済システムとなった場合、ブロックチェーンのメリットとして、”決済コスト”を大幅に削減できる
Michel氏はこの2点から、「Bakktは仮想通貨を”ウォール・ストリート”から”メイン・ストリート”にまで普及することができる」と述べています。
また、ICEのCEOを務めるJeff Sprecher氏は、「特別優れた改革者」であり、世界の取引所を「超効率的な電子取引市場」に現代化した要であり、ニューヨーク証券取引所を救った男とも呼ばれているとされています。
さらに、BakktのCEOに就任予定で、現ICE取締役であるKelly Loeffler氏は、「機関投資家、企業、顧客がデジタル・アセット投資へ参入するための拡張性を持つ”入口”として、より高い効率性・安全性・実用性を推進する取引所が構築される」と発言。
注目すべきポイントとして以下の3点を挙げました。
①機関投資家
②小売業
③顧客
へのサービスを提供すると説明。
Bakktの共同事業参画企業は、マイクロソフト社やスターバックス社であり、商品の社会的普及についてはプロフェッショナルです。中でも、スターバックスは、企業と顧客間におけるモバイル決済に関して長年のノウハウを蓄積した先導者でもあると言えるでしょう
つまりBakktにとっては、企業と機関投資家を繋ぐのにもってこいな事業参入者だと考えられます。なぜなら、Bakktは今まで仮想通貨業になかったもの、つまり信頼に値する「第三者の役割」を提供することになるからです。
Bakktは、利用者が間接的にBTCを売買することを促進する第三者と見做されます。
親会社ICEの影響力
ICEは、法的認定を持つ2つの世界最大の先物商品取引所(ICE先物米国とICE先物欧州)の経営も行なっているため、Bakktに対する信頼度は非常に高いと言えるでしょう。
ICE社が、先物契約の清算業務(クリアリング)を提供することにより、売買の信用リスクを排除し、機関投資家間での取引が法律上で認定されます。
ヘッジファンドマネージャーは通常、リスクを犯してまでポートフォリオに不明瞭な仮想通貨を購入することはあり得ません。
スターバックスが仮想通貨をマネーとして直接受け付けない点も、機関投資家が規制に準拠した高額売買しか行わない点も、Bakktがマッチングを提供することで解消されます。
その要は、Bakktの「BTC引き渡し1日先物契約」にあると考えられます。
つまり、投資家(機関投資家)も、企業(スターバックス)も、価格のボラティリティを抑えながらデジタル・アセットのポジションを変換することが可能となるわけです。業界的に言えば、Bakktは機関投資家による日常的取引に必要なインフラを提供する形になります。
Bakktが仮想通貨を大量に保存していれば、機関投資家はブロックチェーンに記録させることなく、いつでも取引が可能となります。それと同時に、個人投資家は今までの通り、BTCを買ったり、それでコーヒーを購入したりできるのです。
つまり、①機関投資家は第三者へ直接頼り、②顧客はブロックチェーンを直接利用できる、ということになります。
米国において、クレジットカードとデビットカードを利用し、買い物するのは一般的ですが、仮想通貨のアドバンテージ(より低い決済手数料及び、法定通貨の価値変動を避けた使用し方)を活用すれば、より大きなメリットが生み出されると思われます。
Michel氏は、それがBakktが先導する”仮想通貨普及の始まり”と見なしています。
参考記事:forbes.com