
大手取引所が年金向け仮想通貨サービス開始
ブルームバーグが9月1日、オーストラリアの年金制度における仮想通貨投資の急拡大を報じた。総額4.3兆豪ドル(414兆円)を運用する同国年金市場で、コインベース・グローバルとOKXが年金資金によるデジタル資産投資を後押しする専用サービスを相次いで展開している。
両社は自主管理年金基金(SMSF)に照準を合わせ、同セグメントがオーストラリア年金市場の4分の1を占める点に着目した。コインベースは専用SMSFサービス開始に向けて500人超が予約待ち状態にあり、OKXは6月のサービス開始以降、想定を超える申し込みを獲得している。
税務署統計では、SMSF経由の仮想通貨保有残高が3月時点で約17億豪ドルに達し、2021年比で7倍の伸びを記録した。現状は年金全体に占める割合が小さいものの、両取引所は今後の急成長により規制機関と大手年金基金が仮想通貨への対応見直しを迫られるとみている。
ビットコイン相場は今年17%近く上昇し、8月中旬にトランプ大統領による退職基金(401k)の仮想通貨投資規制緩和後に過去最高値を更新した。オーストラリアは投機対象だった仮想通貨が年金投資の主要選択肢に変わるかの試金石となる可能性が高い。ただし規制当局の警戒感が依然として普及の壁として立ちはだかっている。
同国の証券投資委員会(ASIC)は仮想通貨を「高い変動リスクを持つ商品で過剰投資は重大な損失を招く」と注意喚起。税務署も「年金制度の本来目的は老後の安定収入確保」として慎重な投資判断を促している。
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