
カルダノ創設者に独占取材
CoinPostは3月、カルダノ・エイダ(ADA)の創設者チャールズ・ホスキンソン氏に独自取材を行った。
3月7日、トランプ米大統領はホワイトハウスで初の暗号資産(仮想通貨)サミットを開催し、前日に決定した戦略的ビットコイン(BTC)準備金およびデジタル資産備蓄の創設や今後の仮想通貨業界改革について詳しく言及しなかったものの、史上初めて米国政府がビットコインを擁護する姿勢を正式に示し、市場に大きな期待感を与えた。
しかし、市場参加者の中には、これが単なるリップサービスに過ぎないとし、「仮想通貨業界が大統領からさらなる支援を望むのであれば、追加の働きかけが必要になるだろう」といった声も上がっている。
トランプ大統領の仮想通貨業界支援政策に対する市場の反応は複雑で、多くの投資家やトレーダーがその影響を懸念している。そこで今回は、ホスキンソン氏にトランプ政権の戦略についても見解を聞いた。
他にも、カルダノの今後の展望やSpaceXとの提携計画、日本の仮想通貨税制などについても語ってもらっている。
トランプ政権の仮想通貨戦略
ホスキンソン氏は、トランプ大統領のビットコイン戦略準備金とアルトコイン備蓄に関する最近の大統領令について、「カオス(混沌)」と表現した。トランプ政権は仮想通貨に対して非常に前向きな姿勢を示しており、米証券取引委員会(SEC)による取り締まりの緩和や、政府機関に押収した仮想通貨の保有を命じるなど、業界に有利な動きを見せている。
ホスキンソン氏は「大統領には政府にビットコインやエイダ(ADA)、XRPなどの購入を命じる権限はない。実現可能で最善なことは、すでに所有している仮想通貨を売却しないよう指示することだけだ」との見方を示した。
市場の反応と今後の展望
トランプ政権の前向きな動きにもかかわらず、市場の反応は鈍い。ホスキンソン氏は、これは世界経済の再構築によるマクロ経済の混乱に起因すると分析している。
「6〜12カ月の経済的混沌を経て、人々がこの状況に慣れ、価格に織り込み始めれば、仮想通貨市場は好転するだろう」と予測。法制化が進んだり、貿易戦争が落ち着いたり、多くの資金が市場に流入したりすれば、相場が上向くだろうとの見方を示した。
カルダノの将来と技術的展望
カルダノの今後について、ホスキンソン氏は一貫したロードマップに準じていることを強調した。「バイロン」から始まり、「シェリー」で分散化と動的システムを実現し、「ゴーグエン」でスマートコントラクトを追加、「ボルテール」でガバナンスを導入したと説明している。
そして「現在は最終段階のバショウにあり、ソラナ(SOL)スタイルのスケール(拡張性)を達成しようとしている。技術はすべて揃っている。ステートチャネルやロールアップ、高速なコンセンサスプロトコルなど、すべての良いアイデアがある。あとはそれを実行するだけだ」と意欲を見せた。
SpaceXとの提携計画
ホスキンソン氏は、SpaceXとの大規模な取引について交渉中であることを明かした。「約9桁(数億ドル)の規模の取引だが、まだ合意には至っていない。SpaceXの主な優先事項は現在、StarshipとStarlinkである」と述べている。
SpaceXの状況に応じて、契約が来年に持ち越される可能性もあるという。具体的には、Starlinkのネットワーク拡大と、カルダノの関連プロジェクトであるWorld Mobileが手掛ける未接続地域へのインターネット接続提供のために、両者の技術をどのように組み合わせるかが取引の中心となると話した。
仮想通貨採用の課題
ホスキンソン氏は、仮想通貨の採用に関する最も重要な課題として、「技術の進化と市場の期待とのギャップ」を挙げた。新しいテクノロジーは革新的であり、将来的には世界を変える可能性を持っているが、その実現には時間がかかると強調している。
特に、仮想通貨はポテンシャルを持っているものの、その普及には時間が必要であり、消費者がその技術を日常生活にどのように取り入れていくかが鍵となるとした。
また、ホスキンソン氏は、仮想通貨の活用事例として、特に国際的な商取引における信頼性の確立を挙げている。

資金の活用
カルダノの資金がついに使用可能になり、今後の展開に大きな期待がかかっている。ホスキンソン氏は、カルダノトレジャリーが抱える15億ドルの資金を、どのように活用するかが今後の課題の1つであると語った。
この資金は、政府系ファンドのように長期にわたって積み立ててきたと説明。用途について具体的な言及はなかったが、エコシステムの発展のために今後1年〜2年間で責任もって配分していくとした。
日本の税制改正と市場
最後に、ホスキンソン氏は日本政府の仮想通貨に関する政策や税制改正についてもコメントした。
日本では、仮想通貨を金融商品取引法(金商法)の枠組みに組み入れつつも、従来の有価証券とは異なる独自のアセットクラスとして位置付ける制度改正を行う動きがある。
この動きは、仮想通貨市場の健全な発展と投資家保護の両立を図るとともに、投資家の関心が高い「分離課税」等の実現を目指すものだ。
ホスキンソン氏は今回、仮想通貨取引による利益の税率が最大55%から20%に引き下げられる可能性があることに期待を示している。
分離課税導入は、日本でローンチされたカルダノをはじめとする仮想通貨プロジェクトにとって、日本市場の再活性化を意味しており、実現すれば今後の成長に向けた大きな推進力となるだろうと語った。
ホスキンソン氏は、「日本は仮想通貨市場の中心地として再び重要な役割を果たす可能性がある」とし、カルダノの日本市場における更なる進出を期待している。また、日本がアジア市場へのゲートウェイ(入口)となるだろうとも述べた。
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