収益とガバナンスで協力
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2ネットワーク「Optimism(オプティミズム)」は25日、米大手仮想通貨取引所コインベースが育成するL2ネットワーク「Base」とのコラボレーション計画を発表した。
オプティミズムの運営組織Optimism Collectiveは、オプティミズムとBaseが収益とガバナンスの面で協力していくとしている。なお、Baseは、オプティミズムの技術群「OP Stack」を利用して開発されたものだ。
まず収益については、Baseが総収益の2.5%あるいは純収益の15%の、いずれか大きい方をオプティミズムに寄付する。一方で、Baseはオプティミズムから6年間で最大1億1,800万OPトークン(時価256億円相当)を受け取る予定だとしている。
このOPトークンによる助成金は、Baseのこれまでの貢献に報いるもので、オプティミズムのエコシステムのガバナンスにおいてBaseに発言権を与えることも目的だ。
なお、ガバナンスにおける発言バランスを維持するために、Baseは投票可能なトークンの9%までしか投票または委任できないとする制限が設けられている。
レイヤーL2(L2)とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引をメインチェーンで処理すると負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引の一部をL2で行うことで、メインチェーンの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
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「スーパーチェーン」構想
Optimism Collectiveは、現時点でBaseのアップグレード権限は、オプティミズム財団とBaseの間でマルチシグを介して共有されていると述べた。
このために、Baseとオプティミズムのメインネットはアップグレードを共有するため、たがいに互換性と均質性を維持し、最終的には将来に「スーパーチェーン」が実現した際にも、相互運用可能になるとしている。
Baseのチームは25日、今後、Baseの分散化や「OP Stack」の強化を進めるために、技術的な改善を行い、中立的な枠組みを推進していくと説明していたところだ。
Baseは、将来のステップとして10億人のユーザー、100万人の開発者が利用するようなオンチェーン経済圏を構築するというビジョンのもとで立ち上げられている。
OP Stackを利用して構築された理由の一つは、こうしたオープンなエコノミーでは、すべての開発者がアクセスできるものが望ましいという考えがあった。
また、オプティミズムが「インターネットの規模」にまでイーサリアムを拡大するための解決策として、「スーパーチェーン」の構想を発表していることもある。
オプティミズムは、スーパーチェーンを複数ブロックチェーンのネットワークであり、「セキュリティ、通信レイヤー、オープンソースの開発スタック(OP Stack)を共有する」ものだと定義しているところだ。
オプティミズムもBaseも、将来的にはこの「スーパーチェーン」のエコシステムの一部として位置づけられている。
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オプティミズムは、Baseや、その他のOP Stackで作られたチェーンのアップグレード権限については、今後、分散型のセキュリティ評議会に移したいとも続けた。2024年初めに、この権限移譲に関するガバナンス提案を提出することを目指す形だ。
Worldcoinとも提携
オプティミズムは5月、ChatGPTの開発企業OpenAIの共同創業者・CEOのサム・アルトマン氏らが立ち上げた仮想通貨プロジェクト「Worldcoin」との提携も発表している。
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