はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

SBI北尾会長が語る仮想通貨市場の未来と戦略|FIN/SUM2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏が、日本経済新聞社と金融庁が主催するフィンテックをテーマにしたイベント「FIN/SUM(フィンサム)」にて単独講演を行った。北尾氏は創業以来のSBIグループの成長を振り返りながら、今後5年間で企業グループを3〜4倍に成長させる野心的な目標とその実現戦略を語った。

北尾氏はグローバル展開の強化とともに、「デジタルスペース」と呼ぶブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)領域への積極投資やSNSを中心としたデジタルメディア戦略の重要性を強調した。

講演では、トランプ政権の仮想通貨政策、仮想通貨市場の急成長、SBIグループの具体的な戦略まで、幅広いトピックが語られた。

SBIが描くデジタルスペース時代の成長戦略

北尾氏は自社の歴史を振り返り、インターネットベースのフィンテック1.0からブロックチェーン基盤のフィンテック2.0を経て、現在は「デジタルスペース生態系」の時代に入ったと説明した。北尾氏は「今世紀最大の革新的技術はブロックチェーン」と断言し、コンドラチェフの波における第6波としてこの技術革新を位置づけた。

SBIはこの潮流を捉え、「デジタルスペースで徹底的に事業を拡大する」戦略で5年間での3〜4倍成長を目指す。北尾氏は「インターネット時代の組織的優位性は生態系にある」という創業時からの哲学に基づき、デジタルスペース時代に適応したエコシステム構築を進めている。

仮想通貨市場の爆発的成長

北尾氏は2018年11月に『これから仮想通貨の大躍進が始まる』を出版し、早くから仮想通貨市場の将来性を予見していた。

その予測は的中し、仮想通貨の市場規模は2019年の23兆円から2025年3月6日時点で435.7兆円へと、わずか6年間で約19倍に拡大した。ビットコインとイーサリアムの時価総額合算は303兆円(3/6時点)に達し、東証10兆円超企業の時価総額を合算した約160兆円を大きく上回る規模となっている。

「東証での株券の一日平均売買代金は5兆円。これぐらいマーケットは拡大してきている」と北尾氏は仮想通貨上位5銘柄の1日あたり取引量が24兆円という現状と東証の比較から仮想通貨市場の急成長を強調した。さらに、リップル社およびXRPの躍進についても触れ、これらの動きが国際決済システムの転換期の到来を示していると指摘した。

トランプ政権と米国の仮想通貨戦略

北尾氏は、トランプ大統領の就任と仮想通貨政策の関係についても詳細に解説した。トランプ大統領は1月23日に「デジタル金融技術における米国のリーダーシップの強化」と題した大統領令に署名し、デジタル資産市場に関する大統領作業部会を設立。同時に、元ペイパル幹部のデービット・サックス氏をトップに任命した。

大統領令の主なポイントとして、以下を挙げた。

  • 検閲なしに自己管理する権利の認定
  • ドル連動型ステーブルコインの発展促進
  • 米国内での中央銀行デジタル通貨(CDBC)の発行・流通・使用を禁止
  • 仮想通貨関連企業による銀行口座の開設を可能に

さらに、米政府によるビットコインなど仮想通貨の戦略的準備金や一連の政策についても言及した。「トランプ氏は強いアメリカを作りたい。最も重要なのはアメリカにとってドルの基軸通貨体制を維持すること」と北尾氏は分析する。

ドルの基軸通貨体制が揺らぐ中、「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインなどの仮想通貨を活用し、アメリカが主導権を取れるデジタル世界を構築する戦略だという。

SBIグループの仮想通貨戦略

北尾氏はSBIグループの暗号資産・ブロックチェーン戦略についても詳述した。SBIは暗号資産取引所「SBI VCトレード」と「ビットポイント」を運営し、取引所の預かり資産残高は合計で6,000億円を超え、顧客数も100万口座を突破したという。さらにDMMビットコインの買収により、口座数は170万に拡大する見込みだ。

