リテール取引のためのルール整備
香港証券先物委員会(SFC)のJulia Leung Fung-yee CEOは11日、香港当局は個人投資家に暗号資産(仮想通貨)取引を認めるためのルールなどを整備していると話した。サウスチャイナモーニングポストが報じた。
Fung-yee氏は、SFCは、個人投資家が仮想通貨取引を行える銘柄や条件、および取引プラットフォームのライセンス要件などについての協議書を今四半期(1~3月)中に発行する予定だと述べた。
個人投資家が取り扱うことができるのは「流動性の高い」仮想通貨のみになるとして、次のように話している。
一部の仮想通貨取引所は、2,000以上のトークンを扱っているが、個人投資家にそのすべての取引を許可する予定はない。
個人投資家が主要な仮想通貨を取引できるような基準を設定する予定だ。
なお、具体的にどの銘柄の取引を許可するのかは現時点で明かしていない。
現在、SFCは仮想通貨取引を試験的に扱っており、約1.4億円(800万香港ドル)の銀行資産を持つプロの投資家にだけ許可している。ルール制定後は、一定の条件の下で、それ以外のリテール投資家にも間口が広がることになる。
Fung-yee氏は2022年に仮想通貨価格が急落し、旧テラエコシステム崩壊やFTX破綻が起こったことにも言及した。
「適切な規制があれば、FTXのような破綻は香港では起こらないだろう」「投資家保護の側面に目が向けられるようになった点は良いこと」だとコメントしている。
香港証券先物委員会(SFC)とは
香港の証券市場と先物市場を規制する当局。市場が公正で効率的に運営されるようにすることや、投資家の保護を目的としており、仲介者の認可と監督、法律遵守の確認などを行っている。
▶️仮想通貨用語集
VASPのライセンス制度を可決
香港政府は、仮想通貨業界の発展を後押しする政策を進めているところだ。
香港の立法会(議会)は12月、仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)のライセンス制度を導入する法律を可決した。
新たな規制は、仮想通貨取引所に、顧客資産を保護するための内部統制、適切なカストディアンの手配、サイバーセキュリティなどを義務付ける。また、記録保持や顧客のリスク確認などについての要件も課す。
ポール・チャン財務長官も9日、香港が仮想通貨のハブ(中心地)になることを目指していると改めて強調したところだ。
香港は国際的な規範と基準に合致する強固な規制の枠組みを持っており、仮想通貨企業が拠点を置くのに適した環境だとアピールしている。すでに、香港での事業所設置や上場を検討する多くのテクノロジー企業・ハイテク新興企業が香港政府にコンタクトしていると話した。
また。仮想通貨の導入事例を探るために、多くの試験運用プロジェクトを行っており、政府が発行するグリーンボンド(環境改善を目的として発行される債権)をトークン化して、機関投資家から資金調達する計画もあると明かしている。