はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米コインベース支援のL2「Base」、取引数急増の背景とその重要性とは? ArbitrumとOptimismを上回る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインベース支援のL2「Base」の躍進

9月14日、Coinbaseが支援するイーサリアムL2スケーリングソリューション「Base」のトランザクションが過去最高を更新。ArbitrumとOptimismメインネットのトランザクション数を合計したものを上回ったことが、オンチェーンデータで確認された。

出典:DUNE

この動きの背景には、新興のソーシャル・アプリケーション「Friend.Tech」の台頭がある。Friend.Techのユーザー活動がBaseのトランザクション増加の主要な要因となっており、Baseのアクティブアドレスは先月、1日平均で88.8万件を記録。これはOptimismロールアップを使用するアドレスの市場シェアの約60%に迫る勢いだ。

この記事では、急速にトランザクション数を増加させている「Base」の背後にある新興アプリ「FriendTech」の存在と、それがBase及び関連エコシステムにどのような利益をもたらしているかについて探っていく。

目次
  1. コインベース支援のL2「Base」の躍進
  2. Baseとは
  3. Optimism技術群「OP Stack」を採用
  4. Friend.techとは
  5. トランザクションがBase、Optimismに寄与

Baseとは

Baseは、認証済み登録ユーザー数が1億人を超えるコインベースがインキュベートしており、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションとして位置づけられている。その目的は、次の100万人の開発者と10億人のユーザーを仮想通貨の世界に引き込むことである。

関連:コインベース、世界最多のビットコイン準備金「推定94.7万BTC」保有か|Arkham分析

Baseのプロトコルに預けられた価値総額(TVL)は800億円に達し、先行していたStarknet、ZkSync Eraを上回ってL2ソリューションの中で3位に成長。DeFi(分散型金融)やNFTマーケットプレイスがかなりの部分を占めた競合のL2とは異なる性質を示している。

TVLトップのL2「Arbitrum」は主に最も流動性が高いDEXを活かしたDeFi運用、及びNFT採用のブロックチェーンゲーム等で支持を集めている。

関連:クローズド・ベータ版実施中 初心者でもわかるWeb3 TCG「Parallel(パラレル)」とは

出典:L2beat

Baseは、取引の際にかかる手数料(ガス)の支払いにはイーサリアム(ETH)を使い、独自のトークンを発行する予定はないと何度も明言してきた。これは、OptimismやArbitrumとは異なるアプローチだ。一般的にWeb3プロジェクトは独自トークンを発行して分散化を進め、外部の組織に関連インフラを委ねる。ユーザーは無料でトークンがもらえることを期待して集まり、総価値(TVL)が増加することが慣例である。

Coinbaseの最高法務責任者であるPaul Grewal氏が9月21日、トークンの発行可能性は完全に排除されていないと言及したことも注目される。同氏は海外仮想通貨メディアDecryptに対し、将来的にトークンが実現するかもしれないが、現時点では規制の明確化が先決との見解を示した。

Optimism技術群「OP Stack」を採用

技術面において、BaseはOptimistic Rollup型のL2実装の一種「Optimism(OP)」が提供するオープンソース技術群「OP Stack」を基盤に使用。Optimismの自律分散型組織「Optimism Collective」とも協力する。

Optimistic Rollupとは

より多くの取引を迅速に処理することを目的とし、取引手数料(ガス代)を削減できるよう設計されているL2技術の1種。オフチェーンでトランザクションを処理し、まとめてレイヤー1に提出する技術で、L2から送られる取引データが正しいことを前提に動作する。もし不正があった場合は、「不正証明」によって取引を無効にし、関係者に罰則や報酬が与えられる。

Optimismは、「OP Stack」の実装(OP Chains)の相互接続「スーパーチェーン」の構想を推進している。実際に、OP StackはBaseだけでなく、BNBチェーンのレイヤー2「opBNB」にも採用されている。

経済的な観点から見ると、Baseは総収益の2.5%(または純収益の15%)をOptimismに寄付することとし、同時にOptimismからは6年間で最大1億1,800万OPトークン(時価約256億円相当)を受け取る契約を結んでいる。

関連:BNBチェーンのレイヤー2「opBNB」、メインネット公開へ進展

Friend.techとは

Baseが今年の8月9日にメインネットを公開してからわずか2日後の8月11日時点で、ユーザー数は驚異の117,000件に達した。その主要因として挙げられるのが、Friend.Techの存在だ。

Friend.TechはX(旧ツイッター)と連携可能なソーシャルメディアプラットフォームで、インフルエンサーなどが独自のソーシャルトークン「Keys」を発行し、取引することが可能。Keyの購入者はトークンの発行者とプライベートなコミュニケーションを楽しむなどの特典が得られる。

Friend.Techは立ち上げから数週間で10万人以上のユーザーを獲得し、特に9月には再びその勢いを増している。アジア地域での人気が顕著で、多くのVC関係者や韓国の大手Web3 VC・コミュニティ「MGM」が関心を寄せ、Web3の新規ユーザー獲得の成功事例として評価されている。

関連:X(旧ツイッター)と連動するソーシャルFi「friend.tech(フレンドテック)」、魅力とリスクを分析

トランザクションがBase、Optimismに寄与

直近では、Friend.techのプロトコルの手数料収益は、数週間にわたりDappsランキングでトップ圏を維持している。DefiLlamaによる最新データによれば、Friend.Techの24時間プロトコル収益は約6200万円(9月26日時点)に達している。これは、dAppsランキングではLido(リキッドステーキング)に続く2位であり、大手DeFi(分散型金融)プロダクトのUniswapやMakerDAOを凌ぐ。

Friend.Techプラットフォームは、Keysの売買取引毎に10%の手数料を徴収し、その収益はKeys発行者とプロトコルで等分される。そして、この手数料収益の累計は、9月26日時点で既に1,400万ドルを突破している。

Baseにとって注目すべきは、dApps(Friend.Techを含む)でのトランザクション数が増加することで、ブロックチェーンからの手数料収益も増大するという点だ。Baseの純利益が高れば、その15%分の手数料を受け取るOptimismの利益も増加する可能性がある。

出典:Web3 Academy

Friend.Techに関係する取引全体を通じて、Web3 Academyが算出した各ステークホルダーの利益は以下の通り(9月14日時点)。

Friend.Tech 740万ドル
Key発行者 740万ドル
Base(収益) 73.6万ドル
Ethereum
(ホルダー/ステーキング参加者)
25.4万ドル
Optimism 7.2万ドル
Base(純利益) 48.2万ドル

L2であるBaseは状態データを集約してイーサリアムに送信(L2→L1)、この際手数料を支払う。イーサリアムはL2からのトランザクションを含む、ネットワーク手数料で蓄積したETHの一部をバーン(焼却)し、ETH供給を引き締めるため、最終的にETH保有者に還元される。これがL2上のトランザクション数が重要視される理由だ。

関連:仮想通貨取引所コインベース育成のイーサリアムL2「Base」、6年間で最大1.18億OPトークン受け取る予定

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
16:50
「社会のジレンマを突破する」日本初のステーブルコイン発行ライセンス取得、JPYC岡部典孝氏が語る|独占インタビュー
JPYC株式会社が日本初の日本円建てステーブルコイン発行ライセンスを金融庁から取得。代表の岡部典孝氏が語る100万円制限の実態、3年後10兆円の発行目標、プログラマブルマネーがもたらす金融革命とは。
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