
BTC現物ETFに連動する先物提供
ロシアの証券取引所最大手モスクワ証券取引所(MOEX)は4日、適格投資家向けに、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の価値に連動する先物商品の取引を開始した。
決済は現金で行われ、大手資産運用会社ブラックロックが米国で発行している現物ビットコインETF(上場投資信託)「IBIT」のパフォーマンスを追うよう設計されている。
最初に提供される一連の先物契約は米ドル建てで取引され、ロシアルーブルで決済。2025年9月に満期を迎える。IBITの株式自体を直接取引するのではなく、デリバティブ取引として構成されるものだ。
ロシアの適格投資家にとっては、ビットコインに間接投資する手段が広がったことになる。
ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。
ロシアでは、新たな仮想通貨投資商品の発行が相次いでいるところだ。背景には、ロシア中央銀行が5月28日、金融機関が適格投資家に対して仮想通貨に連動するデリバティブや証券を提供することを許可したことがある。
これを受けて、5月30日にはロシア最大手銀のスベルバンク(ロシア貯蓄銀行)が、ビットコインの仕組み債を発行開始していた。
さらに、スベルバンクは今後、ビットコイン先物を含め、仮想通貨に連動する様々な上場金融商品を提供していく。
ロシア政府も、特にウクライナ侵攻以降の経済制裁を回避するために仮想通貨に注目し、国際取引などでの用途を拡大しているところだ。
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ビットコインETFに再び純流入
ブラックロックのIBITは、米国で取引されている12銘柄のビットコイン現物ETFの中でも運用資産残高で他を圧倒している。The Blockによると、3日時点で686億ドル(約9.8兆円)に達した。
ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は3日、IBITが立ち上げ1年と数か月ですでに、様々なETFのうち資産規模上位23位にランクインしており、異例の好調なスタートだと指摘している。
米国の12銘柄のビットコイン現物ETFは5月29日、3億5,900万ドル(約513億円)の純流出を記録。10日連続の純流入が止まり、流出に転じていた。
しかしその後数日流出が続いたのち、6月3日には約3億7,500万ドル(約536億円)が純流入している。
ETF関連の動きでは、米最大手銀行JPモルガン・チェースが、「IBIT」など仮想通貨関連資産を融資の担保として利用できるサービスをまもなく開始すると伝えられる。
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