「金融イノベーション・テクノロジー法」通過
米下院農業委員会は27日、「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法」を可決した。この法案は、暗号資産(仮想通貨)業界が求めている明確な原則を確立し、イノベーションを最大限に引き出すことを目指すものだ。
この法案は、35対15の賛成多数で26日に金融委員会を通過。その後27日に農業委員会も通過し下院での審議に移った。
この法案は、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)に対して、仮想通貨に特化したルールを共同で作成することを求めている。また、一定の条件を満たすデジタル資産発行者に対し、トークン販売について証券法の適用免除を認める内容も盛り込んだ。
さらに、トークンが充分に分散化していることについてSECから認証を受ける制度も規定している。これらにより、特にある仮想通貨トークンが証券にあたるかどうかの判断が不透明になりがちな状況の改善も見込まれるものだ。
法案の共同提出者の一人であるトム・エマー議員は、「世界経済における米国のリーダーシップは、市場とコミュニケーションをより効率的にするイノベーションを活用する能力により後押しされる」と発言した。
一方で、ブラッド・シャーマン下院議員は、サトシ・ナカモト、つまりビットコイン(BTC)などの仮想通貨が「革新的なものだったとは思えない」と反対意見を述べている。
法案は、SECの権限の一部をCFTCに移行する道筋を示すものともなっている。この点については、スティーブン・リンチ議員が、法案に反対する立場から、CFTCがSECの後を継ぐのに十分なリソースを有しているかどうかなどについて議論した。
また、ジャスミン・クロケット議員は、市場参加者に物理的住所を持つことを義務付けることや、開示要件などを強化する修正事項を追加。最終的に法案は農業委員会を通過した形だ。
ステーブルコイン法案の交渉は決裂
下院金融委員会は同27日、超党派のステーブルコイン法案についても議論したが、こちらは共和党と民主党の間で交渉が決裂し、前進はしなかった。
この「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」を提出したパトリック・マクヘンリー議員は、「今日、この法案について、委員会ランキング・メンバーとの合意に到達することを期待していたが、ホワイトハウスの歩み寄ろうとしない姿勢のせいで、交渉はまたもや頓挫してしまった」と話している。
関係筋によると、ホワイトハウスのレール・ブレイナード国家経済会議部長が、この法案、特に、ノンバンクの資産発行体に対する監視が欠如している点について、土壇場で懸念を表明。それを受けて、ホワイトハウスが、マキシン・ウォーターズ議員に交渉を遅らせるよう要請したという。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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「ブロックチェーン規制明確化法案」も通過
27日には、トム・エマー議員の提出した「ブロックチェーン規制明確化法案」も下院金融委員会で審議され通過している。
BREAKING: My nonpartisan bill – the Blockchain Regulatory Certainty Act – just passed out of the @FinancialCmte.
— Tom Emmer (@GOPMajorityWhip) July 26, 2023
This is a huge win for the United States as we are one step closer to putting Americans in the driver’s seat in crafting the future peer-to-peer digital economy. pic.twitter.com/JEOuflDMax
この法案は、消費者の資金を保管しないブロックチェーン開発者やサービスプロバイダー(マイナー、バリデーター、ウォレットプロバイダーなど)は、送金者として登録する必要がないという財務省の既存ガイダンスを成文化するものだ。
エマー議員は、次のようにコメントした。
この法案は、米国でイノベーションが維持されるためにデジタル資産エコシステムに規制上の確実性を提供する。それにより将来のデジタル経済に米国の価値観が反映されるようにする。