アプトス(APT)とは
アプトスは、ゲームやDeFi(分散型金融)などの幅広い用途を実現するL1ブロックチェーン。メタ(旧フェイスブック)が開発を手がけていたディエム(旧リブラ)の元開発者が創設し、2021年にプロジェクトが本格的に始動した。
ブロックチェーンとしての大きな特徴は、並列処理が可能で拡張性が高く、処理が速いことである。
2022年10月に発行されたAPTがアプトスのネイティブトークン。主な用途はネットワーク手数料の支払いやステーキング、ガバナンスである。
価格
- 現在価格(2024年12月27日時点):8.926ドル(約1,400円)
- 年初来高値(2024年3月):19.35ドル(約3,053円)
- 年初来騰落率(YTD):5.28%
- 過去最高値(2023年1月):19.90ドル(約3,140円)
価格動向
23年1月:仮想通貨市場の時価総額1兆ドル近くを維持、機関投資家の買いは限定的か
23年1月:ビットコイン調整入りせず続伸、APTは前週比137%高と高騰
時価総額|関連銘柄
アプトス(APT)の時価総額は2024年12月時点で約49億ドル、「スマートコントラクト」セクターの中では19位である。同セクターで1位のイーサリアム(ETH)の時価総額は約3,990億ドル。17位はニアプロトコル(NEAR):約62億ドル、18位はインターネットコンピューター(ICP):約49億ドルである。
主な出来事
- 2024年2月:Aptosが格安ウェブ3スマホ「JamboPhone」販売、日本でも購入可能
- 2024年4月:Aptos開発企業、マイクロソフトやSKテレコムなどと提携
- 2024年6月:アプトスとアリババクラウドが日本でWeb3開発支援を強化
- 2024年10月:パレットトークン/エルフトークン、アプトスへの統合計画を発表 交換レートも一部確定
エコシステム支援組織
アプトス・ラボ:アプトスのプロダクトやアプリを研究・開発する企業。メタの元社員であるMo Shaikh氏およびAvery Ching氏が創設した。全員で、分散性を一般消費者にもたらすことに取り組んでいる。
アプトス財団:アプトスのチームメートのような位置付け。助成金や教育プログラムの提供、イベントの開催などを担当する。
トークンアロケーション


アプトスのメインネットは2022年10月にローンチされ、この時に初期供給量として10億APTが発行された。
初期供給分はコミュニティに51.02%(約5.1億APT)、コア貢献者に19%(1.9億APT)、アプトス財団に16.5%(約1.6億APT)、投資家に13.48%(約1.3億APT)配分されている。
コミュニティとアプトス財団の分は、1.3億APTを助成金やプロジェクト支援、アプトス財団の取り組みなどに最初から使用できるようにすると説明。残りは120分の1ずつ、10年かけて毎月アンロックしていくとした。
コア貢献者と投資家に配分した分は、4年間のロックアップスケジュールを適用。まず、最初の12カ月間は全てのAPTを使えないようにした。
メインネットローンチから13カ月が経過して、18カ月までは毎月48分の3ずつがアンロックされると説明。そして、19カ月目以降は毎月48分の1ずつがアンロックされるとした。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2024年12月時点、アプトスのTVLは10億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Aries Markets(3.1億ドル):Move言語のエコシステムで稼働する分散型証拠金取引プロトコル。資産の貸借もでき、貸し出したユーザーは金利を得ることができる。
- Amnis Finance(2.6億ドル):リキッドステーキングサービス。ユーザーはAPTをステーキングしながら、リキッドステーキングトークンを受け取って運用することができる。
- Echo Protocol(2.5億ドル):ビットコインの流動性レイヤー。Move言語のエコシステムに、ビットコインの流動性やリステーキングソリューションを提供することをミッションにしている。
- 資金調達総額:3.5億ドル以上(出資額不明の調達あり)
- 大規模な投資ラウンド:(2022年3月、2億ドル調達)
- リードインベスター:a16z
- フォロー投資家:コインベースベンチャーズ、Paxos、Multicoin Capital、Tiger Global、Katie Haun、FTXベンチャーズなど
出資している主なVC
アプトスの将来性
ロードマップ
アプトスは長期的なロードマップを公開しているわけではないが、ガバナンスシステムで提案を受け付けながら、技術開発やエコシステムの発展に取り組んでいる。
2024年12月には、エコシステムのプロジェクトの数が年初の250から年末には330超に増加したことなど、ネットワークの成長を報告。プロジェクトの種類はDeFi、ゲーム、消費者向けアプリなど多岐に渡るとした。
今後についても、企業、開発者、ユーザーに選ばれるブロックチェーンとしてプロジェクトを推進すると説明している。
期待される今後の動向
アプトスは、マイクロソフトとの提携、ディエムの技術的遺産であるMove言語の採用、処理能力の高さなど注目点は多いが、投資資産としてAPTも関心を集めている。投資家の間では、米国でのAPTの現物ETF誕生に期待が高まっている。
2024年6月には、米仮想通貨マーケットメーカーのGSRがアルトコインETFの実現可能性評価を公表。この分析で、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ニアプロトコル(NEAR)、アバランチ(APT)に次いで、APTは5位になった。
投資リスク、懸念材料
APTへの投資で認識しておきたいリスクの1つがアンロック。ロックが解除されたトークンを保有する投資家はそれらを市場で売却できるようになるため、売り圧力が生じる可能性がある。
もう1つは、スマートコントラクトプラットフォームは競合が多いこと。ディエムに携わっていたメンバーが立ち上げたプロジェクトだけでもSuiやLineraと複数ある。
投資する際には、アプトスが他のブロックチェーンに比べてどのような特徴があるのか、ユーザーや開発者を取り込んでエコシステムが発展しているかなどの点にも注意したい。