CoinPostで今最も読まれています

バハマ中央銀行、ブロックチェーンベースのデジタル通貨システムの実現へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

バハマ中央銀行2020年までにデジタル通貨を利用した電子決済
700余りの小島から成るバハマは、ブロックチェーン基盤のデジタル通貨を使用した送金システムの構築を着実に進めている。2020年までに諸島で完全なデジタル決済の実施を目指す。

バハマ中央銀行、2020年までにデジタル通貨開始か

カリブ海の島国、バハマの中央銀行はブロックチェーン基盤のデジタル通貨を使用した支払いシステム構築に向け、着実に前進しているようだ。

バハマ中央銀行(CBOB)は5月30日、同行が発行するデジタル通貨の開発を請け負うNZIA社と公式協定を締結すると、地元メディアのThe Nassau Guardianが報道した。

CBOBは、2018年6月に政府が発行するデジタル通貨の試験プログラム導入を発表した。今年3月には、そのブロックチェーンベースの法定通貨「Sand Dollar」プロジェクトを支える技術パートナーとしてNZIA社とシンガポールのブロックチェーン開発会社Zynesisの名を挙げていた。

CBOBは、このプロジェクトを「すべてのビジネスと居住者のための、統合された手頃な価格の電子決済システム」と表現しているが、現地の金融規制に準拠し、この島国の住民にデジタル決済への平等なアクセスを提供し、現金取引とサービス提供コストの削減を目的としている。

バハマなどで直面する金融事情とは

バハマは、700余りの小島から成る島国であり、金融システムの近代化と合理化には、群島で構成される島国特有の問題を抱えている。その一つがFamily Islandsと呼ばれる遠隔の島々において、コスト削減のため、銀行の支店の閉鎖が加速したことにって、金融サービスへアクセスが困難な人々が増加した事実である。

なお銀行口座を持たない、もしくは口座を開くための身元確認が必要な文書が揃わないなど、バハマが持つ社会的要因も問題を複雑にしている。

さらにバハマでは電子送金が高額であるため、普及が遅れているという。その結果、現金ならびに小切手を使用することがより一般的となっているが、50平方キロの海にまたがる島々に人口40万人という構成の島国で、現金を物理的に移動するということは、非常に非効率で費用もかさむという。

このような事情から、CBOBとしてはブロックチェーン基盤のデジタル通貨発行と電子決済サービスの構築によって、次のような効果を期待しているという。

  • 近代化された電子決済機能への平等で拡大されたアクセスをバハマの全居住者に提供すること
  • 現金取引の減少
  • 金融サービス提供コストの削減
  • 取引の効率向上
  • 全てのコミュニティの金融システム参加の促進

CBOBは、このSand Dollarプロジェクトが実施される島については、まだ発表していないものの、バハマ中央銀行のJohn Rolle総裁は、2020年までにFamily Islandsにおいて完全なデジタル決済サービスの実施を目指していると述べている。一方、「小さな島国」というバハマと同様の条件を持った国々でも、中央銀行主導のデジタル通貨発行計画が進められている。

今年3月、東カリブ諸国機構(東カリブ海近辺の9ヶ国を統合する政府間組織)と、西太平洋のマーシャル諸島が相次いで、それぞれの中央銀行によるデジタル通貨発行の計画を発表している。

東カリブ中央銀行は、東カリブ諸国における法定通貨「東カリブドル」をデジタル化し、ブロックチェーンで発行したDXCD(デジタル東カリブ・ドル)の発行に向け、1年間の試験プログラムを実施すると3月6日に発表している。この試験後、実際に導入が実現すれば、世界初のブロックチェーン上で発行される法定通貨が誕生することとなるため、注目を集めている。

また、マーシャル諸島政府はイスラエルの送金企業Neemaと提携して、年内に独自のデジタル法定通貨ソブリン(SOV)の発行を目指していることが、3月12日、イスラエルの地元メディアにより報道された。

世界的な規模で見ると、今年初頭、国際決済銀行(BIS)の調査で、70%以上の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)について研究を進めていることが明らかになったが、今後10年間で実際に発行する意図がある先進国の機関はは未だ少数派だと言える。

バハマやマーシャル諸島のような小国の事例が積み上げられ、様々な利点や課題が明らかになることで、日本を含むより多くの国々でCBDCに関する議論は高まっていくことと思われる。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア