はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨やビットコインを襲う「海外仕手グループ」に関する調査文書が公開|その手口や損益分岐点とは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仕手行為の研究論文
米フロリダ大学の准教授ら3人の研究者によって発表された「仮想通貨のパンプ・アンド・ダンプスキーム」という論文で、仮想通貨市場での仕手行為、手口や損益分岐点について詳細に発表し、いかに仕手グループ側のメリットと一般投資家側の危険さに差ががあるか述べられている。
規制当局の仕手行為規制
SEC(証券取引委員会)やCFTC(米商品先物取引委員会)はP&Dに対する警告を発表しており、価格操作を防ぐことで仮想通貨市場へ好影響を与えることができるという研究結果が明らかに。

仕手グループの手口とは

株式市場では違法行為であり、厳格に規制されている「仕手」だが、規制環境が整っていない仮想通貨市場では、先日、海外の取引所自体が仕手行為を告知するなど、市場の健全化を阻害する行為が、まかり通っているといった感が拭えない。

海外仮想通貨取引所が、自ら価格を上昇させる「仕手行為」を告知|時間は11日夜
仮想通貨取引所Yobitは日本時間10日深夜、無作為で選択された10の仮想通貨銘柄に総額10BTC分の仕手を組み、客足を誘うとの異常とも言える計画を公表した。

そのような状況に一石を投じる研究論文が、米フロリダ大学の准教授ら3人の研究者によって発表された。

仮想通貨のパンプ・アンド・ダンプスキーム(”Cryptocurrency Pump-and-Dump Schemes” )と題された論文では、仮想通貨市場における500のケースを集め、調査分析することによって、この価格操縦行為の仕組みを解明し、仕手筋の手口や損益分岐点について詳細に述べるとともに、規制の有効性を実証するケースを取り上げ、仮想通貨取引所と規制当局にとって、有益な事例を示している。

研究者グループによると、仮想通貨市場におけるパンプ・アンド・ダンプ(以下P&Dと表記)の仕手筋は、Telegramなどのソーシャルメディア上で、グループを組織し、参加者を引き付けるような広告をうち、リアルタイムでその計画「決行日、時間、取引所」を公開する。

P&Dは実況され、ターゲットとなる取引トークンが、決行時間と同時に明かされる。

しかし、最新の暗号化技術により、仕手筋の身元は明かされることがない。

74,000人以上のフォロワーを有し、世界最大規模の仕手グループとされる『Big Pump Signal』の「Nexus」トークンP&D例

P&D前後のNexusの価格と取引量

P&Dは、ターゲットにしたトークンの価格と取引量に、短期集中的に、劇的な影響を与えるケースが大半を占めるが、論文ではその調査分析結果を次のように集約している。

  • P&Dの開始後、初めの70秒間で、価格は平均25%上昇し、取引高は148倍に膨らみ、さらに10秒平均の絶対利益は15%に達する。
  • P&Dの開始から70秒後に状況の反転が開始され、 1時間後には、最初の効果の大部分が消失する。
  • P&D開始の5分前から、異常に高い取引量ととも平均5%のターゲットトークンの価格上昇が見られる。
  • P&Dグループは、一般の告知よりも早く、情報を提供されるプレミアム会員制を取るものもあるが、その利益率は、18%にも達するとの計算結果が出ている。これはP&Dによる最高利益率に迫る数字である。
  • インサイダーではない投資家が利益を得るためには、P&D告知から、10~20秒後に、トークンを購入し、1分以内に売却しなくてはならない。告知から1分後に購入した場合ほぼ必ず投資金額を失うことになる。

最高利益が得られる時間分布(秒)

これらの分析結果を見ると、P&Dで少しでも利益を得るためには、いつ告知を受けるかのタイミングに大きく依存しており、仕手筋とインサイダーは、極端に大きい利益をあげる可能性があるのに対し、一般投資家は、仕手筋から、故意に遅れたタイミングで告知を受ける可能性も否定できず、非常に不利な条件のもとで売買を行わなくてはならないことになる。

また、市場の流動性や取引の迅速な対応が確保されるのかも、取引時の状況に左右される。

つまり、一般投資家がP&Dに参加することは、何の利益ももたらさないことは火を見るより明らかである。

 

規制当局などの動き

アメリカの規制当局である、SEC(証券取引委員会)やCFTC(米商品先物取引委員会)も、重ねてP&Dに対する警告を発表している。

特にCFTCは、ソーシャルメディアにおける、P&Dグループが流布する虚偽の情報に注意を喚起する様、勧告している。

一方、この論文では、投資家保護の観点から、このような価格操縦行為は是認できるものではないとした上で、それ以外に、P&Dを阻止すべき確固とした理由を探すべく、大手の米仮想通貨取引所Bittrexがとった、P&D禁止措置の例を分析し、その有効性を実証している。

2017年11月当時、世界3位の取引量を誇っていたBitttrexは、同24日に、その顧客に対し、価格操作行為に対する警告を発表した。

これはBusiness Insider紙によるソーシャルメディアTelegramに展開され、Bittrexのプラットフォームで行われた価格操作の報道を受けてのことであった。

BittrexのP&D禁止措置発表を受け、一部の仕手筋は、P&D計画を中止するなどの対応をし、結果的に、Bittrexは、全てのP&D行為を阻止することはできなかったものの、その数は劇的に減少することとなった。

