- 中国FISCO、コインレス・ブロックチェーンプラットフォーム公開<
- ファーウェイとテンセント主導のコンソーシアムFISCOは、コインレス・ブロックチェーンプラットフォーム「FISCO BCOS」を発表する。BCOSは最大で1秒間に1,000取引以上を処理可能で、同時に中国当局向けに「監視」ノードを実装している。
- 中国企業が規制当局に協力的な理由とは
- 中国政府は仮想通貨を全面禁止し攻撃的な態度を崩さない一方で、ブロックチェーン技術開発には自ら普及に取り組むほどである。 しかし態度急変の傾向も出始めており、企業はブロックチェーン民間開発に寛容な態度を取り続けて欲しいという願いから協力を惜しまないのではないか。
中国FISCO、コインレス・ブロックチェーンプラットフォーム公開
中国ファーウェイとテンセント主導のコンソーシアム「The Chinese Financial Blockchain Shenzhen Consortium」(以下FISCO)は、11月12日から始まるシンガポールのFinTechイベントにてコインレス・ブロックチェーンプラットフォームの「FISCO BCOS」を発表することが明らかになった。
BCOSと同様にコインレスのオープンソースのプラットフォームでは、Hyperledger FabricやR3 Cordaなどが有名であるが、BCOSは今後これらの競合相手となりえるだろう。
FISCOの発表によると、BCOSの最大の強みは取引処理速度の高さにあり、シングルチェーンあたり最大で1秒間に1,000取引以上を処理することが可能だと述べている。
また、FISCOが特に強調している点は、中国当局向けに「監視」ノードを実装している点である。
このノードを通し、中国の規制当局や監査担当者はリアルタイムにデータを監視・アクセスが可能になるという。
FISCOは、100の金融企業を会員に持つ中国のブロックチェーンコンソーシアムだ。
今回のBCOS開発には、テンセント傘下のWeBankやテンセント・クラウド、深セン証券通信などがタスクフォースを作って取り組んだという。
なぜ中国企業は政府にここまで協力的なのか
テンセントは、これまでにも中国規制当局に協力する形でブロックチェーンに取り組んできた。
今年6月には、「The China Blockchain Security Alliance」を当局と共に立ち上げ、健全で維持可能なブロックチェーン・エコシステムを整備することで、中国全土へのブロックチェーン普及に寄与すると発表した。
このように、ブロックチェーン開発に取り組む中国大企業は、政府の検閲や規制当局の要求に対し非常に協力的な姿勢を見せている。
この裏には、これまで中国政府がとってきた二面的な態度を鑑み、民間によるブロックチェーン開発の今後を案じているためではないかとの見方もでている。
仮想通貨とブロックチェーンに対する当局の二面的な態度は続くか
現在の中国政府は仮想通貨を禁止し、ブロックチェーンには門戸を開放するという政策を採っている。
この相反するような態度については先月考察記事を公開した通りだ。
2017年にICOを全面禁止し、国内取引所を閉鎖させただけでなく、国外取引所への接続遮断される動きがあることを直近でも確認されたように、仮想通貨に対する中国政府の態度は極めて厳しいものだ。
一方で、これまでブロックチェーンに対しての歓迎ムードは、対照的である。
これまでにも、中国共産党自身がブロックチェーンの入門書を発行したことや、中央銀行である中国人民銀行がブロックチェーンによる貿易金融プラットフォームの開発支援にも自ら乗り出したりしてきた経緯がある。
しかし、ブロックチェーンの分散化された技術は中央管理が難しい状況も想定され、その状況次第となるが、民間開発に対する友好的な態度が今後も続くという保証はどこにもない。
実際にそのような事例は、ブロックチェーンの「編集・消去不可能」な情報を拡散するという特性を生かした政府反抗事例として出てきており、中国政府は、監視の目をブロックチェーンにも向け始めており、影響を出し始めたためである。
ブロックチェーンを中国国内に普及させ、巨大ビジネスとしたい企業からすれば、中国当局に協力し寄り添うことで情報を収集し、今後も寛容な態度を示し続けてほしいと考えるのは当然のことだろう。