「日本一の暗号資産交換業者に必ずなる。我々の生態系が充実すれば必ずそうなるように仕組まれている」と北尾氏は自信を見せた。また、SBIグループは以下の取り組みも積極的に展開している。

  • ステーキングサービス(24年第3四半期比で7.6倍の成長)
  • 世界最大級のマーケットメーカーB2C2の買収(90億円)
  • ブロックチェーンゲームプラットフォームとの戦略的業務提携
  • 堂島取引所での仮想通貨先物取引の準備
  • 国内における仮想通貨ETFの準備
  • セキュリティトークン(ST)の発行・流通プラットフォーム「大阪デジタルエクスチェンジ」の運営
  • ステーブルコイン「USDC」の日本展開

関連:SBI VCトレード、国内初のステーブルコイン「USDC」3月12日提供開始(β版)

特にXRPについては、2016年に投資を決断した理由を「金融機関フレンドリーだったから」と説明。「銀行を残しつつ、銀行の今までの阻害要因とコスト増につながるものを全部除いてしまえばいいんじゃないか。できるだけ安く、できるだけスマートに早く送金できるシステムを作ろう」という考えだったと振り返った。

メディア戦略とデジタルエコシステム

最後に北尾氏は、メディア戦略についても言及した。SNS等のインターネットメディアをフル活用し、メディア・IT・金融を融合した生態系を構築する方針だ。北尾氏は「もう世の中全世代としてネットがテレビを凌駕してる」と指摘し、米大統領選や都知事選でもSNS戦略が勝敗を分けたと説明した。

アメリカではトランプのメディア戦略グループやイーロン・マスクのX(旧Twitter)が金融との融合を加速させており、「我々もぐずぐずしてたら、Xを通じて日本の金融にどんどん入ってくる」と危機感を示した。これに対抗するため、SBIグループはSNS専門チームの立ち上げ、地域メディアとの提携、インフルエンサーとのオープンアライアンス戦略など、多角的なアプローチを進めている。

まとめ

北尾氏の講演からは、新たな「デジタルスペース」時代の到来を強く感じさせる内容だった。ブロックチェーン技術をコンドラチェフの波における第6波の中核技術と位置づけ、2018年の著書で予測した仮想通貨市場の大躍進は現実のものとなった。

仮想通貨市場は米国政策の追い風も受け、大きな転換点を迎えている。SBIグループはこの波に乗り、取引所運営からステーブルコイン「USDC」発行まで多角的に事業展開し、メディア戦略も含めた総合的なデジタルエコシステムの構築を目指す。北尾氏が掲げる「5年間で3〜4倍の成長」は、このデジタルスペース戦略の成否にかかっていると言えるだろう。

