はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

Aptos、大阪・関西万博を起点に日本市場へ本格展開へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2025年4月に開催された「Hong Kong Web3 Festival」にて、Aptos Labsの創業エンジニア/プロダクション統括(Founding Engineer & Head of Production Engineering)であるSherry Xiao(シャオ)氏が登壇した。

シャオ氏は、Aptos Labsの創業メンバーの一人として、Aptos(アプトス)ブロックチェーンのインフラ構築と運用の最前線で活躍しており、ネットワークの安定性とスケーラビリティの向上に貢献している。​

一方で、Aptos Labsは最近、大阪・関西万博との連携で注目を集めている。この取り組みの詳細や目的、意義などは、大阪・関西万博開催を機に業界内でも話題となっている。

CoinPostは、4月に開催された「Hong Kong Web3 Festival」の期間中、これらのテーマに加え、日本市場への展開戦略やアジア市場の可能性について、シャオ氏に話を聞いた。Aptosとしての立場や考えを明らかにした。

大阪・関西万博を通じて、マスユーザーとWeb3をつなぐ ——Aptosの日本戦略

Aptos Networkは、2025年に開催される大阪・関西万博において、公式ウォレットアプリ「EXPO2025デジタルウォレット」のブロックチェーンネットワークに採用されている。

2025年1月にEXPO2025デジタルウォレットのブロックチェーンネットワークはAptos Networkに移行が完了した。同年4月21日までの短期間で55万件以上の取引と13万件以上の新規アカウント作成という実績を達成し、業界内外から大きな注目を集めている。

このプロジェクトは、Aptosにとって日本市場への本格参入に向けた重要な第一歩とも位置付けられている。

専門知識不要のWeb3体験 Aptos採用の「大阪万博提供デジタルウォレット」が13万アカウント突破

シャオ氏は、来場者がNFT(非代替性トークン)スタンプやポイント、記念品などを収集・交換できるデジタルウォレットを提供し、Web3に馴染みのない層でも直感的に使えるよう設計していると説明した。

メールアドレスだけでブロックチェーンアカウントを作成できる「Keyless Wallet(キーレス・ウォレット)」などの技術により、秘密鍵や複雑な設定を必要とせず、Web3の「入口」としての機能を担うことを目指しているという。

キーレス・ウォレットは、従来のように秘密鍵を自分で保管・管理する必要がなく、より直感的かつ安全に暗号資産を扱える仕組みだ。これにより、初心者でもWeb3にアクセスしやすくなっている。

このような簡易なオンボーディング体験は、Web3の普及促進にも貢献するとシャオ氏は語る。同氏は、Aptos自身、そしてWeb3業界全体が抱える最大の課題として、「マスアダプション」を挙げた。

現在はDeFi(分散型金融)やミームコインなど、投機的な用途が目立つが、ブロックチェーン技術が広く受け入れられるためには、「親世代でも自然に使えるようなユースケースの確立が必要だ」と指摘する。

2024年7月に導入された「Keyless Account(キーレスアカウント)」は、親世代のような非テクノロジー層でも直感的に使えるWeb3のユースケースの一例である。

Googleアカウントなどを使ってブロックチェーンアカウントを作成でき、秘密鍵やシードフレーズの管理は不要。Aptosは、この機能を通じて、操作の複雑さを取り除き、誰でも簡単にブロックチェーンにアクセスできる環境づくりを目指している。Web3の大衆化を後押しする技術として注目される。

その観点から、Aptosは特に大阪・関西万博を重視している。「半年間にわたり数千万人が訪れることを想定する大阪・関西万博は、Web3体験と教育を届ける絶好の機会だ。多くの人々の理解を深めるきっかけになる」とシャオ氏は期待を込めた。

さらに、万博終了後も、ユーザーがAptosのDeFiやNFTマーケットプレイス、ブロックチェーンゲームなどのエコシステムへシームレスに移行できる体験設計を構築中であり、長期的な視点からWeb3の大衆化を見据えた取り組みを進めていると述べた。

IP(知的財産権)文化資産をグローバルに展開 ーー日本IPの活用とHashPalette買収の意義

なお、Aptosによる日本市場への関心は万博に先立つものであり、2024年10月にはすでにNFT・メタバース事業を展開するHashPaletteの買収に合意しました。

HashPaletteは、デジタルコンテンツの発行・管理・流通を目的としたPaletteChainを提供し、独自の暗号資産「パレットトークン(PLT)」を発行している。

シャオ氏は、NFTは日本のWeb3産業における独自の魅力の一つであり、日本にはアニメやゲームなど「非常に強力なIPが多数存在し、ポケモンはその代表格だ」と語った。

また、こうしたIPのトークン化によるブロックチェーン展開にも大きな意義があるとし、日本市場におけるNFT活用の可能性に強い関心を寄せている。

この買収は、同社による日本市場での本格展開を象徴する動きであり、日本の文化資産を活用した中長期的なWeb3戦略の一環として、万博との連携とともに方向性を共有するものだ。

大阪・関西万博での体験設計に加え、Aptosは日本のIPとNFTの融合を通じたより広範なWeb3展開も計画している。HashPaletteとの提携により、アニメやゲームといった日本独自のIPをWeb3化し、世界中のファンと結びつける仕組みを構想しているという。

シャオ氏は、NFTは単なるコレクションではなく、「IPホルダーとファンが継続的な関係性を築くためのインフラ」としても機能し得ると強調した。特に、NFTを通じて特別な特典やロイヤルティパスを提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを高め、長期的なロイヤルティを構築する仕組みを想定しているという。

