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米下院共和党、規制の明確化を目指す仮想通貨法案提出

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

規制の枠組みの確立

米下院共和党の五人の議員が20日、暗号資産(仮想通貨)分野における規制の明確化を目指す法案を正式に議会に提出した。「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法」と題する法案は、消費者・投資家保護やイノベーション育成、金融技術における米国のリーダーシップのために「必要とされる規制の枠組み」の確立を目的とするもので、200ページ以上に及ぶ。

この法案の共同提案者は、以下のとおり。

  • グレン・トンプソン下院農業委員会委員長
  • フレンチ・ヒルデジタル資産・金融テクノロジー・包摂小委員会委員長
  • ダスティ・ジョンソン商品市場・デジタル資産・農村開発小委員会委員長
  • トム・エマー下院議員
  • ウォーレン・デビッドソン下院議員

この法案の討議草案は、トンプソン委員長と下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長によって6月初旬に提出され、下院委員会で審議されるとともに、利害関係者や市場参加者から広範な意見が提出されていた。

関連:米共和党の「規制の明確化を目指す」仮想通貨法案、21の利益団体が反対表明 

マクヘンリー議員は声明で、「他国がデジタル資産規制の枠組みを前進させ、ゲンスラー(SEC)委員長が執行による規制を続ける中、米国は遅れをとっている」と現在の仮想通貨規制を取り巻く米国の状況を批判。またジョンソン議員は、「デジタル資産分野は、規制の不確実性、権限の欠如、中核的な運営原則の枠組みの欠如で混乱している」と指摘した。

この法案では、「CFTC(商品先物取引委員会)とSEC(証券取引委員会)の双方に席を与え」、仮想通貨業界が求めている明確な原則の確立を目的としている。さらに、イノベーターが技術の可能性を最大限に引き出し、米国で仮想通貨エコシステムが繁栄できるような、明確なルールを提供することを目指す。

法案の概要抜粋

法案では、SECとCFTCに対し、法案で使用される用語の定義をはじめ、取引プラットフォームおよび取引所のために、仮想通貨に特化したルールを共同で作成することを求めている。一方、両機関が個人の仮想通貨の保管方法に関する規則を作成することは禁じている。

法案は、一定の条件を満たすデジタル資産発行者に対し、トークン販売について証券法の適用免除を認めている。例えば12ヶ月間のトークン販売総額が7,500万ドル未満である場合だ。一方、非適格投資家(一般投資家)への販売については、1年間の購入総額がその年収の10%もしくは純資産の10%未満であること(より大きい金額を基準)が条件とされている。また、発行者は一人の購入者に対し、発行されるトークンの10%以上を販売することはできない。

さらに発行者は、そのトークンが十分に分散化された商品と当局から認定されるまでは、プロジェクトに関する年次報告書や半期ごとの報告書などの情報を、SECに提出することが求められる。この免除要件を満たしたデジタル資産発行者から取得したトークンは、「制限付きデジタル資産」と見做される。

この法案で注目すべき点の一つが、「トークンの分散化」についての認定の道筋が示されたことだろう。ブロックチェーン・ネットワークに関する一般的な情報および、分散化の根拠となる四つの要因の分析を提出することで、誰でもSECに対して分散化の認証を申請することができる。SECが30日以内に延期の決定を下さない場合は、自動的に承認されたと見做されるという。

デジタル資産仲介業者の登録に関しては、SECとCFTCそれぞれについて要件が規定されている。

さらに法案では、1933年証券法、1934年証券法、1940年投資顧問法を改正し、SECが規則の制定を行う際に考慮しなければならない要素に「革新性」を追加している。

法案に対する批判

仮想通貨業界は諸手を挙げてこの法案を歓迎しているわけではないようだ。

Delphi Labsの法律顧問 ガブリエル・シャピロ氏は、6月の討議草案からの変更点が、「法案の価値ある提案を完全に変えてしまう」と指摘。明確性をもたらす代わりに、却って曖昧さを増すことにつながると主張した。

この法案の大ファンだったし、(議員らは)多くの意見を取り入れた。しかし、残念なことに、彼らは、この法案の価値観を完全に変え、曖昧さを再び増大させ、SECの執行力を再び強化し、DeFiに大混乱をもたらすような変更を行なってしまった。

今回提出された法案では、「デジタル資産」の定義から、株式、債券、「譲渡可能株式」、「利益分配契約の持分証書または参加証書」などの伝統的な有価証券を除外している。シャピロ氏が問題視しているのはこの点だ。

同氏は、分散型金融(DeFi)市場のトークンについて、SECが「譲渡可能株式」や「利益分配契約」だと主張することで「喧嘩腰の態度」を継続することが可能だと指摘した。

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