
流動性が低下
ブロックチェーン分析企業Glassnodeは6日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の週次市場レポートで、ビットコイン市場は現在、史上最高値更新後の調整局面にあると分析した。
ビットコインは7月中旬に、史上最高値である12万2,838ドル(約1,800万円)を記録後、7月31日には約11万2,000ドル(約1,648万円)まで下落した。この下落でBTC価格は重要なサポートライン(下値支持線)である11万6,000ドル(約1,700万円)を下回り、Glassnodeが「エアギャップ」と呼ぶ流動性の低い領域に突入した。
この下落局面では、約12万BTCが取引され、押し目買いの動きが示唆されているものの、過去1ヶ月間に市場に参入した短期保有者のコストベースを取り戻すには力強さを欠いているとGlassnodeは分析した。
短期保有者(保有期間1週間〜1ヶ月)の平均取得価格は現在約11万6,900ドルで、抵抗線として機能している。

一方、過去155日以内にビットコインを購入した短期保有者が利確可能なビットコインの保有割合は、100%から70%に低下した。Glassnodeによると、これはサイクル中期の典型的な水準だが、売り圧力が強まれば信頼感が低下する可能性があると警告した。
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ETFからの資金流出
米国における現物ビットコインETFの動向を見ると、8月5日には1,500 BTCの大規模な流出を記録し、4月以来、1日あたり最大の流出額となった。
しかし、翌6日には純流入に転じ、ブラックロック、ビットワイズ、グレイスケールなどが提供するETFに9,150万ドル(約135億円)が投入された。
このようにETFからの資金流出は、比較的短期間に留まり、売り圧力が持続した例はほとんどないとGlassnodeは指摘。そのため、今回も同様の動きを見せるのか、より構造的なセンチメントの変化が起こっているのかを見極めるため、動向を注視していくと述べた。
ファンディングレートの後退
現物市場以外に目を向けると、永久先物のセンチメントにも変化が見られる。
ビットコインの永久先物市場では8月に入り、一時の熱狂が冷めた状態となっており、ファンディングレート(資金調達率:ロングとショートのポジション割合に応じた手数料率)は現在0.1%を下回って推移している。
この水準は、強気派がレバレッジをかけたロングポジションに大きなプレミアムを支払う意欲がないことを反映しているとGlassnodeは指摘。このような変化は、投機筋の関心が著しく冷え込み、短期的に上昇への確信が薄れたことを示唆していると説明した。
結論
全体的に見て、ビットコインのデータは「最高値更新後の優柔不断な状態」を示しているとGlassnodeはまとめた。
投資家の行動は比較的バランスの取れた環境を示しており、短期保有者に関するいくつかの指標は、典型的な強気相場のトレンドとほぼ一致する水準で推移。ETFからは多額の資金流出があったものの、一時的なものであり、より構造的な資金流出の傾向を示唆する十分な証拠はないと分析している。
このような状況で、11万ドルから11万6,000ドルという「エアギャップ」領域は、総供給量の観点から見ると比較的狭いため、時間の経過とともに、この領域内での買い増し期間が次なる価格の上昇を支える強固な基盤となる可能性があるとGlassnodeは指摘した。
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