Telegram上のP&Dキャンセルの告知

BittrexのP&D禁止措置の影響:禁止措置5ヶ月前から8ヶ月後までの変化

さらに、Bittrexと類似した条件を持つ市場で、トークンの価格と取引量を比較すると、P&D禁止措置後のBittrexでは、トークンの価格と取引量がともに上昇したという結果が得られことから、P&Dは仮想通貨市場の健全性に有害であるという強力な証拠だ、と研究者は主張している。

仮想通貨の健全な発展のために、各国の規制当局による規制の整備が待たれる一方で、このBittrexの事例からは、P&Dを大幅に減少させることは技術的にも可能であり、また、一取引所が価格操作を阻止することで、他の取引所との差別化をはかりつつ、仮想通貨市場へ好影響を与えることができるということを示唆している、と論文では結論づけている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/08 月曜日
16:57
マクロン仏大統領、米仮想通貨規制緩和に警鐘 「金融不安定化のリスク」と指摘
フランスのマクロン大統領が米国のステーブルコイン規制緩和について警告を発し、金融不安定化のリスクを指摘。欧州中央銀行に金融政策の見直しを求め、欧州の金融主権維持を主張。ステーブルコイン市場は3000億ドル超に急拡大。
16:42
決済データDePINのSyFu、Finverseと提携しアジア5カ国のオープンバンキング展開へ
決済データ活用プロジェクトSyFuが、オープンバンキングプラットフォームFinverseと提携。香港、シンガポールなどアジア5カ国の約40金融機関と接続し、日常の支払いデータをトークンやNFTに変換できる仕組みを構築。欧州とアジアで世界規模のネットワークを確立。
14:58
トランプ大統領支援者所有の米Monet Bank、仮想通貨サービス事業に参入
トランプ大統領支援者アンディ・ビール氏所有のモネ銀行が仮想通貨特化型金融サービスに参入する。トランプ政権下での規制緩和により、エレボール銀行やN3XTなど仮想通貨対応銀行が相次いで誕生する中、資産60億ドルの小規模地域銀行がデジタル資産の保管・融資を提供開始する。
14:23
トランプ政権の国家安全保障戦略、仮想通貨に言及せず AI・量子技術を優先
トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略で仮想通貨への言及がゼロ。AI・量子技術を重視する一方、「仮想通貨大統領」を公言してきた経緯との整合性をめぐり議論が起きている。
11:44
FOMC控え不安定な展開続くビットコイン、前週末は大口の協調売りか
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが一時9万ドル割れで3.4億ドル規模の大量清算発生。クジラによる協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2000ドルの乱高下が見られた。一方でマイナー降伏を示すハッシュリボン反転で底打ちサインも。FOMC利下げ観測と円キャリー巻き戻しが市場を揺さぶる。
11:30
ソラナDEX「ジュピター」の再担保に関する議論 「伝染リスクゼロ」主張を疑問視
仮想通貨ソラナ基盤のジュピターが「伝染リスクゼロ」と主張したことについて、競合Kaminoなどが再担保の実施を指摘し批判した。ソラナ財団プレジデントは両者に協力を呼びかけている。
09:11
フランスの大手銀行BPCE、仮想通貨4銘柄の取引サービス開始
フランスの大手銀行BPCEが約200万人の顧客向けに仮想通貨取引サービスを開始する。ビットコインなど4銘柄が銀行アプリで売買可能になる。
08:54
韓国、取引所に無過失損害賠償責任を導入へ アップビットのハッキング事件を受け
韓国金融当局が仮想通貨取引所に無過失損害賠償責任を導入へ。アップビットの445億ウォン不正アクセス事件を受け、2段階立法で規制強化。課徴金も売上高3%まで引き上げの方針。
12/07 日曜日
20:40
「ビットコインを価値の橋渡し役に」Bitcoin Japan CEO、繊維業からの大転換とAI戦略を語る
東証上場の堀田丸正から「ビットコインジャパン」へ大胆に転換したフィリップ・ロード(Phillip Lord)CEOが、CoinPost独占インタビューでビットコイン準備金戦略とAIインフラ投資の詳細を明かした。「日本の品質×米国の規模」で2030年までに500MW規模のデータセンター投資を目指す。
17:00
ハイパーリキッドの将来性・HYPEの買い方|注意点まで徹底解説
HYPEトークンの買い方から注目理由まで完全解説。手数料収益による自動買い戻し、機関投資家参入、ステーキング機能など、急成長するDEX「Hyperliquid(ハイリキ)」の魅力を詳しく紹介します。
14:35
仮想通貨取引所のキャンペーン・特典情報【2025年12月最新】
2025年12月更新:主要な暗号資産(仮想通貨)取引所が展開するキャンペーンと特典情報を徹底解説。仮想通貨取引の第一歩は、国内取引所の口座開設。初心者もトレーダーもキャンペーンや特典を駆使して、投資の機会を最大限に活用しましょう。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、イーサリアム「フサカ」実装完了やソラナスマホの独自通貨発行計画など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
ステーキング 主要取引所の仮想通貨別・年率報酬を徹底比較
【2025年12月最新】国内主要取引所のステーキング対応銘柄と年率を一覧比較。イーサリアムやソラナなど人気コインの高利率サービスを紹介し、各取引所のメリット・デメリットや税金のポイントも解説します。
11:00
週刊ニュース|JPモルガンによるストラテジーのBTC売却回避能力の評価に高い関心
今週は、FRBの量的引き締め終了、チャールズ・シュワブの仮想通貨取引開始、JPモルガンによるストラテジーのビットコイン売却回避能力の評価に関する記事が関心を集めた。
07:00
JPYCの買い方・使い方まとめ|何ができる?
JPYCが資金移動業ライセンスを取得し、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC EX」を発行へ。特徴や将来性を徹底解説。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