ワンリバーのデジタル資産子会社取得
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは3日、デジタル資産運用会社One River Digital Asset Management(ワンリバー・デジタルアセットマネジメント:ORDAM)を買収したと発表した。
取得にともない、ORDAMは、Coinbase Asset Management(コインベース・アセットマネジメント:CBAM)へと改称される。コインベースは、CBAMを通じて、新規および既存の機関投資家顧客に向けた仮想通貨の投資顧問サービス事業を行っていく計画だ。
コインベースは、すでに各四半期の機関投資家による取引高は約18兆円(1,300億ドル)以上で、機関投資家の資産を約6.8兆円(500億ドル以上)プラットフォームに保持していると説明。また、22年4Q(10~12月)現在で、世界の運用資産トップ100社のヘッジファンドのうち、約25%がコインベースを選択しているとも続けた。
今回の買収により、さらに機関投資家の仮想通貨市場への参加を支援していく構えである。なお、買収額など取引の詳細は明かしていない。
コインベースは現在、機関投資家向けに、仮想通貨取引、ステーキング、プライムブローカーなどのサービスを提供しているところだ。資産運用サービスを新たに追加することで、年金基金や、他の資産運用会社にもサービス提供できる可能性が広がるとみられる。
ステーキングとは
ステーキングとは、一定量の仮想通貨を所定の期間、ネットワークに預け入れることで報酬が得られる仕組み。仮想通貨をロック(自由に動かせない状態)し、ブロック追加のデータ承認など、ネットワークの管理/維持に貢献する対価として、同じ通貨で報酬が提供される。
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ワンリバー・デジタルアセットマネジメントとは
ワンリバー・デジタルアセットマネジメント(ORDAM)は、米証券取引委員会にも登録された投資企業ワンリバー・アセットマネジメントのデジタル部門子会社である。
両社のCEOを務めるエリック・ピーターズ氏が、引き続き在任することになる。なお、ワンリバー・アセットマネジメントは、コインベースから独立した企業のままだ。
エリック氏は資産運用業界で30年以上の経験を持っており、2020年にはワンリバー・アセットマネジメントで初めてビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)に投資。この際より、取引・カストディなどでコインベースとは協力関係にあった。
エリック氏は、COVIDー19パンデミック以降に、各国の金融緩和により法定通貨の価値低減が懸念されていた中で、ビットコインとイーサリアムに注目したと語っている。
その後、エリック氏は2021年にワンリバー・デジタルアセットマネジメントを立ち上げる。コインベース・ベンチャーズが、シリーズAラウンドの主導投資家として出資した。エリック氏によると、2022年から、コインベースとワンリバーは、さらなる協業の可能性について話すようになったという。
エリック氏は、ワンリバー・デジタルアセットマネジメントの事業についても説明している。インデックスやトレンドフォロー機能などを構築しており、カーボンニュートラルなビットコインファンドや、イーサリアムステーキングファンドなど、先進的なサービスを提供してきたと述べた。
また、ビットコインやイーサリアムへの投資によって約1,400億円(10億ドル)以上の利益を生み出し、2021年末までにその利益を投資家に還元したとも続けている。2022年には旧テラエコシステム崩壊やFTX破綻があったが、こうしたプロジェクトにも出資しておらず、波乱時にも利益を出していた。
カーボンニュートラルとは
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすること。排出量が実質的にゼロな状態を指す。日本政府は2050年までに「カーボンニュートラル」達成を目標にしている。
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投資企業Oppenheimer&Coのオーウェン・ロウ執行役員は、今回の動きについて「収益を分散していくための土台」となるもので、「コインベースにとって長期的にはかなり良い動きだと感じる」とコメントしている。