ジェネシス・グローバルが破産申請
暗号資産(仮想通貨)融資企業ジェネシス・グローバル・キャピタルは19日、米連邦破産法11条(チャプターイレブン)にもとづいた破産申請を行ったことを発表した。
ニューヨーク南部地区地区連邦破産裁判所が20日に公開したジェネシスの破産申請書によると、同社の債権者は10万人、推定負債は10億ドル〜100億ドル。保有資産も同程度としている。
ジェネシスの事業体は、暗号資産融資を行う親会社のGenesis Global Holdco LLC、関連会社Genesis Asia Pacificが含まれる。破綻したThree Arrows Capital(3AC)の債務不履行やFTX破綻の影響が直撃し、昨年11月より顧客資産の引き出しを停止。提携先の仮想通貨取引所Geminiも影響が及んでいた。
親会社には投資信託「GBTC」を発行するグレースケールや最大手暗号資産メディアCoindeskを傘下に抱えるデジタルカレンシーグループ(DCG)があり、市場への影響が懸念される。
上位債権者
債権者上位とその内訳としては、仮想通貨取引所Geminiを運営するGemini Trust Companyに7億6,600万ドル、大手マーケットメイカーのCumberland DRWに1,870万ドル、仮想通貨ファンドMirana Venturesに1億5,150万ドル、資産管理会社VanEckのNew Finance Income Fundに5,300万ドルなどが含まれる。
チャプターイレブン適用申請についてジェネシスは、「すべての顧客と利害関係者の価値を最大化し、将来の事業強化に向けた解決策を獲得するための戦略的行動」と説明。手元現金1億5,000万ドルにより、継続的な事業運営と、再編プロセスの促進に十分な流動性を得られると述べている。
再編(事業再生)計画については、資金調達と事業売却を模索する「デュアルトラック・プロセス」を考えており、新たなオーナーの下で事業を再出発することも視野にあるとした。
ジェネシスのポール・アロンゾン独立取締役は、親会社である仮想通貨コングロマリット企業デジタルカレンシーグループ(DCG)や債権者のアドバイザーとの対話を進めていく意向を示している。
子会社含む3社の共同申請
ジェネシス・グローバルの子会社であるGenesis Asia PacificとGenesis Global Capitalも共同で破産裁判所に申請を行った。両社とも資産と負債はそれぞれ1億ドル〜5億ドルの範囲で計上されている。
なお、ジェネシス・グローバルの他の事業、デリバティブ・スポット取引、ブローカー ディーラー・カストディ事業に関する他の子会社ジェネシス・グローバル・トレーディングなどはチャプターイレブンの適用外とされ、顧客取引業務を継続する。
ジェネシス・キャピタルは22年11月にFTX破綻の影響で流動性危機に陥り、顧客資金の出金と新規融資を停止。FTXアカウントに約220億円(1億7,500万ドル)拘束された。
この影響でジェネシスと共同で提供してきた利回りサービス「ジェミナイEarn」も停止。米仮想通貨取引所ジェミナイは、DCGに対してユーザー資金総額1,160億円(9億ドル)の返還を求めている。