関連:SECとリップル社の法廷闘争終結へ ガーリングハウスCEOが「勝利宣言」

CoinPost App DL
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/21 金曜日
17:11
GMOコイン、ステーキングの報酬率向上とソラナなど手数料半額キャンペーン発表
GMOコインがポルカドット、コスモス、ソラナのステーキング報酬率を大幅に向上。最大で前年比2倍超の報酬率を実現し、2025年4月には手数料半額キャンペーンを実施。暗号資産保有だけで効率的に報酬を得る。
16:18
SBI北尾会長が語る仮想通貨市場の未来と戦略|FIN/SUM2025
SBIホールディングス会長がFIN/SUMで野心的成長目標を発表した。「今世紀最大の革新的技術はブロックチェーン」と断言し、急成長する仮想通貨市場を背景にデジタルスペース戦略を展開する。リップル(XRP)と提携する中、今後の展望を示した。
13:50
ストラテジーのセイラー会長が語る「ビットコインの21の真実」とは
ストラテジー社会長マイケル・セイラーがデジタル資産サミットで語った『ビットコインの21の真実』を詳説した。イデオロギー、デジタル商品、エネルギーネットワークに始まり、「新たな太陽系」としての見解など、セイラー氏のビットコイン観は果てしなく大きい。
12:00
米通貨監督庁、仮想通貨企業に対する「チョークポイント2.0」終了へ
米OCCが評判リスクの調査を終了すると発表した。トランプ政権下で進む仮想通貨規制緩和の一環として、銀行の仮想通貨企業へのサービス提供拡大が期待される。
11:16
ビットコイン市場、FRBの金融政策とSECのPoW判断は好材料 流動性低下に警戒感も
ビットコインは8.4万ドル台で推移。FOMCでのFRBによる量的引き締め(QT)ペース緩和と2025年の利下げ示唆、SECによるプルーフ・オブ・ワーク仮想通貨の非証券判断という二つの追い風が市場を下支えする。一方、Glassnodeレポートは市場流動性の急速な低下を警告した。
11:05
大谷翔平選手らのNFT、東京シリーズを記念してSorareで販売
ブロックチェーンゲームSorareは、米メジャーリーグの東京シリーズに関連したNFTカードを販売。大谷翔平選手の100枚限定のカードは、17万円超でも販売されている。
10:40
メタプラネット株価高騰、トランプ大統領の次男を戦略アドバイザーに起用
株式会社メタプラネットが、エリック・トランプ氏をストラテジック・ボード・オブ・アドバイザーズの初代メンバーに起用。株価は急騰した。
10:00
アトキンス氏の米SEC委員長就任へ前進、来週上院で公聴会
米上院銀行委員会が、ポール・アトキンス氏のSEC委員長就任をめぐる公聴会を来週開催する。就任後の仮想通貨ETF審査や規制緩和に期待が高まっている。
09:10
「XRP現物ETFが2025年後半にローンチの可能性」リップル社ガーリングハウスCEOが予測
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、仮想通貨XRPの現物ETFは2025年後半にローンチされるとの見方を示した。他にも、トランプ政権のデジタル資産備蓄やIPOの可能性についても語っている。
08:40
「ビットコイン底値77000ドルの可能性」ヘイズ氏分析、パウエル議長発言を受け
パウエル議長が関税によるインフレを「一過性」と評価。ヘイズ氏は「ビットコイン底値は77,000ドル」と予測する一方、QCPはFRBの慎重姿勢とスタグフレーションリスクを指摘した。
07:55
ビットコイン50万円下落、トランプ大統領演説で失望売り発生|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で50万円以上の下落となった。20日に開催されたデジタル資産サミットにおいてトランプ大統領が演説を行ったものの、新たな政策関連の発言や大統領令の署名に関する具体的な発表はなかったことで、市場では失望売りが広がった。
07:15
世界初、米カナリーがPudgy Penguins NFTとPENGUトークン連動のETFをSECに申請
米Canary Capitalが業界初となるPudgy Penguins NFTとPENGUトークンを保有するETFの申請書をSECに提出。トランプ政権下での仮想通貨規制緩和を背景に、アルトコインETF申請が加速している。
06:40
ビットコイン、弱気相場入りの兆候か CryptoQuantの強気スコアが低値を記録
仮想通貨ビットコインが1月のピークから23%下落し、CryptoQuantのBull Score Indexが2023年1月以来の最低値20を記録。CEOのKi氏は「強気サイクルは終わり、今後6〜12ヶ月間は弱気または横ばいの価格行動」と予測している。
06:05
米SEC、仮想通貨PoWマイニングは証券法対象外と明言
米SECがPoW銘柄は証券の募集・販売を伴わないと正式に表明しました。トランプ政権下でSECが仮想通貨に友好的なアプローチへ転換し、ハウイテストを適用した結果、マイナーおよびマイニングプール参加者は証券登録が不要と判断されました。
05:40
トランプ大統領がカンファレンスで発言、「米国が仮想通貨と次世代金融技術を支配する」
トランプ大統領がブロックワークス・デジタル資産会議で米国を世界の仮想通貨首都にすると再び宣言した。チョークポイント2.0作戦の停止やビットコイン準備金創設など、仮想通貨に友好的な政策を推進中。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