コインベースの第3四半期決算
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは2日、2023年第3四半期(7月から9月:3Q)の決算を発表した。また、対SEC訴訟や4Qの見通しについても説明を行っている。
総収益は、約1,000億円(6億7,400万ドル)で、前四半期の約1,060億円(7億790万ドル)から5%減少した。なお、前年同期比では約14%増加している。アナリストらの事前予想である6億7,000万ドルを上回った形だ。
取引収益では約430億円(2億8,860万ドル)、サービスとサブスクリプション収益で約500億円(3億3,440万ドル)を生み出した。一方、純損失は約3億円(200万ドル)である。
取引収益は2Qと比較して12%減少しており、これは主に3Q中の総取引量が17%減少したことによる。
コインベースは、事業の柱となる仮想通貨取引について、引き続き新しいアルトコイン銘柄を上場し、USD/USDC注文帳を統合したと述べた。コインベースは10月に80以上の通貨ペアや複数仮想通貨銘柄の取り扱いを廃止している。
その一方で、Web3ゲームにおけるイーサリアム(ETH)ERC-20基準のトークン「Big Time(BIGTIME)」などの新規取扱を発表した。
関連:Web3ゲーム「Big Time」、コインベースなどに新規上場
対SEC訴訟の状況
コインベースは、米証券取引委員会(SEC)と争っている訴訟についても現況を説明した。コインベースはSECの提訴却下を求めており、これに関する口頭弁論は2024年1月17日に予定されていると述べている。
コインベースは10月24日、対SEC裁判で新たな申立書をニューヨーク地裁に提出。SECは証券を定義する「投資契約」の範囲を不適切に拡大解釈していると主張し、ステーキングサービスについても証券とはみなされないとSECに反論したところだ。
ステーキングとは
特定の仮想通貨を保有することで、その通貨のブロックチェーンネットワークを管理することに貢献し、対価として報酬を得る仕組み。厳密には、仮想通貨を保有するだけでなく、ネットワーク上に預け入れておく必要がある。銀行口座に法定通貨を貯金し、一定期間後に利子を受け取る仕組みに類似しているといえる。なお、ステーキングは、PoS(Proof of Stake)のコンセンサスアルゴリズムを採用している通貨で行うことができる。
▶️仮想通貨用語集
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
10月以降の業績見通しや「Base」について
コインベースは、第4四半期(10~12月)の見通しも説明した。4Qのサブスクリプション・サービス収益は今期とほぼ横ばいとなり、技術開発費と一般管理費は約784億円(5億2,500万ドル)から約860億円(5億7,500万ドル)の範囲になるだろうと予想している。
コインベースは、今年導入したイーサリアムのレイヤー2(L2)ソリューションであるBaseについても報告。立ち上げイベントでは、Base上の100万以上のウォレットで1,000万以上のNFT(非代替性トークン)が鋳造されたと述べた。
9月には、X(旧ツイッター)と連携できるFriend.techの台頭も背景に、「Base」のトランザクションはArbitrumとOptimismメインネットのトランザクション数合計を上回った。
関連:米コインベース支援のL2「Base」、取引数急増の背景とその重要性とは?