アジア市場の制度と展望

今回のインタビューでは、シャオ氏がアジア市場全体についても言及した。特に、企業の立場から規制環境の整備状況をポジティブに評価している点が印象的だった。

「規制があると物事が止まるというイメージがあるが、私はそうは思わない。政府が正式なフレームワークを設けることで、大多数の人々をWeb3に取り込む唯一の道だと思う」と語り、規制を前向きに捉える姿勢を示した。

また、「日本は暗号資産に関するルールが徐々に整備されてきており、規制が明確になりつつある点が非常に魅力的だ」とも述べ、日本市場の制度的成熟度に信頼を寄せている。

Aptosはこうした取り組みを通じて、単なる技術提供にとどまらず、規制当局との連携や社会基盤との統合を通じたWeb3活用モデルの実装を進めている。

最後にアジア市場全体について、シャオ氏は香港、日本、韓国、東南アジアなどの地域がそれぞれ異なる強みを持ち、相互補完的にWeb3の発展を牽引していると語った。

たとえば、香港はVCや取引所が集中する金融ハブ、日本と韓国は大企業によるエンタープライズ市場、東南アジアは若手開発者の成長が著しいと述べ、「アジア全体でWeb3の未来を形作ることができる」と力を込めた。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/31 木曜日
14:56
金融庁が仮想通貨WG第1回会合を開催、金商法活用で本格検討へ
金融庁は7月31日、暗号資産制度に関するWGの第1回会合を開催。暗号資産規制への金商法の仕組み活用について検討を開始した。国内口座数1,213万、預かり資産5兆円超。政府方針では分離課税導入を含む税制見直しも言及。
13:50
韓国中央銀行、仮想通貨専門チーム新設
韓国中央銀行が仮想通貨専門チーム新設とデジタル通貨室改名で組織改編。ウォン建てステーブルコイン市場監視と政策対応強化。李在明大統領の資本流出防止策を受けた動き。
13:05
マラソン、売上高355億円で過去最高 4~6月期決算
米ビットコインマイニング大手マラソンが2025年2Q(4~6月期)の決算を発表。売上高は64%増の355億円で過去最高となった。BTC保有数も5万枚を突破している。
12:00
Zaif大島社長が語る、今後の展望とWebXブースの見どころ|WebXスポンサーインタビュー
大規模カンファレンス「WebX 2025」のプラチナスポンサーとしてブース出展を決めた、創業10年のZaif、大島卓也社長が語る次世代戦略。「暗号資産で資産形成ならZaif」をコンセプトに、初心者からシニアまで幅広い層を支援する戦略を聞く
11:58
FOMC金利据え置き、ビットコイン市場は方向感失う
暗号資産(仮想通貨)市場はFRBパウエル議長が9月利下げに慎重姿勢を示し一時急落する場面も。コインベース・プレミアム指数がマイナス圏に転落する中、ビットコインは強気のペナントパターン形成により143,550ドルへの上昇期待も浮上する。
11:35
ナスダック上場予定のThe Ether Machine、85億円でイーサリアム追加購入
ナスダック上場予定のジ・イーサ・マシンがイーサリアム10周年記念に際し1万5000ETHの大規模購入を実行。保有総数33万4757ETHに拡大。4億ドルの追加購入余力が残る。
11:10
仮想通貨ZORA、過去2週間で5倍超高騰
トークン発行プロトコルの仮想通貨ZORAの価格が7月20日以降高騰。背景には、コインベースが2週間前に行った次世代アプリBase Appの発表があるとの見方が多い。
10:45
環境フレンドリーHD、太陽光発電活用でビットコインマイニング事業開始
東証上場環境フレンドリーホールディングスが太陽光発電所にBESS併設してビットコインマイニング事業開始を決議。系統連系待機期間活用の新収益モデルを構築へ。
09:50
ロビンフッド4~6月期決算発表 仮想通貨売上高98%増で240億円達成
米ロビンフッドが2025年2Q決算を発表。仮想通貨取引高は前年比32%増の4.2兆円に達した。株式トークン化やステーキングなど様々な仮想通貨関連サービスも開始している。
09:10
ビットコイン継続的上昇が停滞か、短期過熱から一旦冷却期へ=専門家分析
QCPキャピタルなどの分析によるとビットコインが12万ドル抵抗線で苦戦、イーサも4000ドル前で失速。短期過熱からの冷却期入りが指摘されている。
08:25
米CboeとNYSE、仮想通貨ETF上場基準をSECへ提案
米CboeとNYSEが仮想通貨ETFの包括的上場基準をSECに提案。個別承認不要で最大240日の審査期間短縮。コインベース先物6ヶ月取引実績が条件。
07:45
Bitwise最高投資責任者が仮想通貨批判に反論
Bitwiseの最高投資責任者が改めて仮想通貨の可能性に言及。これまでの新技術が最初はそうであったように仮想通貨もまだ完璧ではないが、既存の金融システムを改善できる可能性を秘めていると主張した。
07:30
「仮想通貨は万人のもの」、コインベースとJPモルガン・チェース提携発表
コインベースとJPモルガン・チェースが提携し、8000万人顧客向けに仮想通貨サービスを拡充。チェースクレジットカード利用、ポイント交換、口座連携の3つのサービスを段階的に開始。
06:40
インドネシア、仮想通貨取引税を大幅引き上げ
インドネシア政府が8月1日から仮想通貨取引税を引き上げる予定。国内取引所0.21%、海外取引所1%に設定。
06:15
マイケル・セイラーのストラテジー、ビットコイン購入再開で2万超BTCを買い増し
マイケル・セイラー率いるストラテジーが29日よる、2万1021BTCを追加購入と発表。優先株ストレッチで調達した3713億円を原資とし、総保有額は11兆円に達した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