今週2/24(土)〜3/1(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2/24(土)〜3/1(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は、700万円台後半での揉み合いが続いた前週から一転して再び上値を追う展開を演じ、一時は960万円まで上昇した。
BTC円は775万円周辺で今週の取引を開始すると、米時間にはブラックロックの現物ビットコインETF(IBIT)の商いが寄付きから活況となったことや、コインベース(COIN)の株価が急進したことを好感して上値を追う展開となり、800万円を回復した。
この日は米国の10件の現物ビットコインETFの総取引高が取引開始以来の水準まで回復したことや、フィデリティーのFBTCへの資金流入が増加したことなども好感され、相場は翌27日の東京時間に850万円にタッチした。
その後は米四半期GDP成長率改定値や1月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控え、米国市場が様子見ムードとなったことで、BTCも850万円周辺で揉み合うも、28日の欧州時間にはオプションカットの時刻に向けて相場が再び上昇し、900万円にタッチ。
また、この日発表された2023年第四・四半期の米GDP成長率が下方修正されたことも相場の支援材料となり、BTCはショートスクイーズを伴って960万円に到達した。
一方、これにより相場がドル建てで6.4万ドルにタッチすると、コインベースで口座残高が表示されなくなる障害が確認されたことも嫌気され、相場は890万円まで旧暴落を演じた。
幸い、この日の米国のビットコインETFの商いは活況が続き、需給の改善が相場の下支えとなり、29日には前日のIBITへの資金フローが+6億ドルを超えたことも好感され、相場はすぐに950万円周辺まで戻した。
しかし、29日米時間には、1月米PCE価格指数と新規失業保険申請件数が発表され、PCE価格指数は前月比で12月から伸びが加速したものの、市場予想とは完全に合致し、失業保険申請件数は上振れとなり、米債利回りとドルは低下、金と株先物は上昇したが、BTCは高値警戒感から買いが続かず、この日の米時間には売りが入り、920万円台まで押した。
BTCは遂に大台の1000万円が射程圏内に入る水準まで上昇した一方、日足ベースでは、パターンフォーメーションで目標達成感がある他、三手大陽線の出現が指摘され、テクニカル的にはトレンド反転も懸念される。加えて、BTCドルは日足、週足、月足の3軸で相対力指数(RSI)が「買われ過ぎ」とされる70%を超えており、セオリー的にはそろそろ反動が来てもおかしくないと言える。
ただ、問題はETFへの資金フローの加速だ。2月29日には高値警戒感が窺えたBTCだが、下げ幅は極めて限定的だったと言える。これもIBITとFBTCへの資金流入が増加したことが、相場と市場心理を支えたからと見受けられ、ETFへの資金流入がペースを保てば、BTC買いがテクニカル的な過熱感を圧する可能性を示している。
尤も、相場が相当に復調したこともあり、グレイスケールのGBTCからの資金流出ペースは、27日から1.25億ドル、2.16億ドル、5.98億ドルと加速しており、10件のETFのネットフローに実質的な下押し圧力を掛け始めているのも事実だ。GBTC売りの加速が市場にどれだけのインパクトになるかははっきりと解りづらいが、足元の市場の高揚感が後退する切っ掛けとなる可能性には注意したい。
BTCの先物市場では、資金調達率(fr)と、先物と現物の価格乖離が進んでおり、相場が調整に入ればロングの投げでボラティリティが上昇する可能性もあるだろう(第2図)。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン対円で最高値更新、オプション市場みても下値余地は限定的か